古武智典(たけとむ二十八号)さんの日記 「TRPG今昔物語」

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古武智典(たけとむ二十八号)
古武智典(たけとむ二十八号)日記
2017/10/10 00:35[web全体で公開]
😶 TRPG今昔物語
まずは一昨日の日記へのレスポンスを下さった皆さん(10pyoさん red Leiさん 坂本さん あっぽーさん さいスケさん 後[本人にのみ公開]だったので仮に某さん)
貴重な情報や体験談、考証をありがとうございました。感謝いたします。

特にred Leiさんのご意見には「え? そうなの?」と驚きました。
TRPGってネット全盛の現在でもマイナーなゲームなんですね。
それが普及の一環として「動画」という媒体で紹介されている、というご意見には「なるほどなぁ」と感心いたしました。
それとあっぽーさんのパラノイアデビューには、失礼ながら笑ってしまいました。
初のTRPGが「アレ」とはw 私の時代でもイロモノ扱いの怪作として有名でしたよ。あれは。

ちなみに私の時代でもTRPGはマイナーなジャンルのゲームでした。
当時はホビージャパンが刊行していた「タクティクス」というボードゲーム専門誌にちょこっとTRPGのコンテンツが乗っけられていた時代なんですよね。
大体「エルフって何?」「サッキュバスなんてマイナーモンスターだよなw」なんて人が多い位でしたから。
──信じられないかもしれませんけど。

それがブレイクしたのがSNEが提供していたD&Dの紹介コンテンツであった「ロードス島戦記」でした。
挿絵に(当時は)新進気鋭のデザイナーであった出淵裕氏を起用し、そのリプレイをGM(DM)であった水野良氏が小説化。これが爆発的なヒットとなり、小説を通じて「『TRPG』とはなんぞや?」と興味を持つ人が増えていき、更にOVA化され、人気を不動のものとしました。
この辺り紙媒体とネット媒体の差はあれど、現状に似ていますね。
ちなみに今でも「ロードス島戦記」は動画サイト「GYAO」で視聴可能です。
30年近い前の作品とは思えないほどのクォリティに(今の時代では)豪華な声優やアニメーターが名を連ねたこの作品は今でも語り草です。興味がお有りなら是非無料の第一話をご覧下さい。

さて、その勢いに乗ったSNEがロードス三作目で独自のシステムを上梓すると共に「ソードワールド(無印)」を手軽な価格の文庫形式販売。
また海外システム「ガープス (GURPS)」を採用し、その汎用性と豊富なサプリメントを生かした「ルナルサーガ」や「妖魔夜行」も角川書店から同じく文庫形式で発売され、リプレイを小説化という手法でTRPGの魅力を引き出すスタイルを確立していきます。更に「メックウォーリアー」を翻訳化し販売。メックのデザイナーにベテランの道を歩みだした、河森氏を起用するという(今となっては)贅沢な仕様のゲームも販売したりしており、ロボット好きの日本人は大喜び(なお本国アメリカ版では、日本のロボットアニメー特にダグラムやマクロスーのデザインをそのまま使用していました)。
ライナップの中には自社製品の「ソードワールド」を利用した「ドラゴンハーフRPG」や、挙句には自社作品のパロディワールドであるお笑い系「コクーンワールド」までも発売していきます。また今でも名タイトルとして名高い「シャドウラン」を日本独自の設定でリリース(ちなみにこれには米国派のプレイヤーの反感を買ったとも言われます)
まさにTRPGの中核はSNEにあったと言っても過言では無いでしょう。

またこの時期、数多くの出版社がTRPG専門書を刊行し、ボードゲームメーカーやホビー関連(ホビージャパンが有名)の各社共、国産のオリジナルTRPGや海外RPGの翻訳版を販売していきます。
その中で秀逸な作品が発売されていきました。
ボードゲームの勇ツクダからは、東アジア風の世界観が魅力的な「ブルーフォレスト物語」に幻想的でハイファンタジーの香り漂う「ローズ・トゥ・ロード」。そしてガープスのパロディである汎用システムの「ワープス」 が。アスキーからは「ウィザードリィーRPG」。ホビージャパンは海外の作品を勢力的に翻訳化し「指輪物語RPG」「ストームブリンガー」「クトゥルフの呼び声」「ルーンクエスト」など今でも有名なタイトルを発表していきます。
またホビージャパンはTRPGコンテンツを「タクティクス」から独立させ「TRPGマガジン」として発売されました。
──そこで一人の若いフリーのライターが自作システムを引っさげて反響を呼びます。
その名は「菊池たけし」
「きくたけ」の愛称で知られる氏は当時学生でした。それが自作システム「セブンフォートレス」の雛形となるシステムで、そのリプレイは今で言う「ラノベ感覚」という新しい境地をもたらし、紆余曲折しながらもTRPGに新しい境地を開拓しました。
余談ですが、私ときくたけ氏はその発言やネタから察するに。同年代だと思われます。まぁどうでもいいことですが。
その他にも現在では古参と呼ばれる数々のプレイヤーが活躍した時代でもありました。

さてこうしてTRPGは一躍ブームになり「TRPG黄金時代」とも呼べる時代になっていきました。
──ただ、女性ユーザーを獲得するまでにはいきませんでしたが。
今でも女性ユーザーは比率で言うと少ないと思いますが、かの黄金時代においては輪をかけて希少な存在でありました。
なにせ女性プレイヤーというだけで、まるでアイドルやお姫様扱いでしたから。

それはさておき

日本でも定着した娯楽に思われたTRPGですが、その黄金の歴史は長くはありませんでした。
TRPG発祥の地アメリカでは老若男女問わず「パーティーゲーム」として定着していますが、日本では定着することは有りませんでした。
その最大の原因が一つ。

──TCG、つまりトレーディングカードゲームの台頭です。

今現在でも様々なTCGが長く遊ばれており、バリエーションも豊富なこのゲームは、その安価さやコレクション性の高さ。そして戦略性という面白味。場所と時間を選ばず手軽に遊べるゲームとして、TRPGを(結果的に)駆逐する要因となったのです。

こうして「TRPG黄金時代」は徐々に幕を引き、TRPG専門誌は書店から姿を消しそして長い「テーブルトークRPG冬の時代」を迎えることとなったのです。
SNEもその販売分野をトップの安田氏の指示で、TRPGよりTCGやボードゲームに徐々にそのシフトを変えていきました。

TこうしてRPGはマイナーなゲームとして、好事家に細々と遊ばれる様になっていきます。

ですが1993年。ある会社が産声をあげました。
その名は「ファーイースト・アミューズメント・リサーチ」通称「F.E.A.R.」です。
F.E.A.R.はTRPG黄金期に活躍した鈴吹太郎氏が社長を務め、副社長に菊池たけし氏を迎えて設立した会社でした。
F.E.A.R.はかつて販売していたゲームの版上げ版をリリースする共に、法人として独立した「ゲーム・フィールド」を設立。
出版側がゲームを出させてくれないという状況に対抗するために設立したと言われています。
またコンベンジョンも盛んに行われ、徐々にではありますが、新世代のファンを獲得していく功労者となります。
そして月日が流れ一つのシステムが生まれました。

「ダブルクロス」

F.E.A.R.の社員(当時)であった矢野俊策氏がリリースした「現代異能物」として、その斬新でキャラクターメイキングの幅広さから好評を以って受け入れられ、現在第3版(3rd)まで版上げされた現在では、熱狂的なファンを獲得するに至りF.E.A.R.の看板タイトルになります。
また菊池氏が手がけた「ナイトウィザード」のアニメ化。そしてMMORPGとラノベ感覚のファンタジーTRPG「アリアン・ロッド」は出版社の勇である富士見書房とのタイアップで多くのリプレイが発売されF.E.A.R.の代表的な作品となっています。
他にも汎用性に富んだシステム「スタンダードRPGシステム(通称SRS)」をベースにした作品が多数発表されており、「アルシャード」「メタリックガーディアン」「マージナルヒーロー」などが発売されています。

TRPGの現在はF.E.A.R.の地道な戦略の上に成り立っていると言っても良いでしょう。

そしてかつての勇、SNEも「ソードワールド」の世界観を一新「ソードワールド2.0」をリリース。熱狂的なファンを獲得しました。
また「デモンパラサイト」「パラサイトブラッド」という現代異能ヒーロー物をリリースして、一部熱狂的なファンを得る事に成功しています。

他にも現在多数のシステムが販売され、かつての「黄金時代」とまでは言わぬまでも、以前の様な活気が戻って参りました。

またインターネットの普及も要因の一つです。「TRPGーSNS」や「オンラインセッションSNS」「セッションマッチングシステム」など、TRPGファンがネット上で交流を持ち、遊べるサイトの出現です。
また、忘れてはならないのはインターネットを利用した「オンラインセッション」つまり「オンセ」が可能になった事でしょうか。
IRCはもちろん、有名なのはFLASH」をベースにした多機能オンセシステム「どどんとふ」の存在です。
これで遠方に居るTRPGファンもネット上でセッションを楽しめる時代となりました。

TRPGの今後がどうなるかは分かりませんが、少なくとも一つの「文化」として定着するのではないでしょうかね。



……ん? そんだけウンチク垂れてるお前歳幾つだよ? ですか?

HAHAHA! 私は「永遠の28歳」です。28から歳取る事を止めましたっ!

まぁ良いじゃないですか。トシがいくら離れてようと、セッションでは対等な仲間です。
お気楽極楽に♪
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レスポンス

あっぽー
あっぽー古武智典(たけとむ二十八号)
2017/10/10 21:11[web全体で公開]
> 日記:TRPG今昔物語
読み応えのある長文をありがとう!
TPRGプレイヤーの嗜みとして記憶しておこう。
面白かったです

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