シナリオセット【クトゥルフ神話TRPG】人ならざるものの内容

基本情報

アルファるふぁ
アルファるふぁトピックシナリオセット 押されたいいね! 5
登録日:2017/08/27 01:27最終更新日:2018/08/30 13:47

本作は、「株式会社アークライト」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。

Call of Cthulhu is copyright (C)1981, 2015, 2019 by Chaosium Inc. ;all rights reserved. Arranged by Arclight Inc.
Call of Cthulhu is a registered trademark of Chaosium Inc.
PUBLISHED BY KADOKAWA CORPORATION
タイトル: 人ならざるもの
TRPGシステム: クトゥルフ神話TRPG
適正プレイ人数: 3~5人
適正レベル: なし

概要:
 多発的に発生する超自然的な事件により、法改正の後銃刀法が大幅に緩和された「パラレル武闘派現代日本」。警察は日々増えて行く未知の生命体や過激派宗教組織に対抗するため、小銃や刀剣類を使用した命がけの戦闘を行なっていた。「神話生物」に対して、人類は徹底的に駆除することを推奨している。  日本の海岸に位置する「九頭龍市」の「九頭龍市警察」に存在する捜査一課の警察官及びその協力者であるプレイヤーは、独自の神格を崇める危険宗教集団「インスマウスの子」を追うなかで、悲劇によって「怪物に変身することができる少年」と出会う。  プレイヤー達はこの少年を「神話生物として駆除する道を選ぶ」か「人間として支える」か選ぶことができる。彼らの選択の果てに、待つものは・・・。 {注意事項} ・オフセ6時間、オンセ9時間想定 ・完成から無調整 ・半クローズド ・戦闘多め ・恐怖描写少なめ ・オリジナル神話生物 ・独自解釈 ・シナリオ分岐あり ・PCより目立つNPCが存在 ・PLは二人以上で ・改変推奨(改変する場合このシナリオの名前は載せてください) ・動画化自由(広めてくださいなんでもしますから) {推奨職業} ・警察官(これ以外は九頭龍市警の民間アシスタントという設定) ・医者 ・教授 ・大学生、大学院生 ・探偵 ・犯罪者(完全協力することを条件とした超法規的措置) {必須技能} ・戦闘技能(神話生物限定で銃刀法が緩和されている設定なので、GMの裁量で好きなだけ。ショットガンや日本刀ぐらいは全然大丈夫と言ってあげてください) ・応急手当、医学(戦闘後の回復) ・目星 {推奨技能} ・聞き耳 ・図書館 ・説得、信用 ・心理学 次回作です↓ https://trpgsession.click/scenarioset-detail.php?i=alpha1111_153495258296 文句や質問はツイッターのこの人のどっちかへ↓ @alpharfa1111 @ACnarikiri
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目次・解説など及びシーン情報

下の「クリックで開く」を押して閲覧できる内容はネタバレになります。

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目次・解説など:

ネタバレには一切配慮しておりませんので、この中の情報はなるべくPLに見られないようにしてください


{ゲームオーバー条件}
・PCのワンシーンにおける全滅
・PC達が途中で仕事を放棄して帰宅する
・PC達が一般市民を攻撃する(一部シーンを除き大介も含む)


{用語解説}
・九頭龍市
 人口17万人の海岸都市。物語の舞台。漁業が盛んだが、外国から過激派宗教組織が密航してくるケースも多々ある。中心部に九頭龍市警が存在する。

・九頭龍市警
 九頭龍市担当の警察署。神話生物を持ち出す過激派宗教組織の増加に伴い、強力な重火器及び刀剣の使用許可が「神話生物とそれを使役する人間」に対して全面的に許可されている。機動隊も存在。PCの所属は捜査一課の「柳班」

・「インスマウスの子」
 大いなるクトゥルフを崇める過激派宗教組織。メンバーの多くがディープワンズであり、信者の命と引き換えに大いなるクトゥルフを召喚せんとする。
 社会の悪いものを神の起こす波で洗い流そう、という教義で人気を得た。信者達のお布施も莫大で、組織の力は大きい。
 多くの重火器や刀剣類を保有しており、様々な施設も掌握している。
 現在は、儀式の質を高めるためにディープワンズを増やす実験を行なっている。九頭龍市警に動向を把握され始め、焦って無謀な行動に走ることになる。



{名有りNPC}
・山本 大介
 本シナリオの最重要人物。17歳高校生。ステータス製作の必要あり。父母は共に生物学者。「インスマウスの子ら」によって脅迫された父母によって様々な神話生物の遺伝子を埋め込まれており、精神的なトリガーによって「人ならざるもの」へと変貌してしまう。変身自体は解除可能だが、変身状態を制御できるかはその時の精神状態による。
 シナリオ開始時に、あらかじめ1d6+1のSAN値減少を行うこと。

・山本 勝
 大介の父。生物学者。39歳。物語開始時点で故人。ステータス製作の必要なし。通常の人間をディープワンズに変えようとする「インスマウスの子」によって脅迫を受け、妻と共に息子を実験台にすることを余儀なくされる。

・山本 香奈
 大介の母。生物学者。38歳。物語開始時点で故人。ステータス製作の必要なし。夫と同様に息子を実験台にすることを余儀なくされる。実験に使う神話生物に魅入られ、その精神を徐々に歪めて行く。

・柳 正彦
 PC達の班のリーダー。九頭龍市警部。47歳。ステータス製作の必要なし。序盤のシーンで負傷するため、PC達のバックアップや行動指示に専念することになる。


{登場神話生物}
・ディープワンズ
インスマウスの子らの信者。彼らの集団がインスマウスの子らの母体となっており、ディープワンズは幹部や上級の信者として扱われている。が、表社会に関することは普通の人間の信者に任せる様子。

・ダゴン
・デイドラ
・クトゥルフの星の落とし子
シーン3の戦闘において、GMはこの3体のうち任意の一体を選択してPCと戦わせる。インスマウスの子がクトゥルフ召喚の儀式を失敗させた結果呼び出された。

・食屍鬼
シーン2に登場。個体の多くが人間の突然変異。九頭龍市に潜伏している団体がおり、インスマウスの子に奴隷扱いされている。

・「人ならざるもの」
大介が変身する怪物。本シナリオオリジナル。
肌は火山岩のような色と質感で、目は炎のように赤く光り、背中からは3本のムカデのような触手。頭部には鋭利な長いツノを生やす。二本足で歩き、左右の腕を持つが、その外見は人間とは似ても似つかぬおぞましい神話生物そのもの。全長は3メートル弱と思われる。
大介の任意か、大介がSANチェックに失敗した場合に変身する。
大介の一時的恐怖もしくは不定の狂気は、これに変身した上での無差別攻撃で固定される。(1d4+1回目の行動で解除される)
ステータスは大介のキャラシートに記載のこと

・ステータス(通常)
STR 大介の値×2+20
CON 大介の値×2+20
SIZ 25
INT 大介と同等
POW 大介と同等
DEX 25
移動 1D10+5
装甲 4点の強固な表皮

武器
・こぶし (大介のこぶし技能)+10% 1d3+db
・キック (大介のキック技能)+20% 1d6+db
・短く鋭利な爪 (大介のこぶし技能)% 3d3+db
・触手 30%×3 1d6+db×3
・不浄の角 (大介の頭突き技能)+10% 8d3+db(装甲無視)




<導入モノローグ>
「人間とはなんなのだろう、人間の定義とはなんなのだろう。人間は大きくその心身を変える。時には、種族的な範疇すらも越えてしまう。なら、人間の定義とはなんなのだろう。「自分は人間だ」と、誰が確かに証明できるだろう?」


<シーン1>10月7日
深夜。探索者達は他の班と共に、九頭龍市警のバンで廃墟じみた不気味な建築物に向かう。この場では全員知り合いという扱いだが、必要ならばこの時点で自己紹介を済ませておくこと。

班リーダーの柳警部から説明。
柳「もう既に説明を受けていると思うが、もう一度言っておくぞ〜。これから向かうのは「九頭竜市北の廃工場」の探索だ。ここは、「インスマウスの子」の連中が使ってた施設で、昨日の時点で無人なのは調査でわかってるが、一応気を抜くなよ。神話生物及びそれを使役する人間は、確認次第積極的な排除を…だ」

到着後、全員が武器などを持って他の班と共に侵入。心なしか磯臭い廊下を進みながら施設を探索。暗いので視界がきかない。

途中、他の班と別れて探索。すると突然、廊下の床が開き、その下の海水の中から(PCの数から一人引いた数の、小銃などで武装したディープワンズ)が現れ、柳警部を襲う。柳警部負傷。

{SANチェック}
・ディープワンズを目撃したことによるSANチェック。対象はPC
成功で0 失敗で1D6の消費

柳が叫ぶ
柳「何やってる、自分の身は自分で守れ!お前達の武器は飾りか!抵抗しろ、早く!」

{戦闘開始}
PCの数から一人引いた数の、小銃などで武装したディープワンズと戦闘。

戦闘終了後、周囲でも発砲音や爆発の音。火災が起き、煙も上がっている。柳を連れて脱出したPC。その前に、複数のディープワンズや人間の死体と、その中心に立つ一人の少年を見つける。

{SANチェック}
・ディープワンズを目撃したことによるSANチェック。対象は大介
成功で0 失敗で1D6の消費
・大量のバラバラ死体を見たことによるSANチェック。対象はPCと大介
成功で1 失敗で1D4+1の消費

>分岐
・A
大介がSANチェックに失敗した場合
「人ならざるもの」に変貌した大介が、錯乱してPCに襲いかかる。
2回目の行動で「人ならざるもの」は撤退する。
この戦闘で死者が出た場合、それはHP1での気絶扱いとなる。
この戦闘で「人ならざるもの」が死亡した場合、起き上がって撤退する。
{SANチェック}
人ならざるもの目撃したことによるSANチェック。対象はPC
成功で1d3 失敗で1D6+1の消費

・B
大介がSANチェックに成功した場合
「人ならざるもの」に変貌した大介は、探索者をじっと見つめてからその場を離れる。
{SANチェック}
人ならざるもの目撃したことによるSANチェック。対象はPC
成功で1d3 失敗で1D6+1の消費

シーン2へ

(医学、もしくは応急手当を持つPCは、この間に同技能を二回使用できる)
(武器の弾や耐久力はこの間に回復できる)

<シーン2>10月10日
戦闘があった日から三日後、探索者達は後処理を他の班に任せ、九頭竜警察署の柳班の部屋で書類作業をしていた。時刻は昼過ぎ。
怪我した場所に包帯を巻いた柳警部が入ってくる。

柳「おう、お疲れ…」

柳は、九頭竜市北の廃工場の調査の結果、もう少しでインスマウスの子の根城がわかりそうなこと、柳班は三日前に遭遇した神話生物に変身する少年の調査を任されたこと、自分はこの状態なのでバックアップに回ることを伝える。

柳「情けねえ話だが、怪我が塞がらねえ。若い頃はもっと元気だったんだがなぁ。だけど、あのボウズの身元は大体洗えたぞ。10日前から家族もろとも音信不通だったらしい。一週間前に高校の方から捜索願いが来てる」

そう言うと、柳はメモをPCの一人に渡す。そのメモには、山本大介の身辺情報や住所が記されていた。柳は、スマホで顔を撮っておいて良かったと笑う。

柳「他の課の連中が捜索してて、これはその時の調査結果だな。令状出したらあっさり写してくれたよ」

『大介に関するメモ』入手

柳「足を使うのはお前らに任せた。何かあったら俺に言え、俺か俺より上の連中が責任をとる。ほれ、令状と車の鍵だ」

柳から令状とバンの鍵を受け取り、捜査に向かう探索者達。部屋から出る寸前に、柳が呼び止める。

柳「…なあ、あのボウズ…山本大介っつったな、お前らは、奴さんが人間だと思うか?それとも、やっぱり神話生物だと思うか?」

PC達は、答えてもいいし、答えなくてもよい。これについて、バンでの移動中に探索者同士で相談してもよい。

山本一家の家に到着した探索者達。そこはなんの変哲もない二階建ての一戸建てであった。
玄関のドアが空いている。呼び掛けても誰もいない。探索者達は、令状によって許可を受けているので無人の家に入る。


{探索開始}
・一階リビング
 カーペットが敷かれた部屋。テレビとソファがあり、広い。
 図書館技能成功で不自然に預金が増えた講座が見付かる。クリティカルもしくは同時にアイデアに成功すれば、振込主がインスマウスの子の下部組織であることがわかる。
 目星技能成功で固定電話の留守録を聞ける。内容は、母親が大介を近くのスーパーへ呼び出す旨。日付は一週間前。クリティカルなら、それが大介が音信不通になった日付と一致することがわかる。

・一階キッチンダイニング
 テーブルと3つの椅子があるダイニングと、シンクとIH機器類があるキッチンが一つになっている部屋。
 ハズレ部屋。

・一階空き部屋
 文字通り何もない部屋。押し入れには小さな金庫がある。
 鍵開けに成功すれば、金庫が開き、中からビーカーやメスと一緒に入ったフォルマリン漬けの何かの腕を発見する。
 クトゥルフ神話に成功すれば、それが『食屍鬼になりかけの人間の腕』だとわかる。
{SANチェック}
 正体不明の何かの腕を見つけたことによるSANチェック。成功で0、失敗で1d3。

・一階トイレ
 個室の洋式水洗トイレ。ウォシュレット機能あり。
 ハズレ部屋

・二階大介の部屋
 大きめのベッドと勉強机がある部屋。ドアに鍵はあったが開いている。ゲームや携帯の充電器のタコ足配線で歩きにくい。椅子の上に学校のカバンが放置されている。
 目星もしくはアイデアに成功すると、部屋の荒れようから「誰かが最近ここを荒らしたのではないか」と気付くことができる。クリティカルなら、それが大介ではないかと確信できる。

・二階勝の部屋
 ベッドと複数の本棚、そしてデスクトップPCの置かれた作業机のある部屋。日光が入らないように、窓に固定カーテンがされている。
 図書館技能を使えば、本棚から盗聴器と隠しカメラが見付かる。クリティカルか同時にアイデア成功なら、それがインスマウスの子によるものだと気付ける。

・二階香奈の部屋
 夫と同じような部屋だが、本棚が少ない代わりに化粧台と大きなクローセットがある。
 図書館技能を使えば、化粧台からUSBメモリが見付かる。中には日記がわりの文書ファイルがある。クリティカルなら、読んだ際のSAN値減少はなし。
 『香奈の日記』入手

・二階トイレ
 水洗式の洋式トイレ。ウォシュレットがない。
 目星に成功すれば、壁の色が一箇所だけ違うことに気付ける。そこを何かしらの手段で開ければ、勝の日記が見付かる。クリティカルなら、読んだ際のSAN値減少はなし。
 『勝の日記』入手 

・車庫
 外の車庫。シャッターがあるが、開きっぱなし。
 ハズレ部屋。


探索を終え、PCが集まる(GMはこの時点で、PLメンバーに対して、大介への扱いの意見を纏めておくよう宣告する)
突然、一階リビングから(PCの1.5倍の数の食屍鬼)が侵入してくる。PC達が一階リビング以外の部屋にいる場合、DEX対抗ロールか忍び歩きや跳躍で逃げても良い。
{SANチェック}
食屍鬼を目撃したことによるSANチェック。対象はPC。成功で0、失敗で1d6

>分岐
・A
全員逃げる場合
柳警部に電話し、山本家に神話生物が現れたことを伝える。
柳「くそ、インスマウスの子らの根城に人を集めてて、そっちに割けねえ。どうする?」
・無視する
逃走途中に人ならざるものとすれ違い、そのままシーン3へ
・迎え撃つ
Bの描写を行う


・B
一人でも山本家に残って戦う場合
{戦闘開始}
PCの1.5倍の数の食屍鬼(少数以下は切り捨て)と戦闘。残ったPCが全滅した場合、Aの描写を行う

勝利後、玄関前で交通事故が起きたかのような物音を耳にする。
見れば、人ならざるものが、インスマウスの子信者と思わしきディープワンを、倒れた車から引きずり出して殺している。目星に成功すれば、車の中の他の人間は車がひっくり返った段階で死んでいるのが見える。
聞き耳に成功すれば、以下の内容が聞こえる。

ディープワン「お前の親父は警察に密告しようとして処刑された!母親はティンダロスにやられた!二人とも市北の廃工場で死んだ!俺達の根城!?市長宅裏のビルの地下室だ!教えてやっただろ、離せ出来損ないの怪物が!離せ、離せ!」

人ならざるものが、ディープワンズを爪で切り裂いて殺害する。
{SANチェック}
・両親の死を知ったことによるSANチェック。対象は大介
成功で1d3 失敗で1D6+1の消費

このSANチェックで暴走した場合、その場のPCと人ならざるものの戦闘が始まる。暴走時間が経過するか人ならざるものを撃破することで以下に続く

人ならざるものは大介の姿に戻り、大介はトボトボと歩いていく。
この時点で呼びかければ、説得が可能。(PL側が大介の死を望むならしなくて良い)


{大介の説得}
・その場のPCが説得、信用、心理学のいずれか2つを成功させる。
・『勝の日記』『香奈の日記』の最後の行を引用したロールプレイを行なう
・GMの納得するセリフのロールプレイを行う
以上のうち一つに成功することで、大介の説得が成功する。参加は、その場にいるPCのみ。人数は自由。

成功した場合。大介が以下のセリフを言う。
大介「ありがとう、刑事さん…ありがとう…」

失敗した場合、大介が以下のセリフを言う。
大介「ごめんなさい刑事さん…ごめんなさい…」

成否に関係なく大介はその場を逃げ出す。シーン3へ移る。



シーン3へ

(医学、もしくは応急手当を持つPCは、この間に同技能を二回使用できる)
(武器の弾や耐久力はこの間に回復できる)


<シーン3>10月10日
それから10時間後、署に戻って捜査報告を行うPC達。柳は、神妙な面持ちで告げる。
柳「上では、大介を神話生物とするかどうかで大分揉めて、結局現場に丸投げだ。恥ずかしい話だが、ヤツの最終的な扱いはお前らに任せるよ…責任は上か俺が取るから、安心しろ」
そして、今度はバンの鍵を寄越してからまたこう言った。
柳「さて、話は変わるが、ついにインスマウスの子の根城がわかった。あいつら、市長を抱き込んで市長邸の裏にでっかいビルを建ててやがった」
部屋の真ん中に置かれた机の上に地図がある。そこに一つ記された赤丸こそが、目的地だ。柳は、このビルの地下こそがインスマウスの子の本拠地であると語る。
柳「もう機動隊が強制捜査してるんだが、火器で武装した信者どもがワラワラだ。大介の捜査は切り上げて、こっちの応援に行ってくれ」
出て行こうとするPCを呼び止め、柳が語る。
柳「根拠はないが、たぶん、大介も出てくるだろう。今までにない混戦になるはずだ。役立たずの俺が言えた義理じゃないが、お前ら…殉職するなよ!」



車で移動するPC達。到着した時には銃声がそこらじゅうに響き渡っており、夜のオフィス街が騒然としていた。
運転中、道路に現れた3人の機動隊員。皆一様に防弾チョッキやヘルメットを身につけ、重そうな小銃を持っている。
機動隊員がPC達の車を停め、車から降りるようにジェスチャーで指示する。

機動隊員「応援の柳班か。態々すまんな。表はオレ達の同僚がなんとかする。俺らはマンホールを通って、直接乗り込むぞ」

機動隊員3人に付いて行き、開かれたマンホールからハシゴを通って下水道に降りるPC達。しばらく歩くと、不自然に開けられた横穴が見つかる。
そこを覗けば、床がコンクリートの、200平方メートルはある広い空間があった。そこは床じゅうが磯臭い水、つまり海水が5センチの深さで満たされている。
向こう側の壁には、奇怪で異様な、建造物を模したオブジェが存在していた。数学などの知識を持つPCがいれば、その建築物は意図して非ユークリッド幾何学的な意匠を持たされていることに気付く。

そして、ミニチュアの街の目の前には、無数のディープワンが輪になっており、皆死んでいる。目星に成功すれば、死んでいるディープワンの体には一切の傷がないことがわかる。

機動隊員は他にも部屋がないか探すためここで離脱。PC達が大部屋に入ると、唐突に地面が揺れる。ミニチュアの街から海水が溢れ出し、その中心から(ダゴン、ハイドラ、クトゥルフの星の落とし子のいずれか一体)が現れる。

{SANチェック}
ダゴン、ハイドラ、クトゥルフの星の落とし子のいずれか一体を見たことによるSANチェック。対象はPC。その場にいる場合は大介も含む。
ダゴンかハイドラの場合は成功で0。失敗で1d10。
クトゥルフの星の落とし子の場合、成功で1d6。失敗で1d20。

{戦闘開始}
ダゴン、ハイドラ、クトゥルフの星の落とし子のいずれか一体と戦闘。大介の説得を行なった場合、SANチェックで暴走していなければ、人ならざるものがPC側の戦力として合流する。
GMは、増援の機動隊員を用意しても良い。


 <分岐>

『ED1・英雄達の犠牲』
・大介の説得に成功した上で、シーン3のダゴン・デイドラ・クトゥルフの星の落とし子との戦闘において、PCが全滅する
PC達の活躍によって地下祭壇で食い止められた大型神話生物は、その後多大な被害を出しながらも、人ならざるものと相討ちになる形で駆除された。
故郷を守るため大型神話生物と刺し違えた大介は、勇敢な若者として、人間として葬られた。
インスマウスの子らが引き起こした大事件は、それを止めるために奮闘したPC達の名前とともに永遠に語り継がれるだろう。


『ED2・神話生物』
・シーン1で分岐Aが起き、シーン2で大介の説得を行わなかった場合
・山本家の食屍鬼を殲滅せずに放置した場合
大型神話生物を見事打ち倒したPC達。しかし、出口の前には、ボロボロの状態の大介が立っていた。アイデアに成功すれば、地上の大乱戦を突っ切ってきたのだとわかる。
血走った目でPC達を睨む大介は、そのまま人ならざるものへと変化。PC達に襲いかかる

{戦闘開始}
HPを20に設定した人ならざるものと戦闘。PLは、戦闘直前に応急手当を使っても良い。

勝利後、人の姿に戻る大介。

大介「俺は人間だ!人間なんだぁ!」

錯乱したようにそう叫び、そのまま息絶える。
地上の戦闘が終わったのか、機動隊員の集団が地下に降りてくる。彼らは一様に、地下祭壇の状況に困惑し、PC達に説明を求めた。

数日後、インスマウスの子らが壊滅し、捜査一課はその『後始末』に奔走していた。(ここでPCごとの個別エンディング)
その後、大介の死体は、どこをどういじっても全て人間と全く同じであったことが知らされる。そして、唐突に警察に襲い掛かった神話生物として『処理』されたことも。


『ED3・人として』
・大介の説得に失敗した場合
戦闘終了後、傷ついたPC達の前に立つ大介。そして跪き、泣きじゃくりながら訴える。

大介「俺の体は人間じゃなくなっちまった。怪物に変身して、何かに襲いかかりたくなる。お願いです刑事さん、俺を…殺してください!人間として死にたいんです、お願いします」

この懇願を受け入れないなら、このエンディングはED6に変化する。
受け入れるならば、PCの一人が跪いた大介を殺害する。苦しみもがくように涙を流し続け、大介は息絶える。
地上の戦闘が終わったのか、機動隊員の集団が地下に降りてくる。彼らは一様に、地下祭壇の状況に困惑し、PC達に説明を求めた。

数日後、インスマウスの子らが壊滅し、捜査一課はその『後始末』に奔走していた。(ここでPCごとの個別エンディング)
その後、大介の死体は、どこをどういじっても全て人間と全く同じであったことが知らされる。そして、インスマウスの子による事件の被害者として、人間として丁重に葬られたことも。


『ED4・崩壊都市』
・シーン3のダゴン・デイドラ・クトゥルフの星の落とし子との戦闘において、敵を放置して逃げ出した場合。
マンホールの外から這い出たPC達が見たものは、高層ビルや市長邸をなぎ倒して地上に現れる大型神話生物の姿であった。
激戦で疲弊した九頭龍市機動隊は皆殺しにされ、止める者のいなくなった怪物はたちまち九頭龍市を蹂躙して回った。約一週間暴れまわった後には、原型を留めぬ九頭龍市があった。
事実上消滅した故郷を見下ろす人ならざるもの。逃げ切れずに殺されてしまったPC達の描写が入り、シナリオは終わる。


『ED5・一匹の獣』
・シーン1で分岐Bが起き、シーン2で大介の説得を行わなかった場合。
インスマウスの子が壊滅した後、柳班は全力で大介の行方を追った。しかし、いくら探しても見つからず、時間だけが過ぎていった。
だが、インスマウスの子の壊滅以降、九頭龍市には、時折黒いヒトガタの怪物が現れる、という噂が流れ出したのであった。(ここでPCごとの個別エンディング)


『ED6・人間である証明』
・大介の説得に成功した場合。
・ED3で大介の要求を拒否した場合。
時は過ぎ、救急車で運ばれるPC達。インスマウス地下祭壇での怪我を癒すため、病院へ向かうのだ。
そこに同乗していた大介が、呟く。

大介「俺は…俺は人間として、生きて、良いんですか?」

数か月後、インスマウスの子らが壊滅し、怪我から復帰した柳班はその『後始末』に奔走していた。
大介は、しばらくは柳班の預かりとして、身柄を保護されている。柳班を信頼している彼を多くの悪意から守る責任を、PC達は負うことになった。(ここでPCごとの個別エンディング)


『ED4を除く共通ラスト』
怪我が完治した柳警部が、職場のデスクで日記を書いている。
「俺の部下達のしたことは無駄ではなかった。おかげで、山本大介少年の身に起きた事件…通称『ヒトガタ事件』の解明が大きく進んだのだから。人間とはなんなのだろう、人間の定義とはなんなのだろう。人間は大きくその心身を変える。時には、種族的な範疇すらも越えてしまう。なら、人間の定義とはなんなのだろう。「自分は人間だ」と、誰が確かに証明できるだろう?山本大介は人ならざるものへと生まれ変わってしまった。だが、俺は、悲惨な目にあってももがき続けた彼こそ、最も人間にふさわしいと、俺は感じた」

以上でシナリオは終了。





{アイテム}
・大介に関するメモ
柳警部が令状でもらってきたメモ。一週間前から行方不明とされていた山本大介に関する調査メモ。他の課が捜索してて、これはその時の調査結果だという。
これをPCが入手した時、メタ情報として、GMはPLに大介のステータスを公開しても良い。

・勝の日記
山本勝の日記。一番古い日付は去年で、仕事への不満などが書かれている。
5月20日にインスマウスの子らからコンタクトを受け、研究への協力を受けた旨が記されている。
5月23日、暴力的な脅迫を仄めかすメッセージを受け、研究協力を受諾してしまったことが記されている。
9月6日、他人を使うことへの罪悪感から息子を被験体に使う旨が記される。また、妻の香奈が実験に使う神話生物の生態に魅了されていくことも同時に描かれる。
10月1日、息子を相手に、様々な神話生物の遺伝子を移植する人体実験を始めること、それに対して今にも発狂してしまいそうな心情が書かれている。また、警察への密告計画がインスマウスの子の信者にバレたことも書かれている。
10月5日、乱暴な筆致で、息子はまごうことなき人間であり、そして自分は妻子を愛している、というメッセージが書かれている。
日記は以上で終わっている
読み終えた結果、読んだPCは一人の男が経験したおぞましい出来事とその結末を想像し、SANチェックを行う。成功で0、失敗で1d2。


・香奈の日記
USBに文書フォルダとして残っていた山本香奈の日記。一番古い日付は今年の5月で、世間の話題や身の回りの出来事が記されている。
5月20日に、夫がインスマウスの子らからコンタクトを受け、研究への協力を受けたこと、それに対する不安が記されている。
5月23日、暴力的な脅迫を仄めかすメッセージを受け、研究協力を受諾してしまったことが記されている。
7月12日、実験材料として食屍鬼になりかけている人間が送られてきたことが記されている。
8月30日、インスマウスの子が研究材料として呼び出す神話生物に知識欲が止まらない旨が記されている。
9月6日、他人を使うことへの罪悪感から夫が息子を被験体に使うこと、それに対する反発の意思が記される。また、自らが実験に使う神話生物の生態に魅了されていく自覚も書かれている。
9月9日、もっと神話生物を研究したくなり、インスマウスの子の持つ魔道書を盗み出したことが書かれている。
9月12日、魔道書の解読を終えたことが書かれている。この日付以降、誤字脱字が目立つようになる。
9月28日、魔道書の内容が「意識のみの時間旅行」であり、過去世界の生態系見たさからそれを実践してしまったこと、現実に帰る直前何かに睨まれたような気がすることが記されている。
9月30日、無性に角が気になることが書かれている。
10月1日、息子を相手に人体実験を始めること、それに対して神話生物への研究欲からそれを気にしなくなってきた自分への恐怖が記されている。
最後に、息子や夫の様子を省みずに神話生物への研究欲を貪る自分への悔しさ、そしてどんな姿になろうとも大介は大介に変わりはない、というメッセージが記されている。
日記は以上で終わっている
読み終えた結果、読んだPCは徐々に狂っていった女とその末路を想像し、SANチェックを行う。成功で1、失敗で1d6。

【クリア報酬】
ED3,5
・SAN値1D10+1の回復
・戦闘技能の技能値を一つだけ1d3増やして良い

ED2
・SAN値1d6+1の回復
・戦闘技能の技能値を一つだけ1d6増やして良い
・【アーティファクト】『不浄の角』 効果:使用時、一回だけ攻撃が装甲無視となる。使用した場合、消滅する。

ED6
・SAN値1d6+1の回復
・【アーティファクト】『人である証明』効果:使用時、一回だけ説得・信用の技能値に50%の補正がかかる。使用した場合、消滅する。
シーンNo. 種別/発言者 コマンド/説明
シーンは設定されていません。

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