30年近く前、華やかなるネヴァーウィンターことボスンハムンの都は、“奈落の大侵食”によって滅びた。 都の人口の半分が死に、その中には統治者の一族、アラゴンダー家も含まれていた。 大地の震えが都を揺さぶり、大地には大穴が開いてそこから 地下世界の恐怖が湧き出してきた。 大変動を生き延びた者 たちのほとんどは逃げ出し、都は破壊され、ネヴァーウィンターの王冠――この都の力と影響力の象徴――も永遠に失われたと、人々は信じるようになった。 数年前、都市の再建が始まった。 ウォーターディープの領主、ダガルト・ネヴァレンバー卿が、その膨大な資金、そしてミンターンの傭兵軍とともに、この地に平和をもたらし、都を再建するために北上してきたのである。 彼の最初の仕事は、化け物の中でも最悪の部類の輩を隔離 するために壁を築くことであった――この戦略は当面成功 を収めていた。 避難していった人々がぽつぽつと戻り始め、その流れは 去年になって安定したものになった。 彼らの故郷と生活は 建て直されるだろう――自分をこの都市の守護卿として受け入れる限り。そう、ネヴァレンバー卿は言っている(彼はアラゴンダー王家との血縁関係を口実にこの都市の王位継承権を主張するつもりなのだという憶測が広まっている)。 そして現在、突然の、そしてどうにもありえないことに思われる “守護卿区”への “奈落の魔域”からあふれだした魔神の攻撃に応じるように、 どうやら“真の”ネヴァーウィンターの嗣子(しし)らしき人物が現れた――それは、ネヴァーウィンターの失われた王冠としか思えないものを戴く戦士なのだ。 大規模で人目につく事件のせいで、ネヴァーウィンターに住む者全員の忠誠心が 試される破目に陥った。 都で内戦が勃発する前に、守護卿閣下は英雄たちを雇って件の“嗣子”の後を追わせ、彼の要 求の正当性を確認しようとするのである。
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