断章
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登録日:2022/06/01 06:18最終更新日:2022/06/01 06:18 |
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7. arc | |
2023/01/14 12:35 |
第10.5話B 一人の男が森の中を進む。 自分の古なじみから教えてもらった一つの悲しい戦い…その結果を見に。 「…うーん。あれから教えてもらってたけど…はぁ、まさかこんなの作ってたとはねぇ。まあ、あのメテオノーラを名乗る少女を見た時から薄々わかってはいたのだけど」 男…魔導士ギルドのトップに収められてしまった、ハールロット最強の魔術師である古人…いまはエールを名乗るものは、そうため息をつく。 「さて…と」 エールは懐から酒を取り出し、周囲に振りまく。 「ま、中身が違うとしても、大事な人であるのは変わらないからねぇ? …あなたが好きだったお酒さ、存分に味わってください」 そういいつつひとしきり祈った後、エールは懐から一つの異様な髪飾り…師から託された神器を取り出す。 「※※※」 エールは魔法文明語で何事かをつぶやいたかと思うと、彼の持つ髪飾りが2度輝く。それを見届けた後、なにもなかったようにそこに彼の姿はなかったのだった。
6. arc | |
2022/12/03 12:52 |
第10・5話A 「くそっ…!」 暗い隠し祠の中で、一人の男は逃げ出さなければならなかった己のふがいなさに舌を打つ 「まさかあんなところで、”万魔”に出くわすとは…出なければ…!」 あの遺跡で蛮族から最新の魔神化研究の成果を交換し合い、これで解放の日も近いと、心が躍った矢先の出来事だった。 いきなり戦闘音が鳴り響き、研究成果の隠匿と引き継ぎのための準備を早々に済ませて、脱出しようとした先にいたやつらのせいで、男は逃げ出さなければならなくなってしまった。 自分の顔見知りである”3人”の人物。他のやつらは置いておいて、男はその姿に思い更ける。 「”万魔”が相手であるなら…勝ち目はない」 自身よりも強大で勝つ技巧を備えた相手。母に教えを受けた弟子の一角。自身の切り札であるアリストクラシーでさえも、貴格であるあの男には通用しない。いままで自分がおとなしくしていた理由でもある、厄介な相手だ。 「あいつは…俺のことに気づいていなかったな」 自身と同じ戦災孤児であり、同じ母親に育てられた少年のことを思いだす。 時渡の影響で記憶を失っているのであろう、ということは容易に想像がつく。自分も、運命もそうだったのだから。 ただ、もしあの弟が記憶を戻したら…厄介だろうな、と、またため息をつく 「そして…最大の問題は…あの玩具か」 自身が解放のために作り上げた7体の分割体。そのおもちゃ あの女もまた、弟と同様に自身のことに気づいてなかったな…とふと、思い出す。 「…だが、そちらは問題はないだろう…1点を除けば」 あの玩具がたとえ記憶を取り戻しても問題はない。入口はあの頃と変えているし、戦闘力としても大した問題もない。 だが、1点問題を上げるとするならば… 「どうしてあの女が生きている…?」 あの女は死んだはずだ。すくなくとも、そう確認させたはず… 「いや…そういうことか!」 男は自身の隠れ家に向けて歩き出す。 問いたださねばならない。自身の鎖を受けているはずの相手に
5. arc | |
2022/10/15 12:40 |
第8.5話 少女は暗い道を歩む。 創造主との契約に不備がないことを確認し、お互いに契約を守り続けるという確認も済んだ。 またしばらくは大丈夫だと、仮面をつけた少女は安堵のため息をつきながら、これからのことを考える。 考えるべきは、今躍進中のある冒険者パーティーのことだ。今はごまかせているが、これから先、彼女らがこれ以上こちらに介入してくると、あの男をだませそうもない。 自分が注目をせざるを得ないパーティーの面々を思い出しながら、今度は悩みのため息を吐く。 (さてどうしましょうか……おや?) 暗い道を歩きながら、悶々としていた彼女の視界の端に見知った顔が見えた。 その男は”屍舞い”の異名をとる、この組織の戦闘部門のトップを務める死体愛好家であった。 「…どうしてここにあなたがいるんですか?」 少女は当然の疑問を口にする。この小心者はあの男と対峙するのを避けるために、この隠れ家にはめったに近づかないはずなのだ。 「ヒィッ……あ、ああ…おまえですか人形‥」屍舞いと呼ばれるほどの人間が、少女に声をかけられてビクッと反応を起こす。 「?……この先は保管庫…ですよね? あなたが立ち入る必要性はないと思いますが…?」 「そ…それは……そ…そうだ! じ…実はついさっき、わが神からのお告げがあってな! いいものがあると教えてくださったのだ…は‥、はは…だから、いま貴様にかかずらわっている暇はない、ワシは先に行かせてもらうぞ!」 男は慌てた表情で、少女から離れていく。 少女は疑問に思いながらも日々を過ごし…3日が立ったのち… 「!…ッ、あの男は…!」 記録を確認して少女は激昂を口にする。彼女が絶対に許せないことがらに、あの男は手を出したのだ。 「‥あの男が向かったのは…そこか…!」 情報を集め、少女は屍舞いの後を追う。そのあとに何が起きるのか想像しながら…
4. arc | |
2022/09/24 12:40 |
第7.5話 「…お連れしました」 どさっ、という音とともに、フードを深くかぶった少女は、女性を投げ出した。 投げ出した女性の名はエイディ・レイジィ。蠱毒と言われた女性…その敗北した姿である。 「ふん…使えないやつがおおいな全く」 その地面に倒れ伏す女性を見下ろしながら、少女の奥に座る男性……彼女の主は嘆く。 「まったく……これでは救済の日は遠のくばかりだな。あの万魔を封じている今が動くチャンスだというのに」 彼がこの国でもっとも警戒する一人の男性…昔馴染みの知り合いを頭に浮かべて嘆息をうつ。 自分たちの目的を果たすために、愚物と蛮族を利用して、しばらく好きに動けないように、厄介ごとをいろいろと押し付けたというのに。 「まったく領主もいつもいつも邪魔ばかりしてくれる…あの女を殺したいところだが、あの男に近すぎてさすがに手は出せない…まったくもどかしい」 そこまでいって男はふと気づいたように少女に声をかける。 「で……この女を倒した冒険者たちは脅威になるのか? 他はともかくそんなに雑魚だったかこいつ?」 まがりなりにも自分が作った組織の一部門を任せている女を倒した冒険者たちに少しの警戒を払うが… 「……いえ、あの一件は領主の軍勢の力がなければ彼らではどうしようもなかったでしょう。事件にかかわったのもたまたまらしいですし…気になさる必要はないかと」 そう、”嘘ではない”言葉を無理やりに発して男の気をそらす。自分にかかる誓約の痛みにこらえながら 「そうか、ならいい。…とりあえずこいつは強化漕にぶちこむぞ。出てきたときには少しは役に立てるだろう」 そして少女は安堵する。…なによりも大事なものを守れたのだから。
3. arc | |
2022/06/17 11:23 |
第3.5話 「いやぁ、ここのお酒はいつ来てもおいしいねぇ?」 なじみの酒場で、エールはお酒をたしなんでいる。 「いやぁ、エールちゃん大昇進じゃないの、死んだ人間のことを悪く言うつもりもないけど、よかったんじゃない?」 新しい酒を持ってきたウェイトレスの女性にそんなことを言われるが、エールは肩をすくめて否定する。 「いや? あいにくあたしにとってはそんなメリットないのさ。一応、下に行きやすくなったってメリットはあるけど、別に前までも時間はかかったけど、いけないわけじゃなかったからねぇ」 「それよりギルド長としての仕事に忙殺されて、最近したい研究ができなくて困るのさ。…はぁ、誰かやってくれる人はいないかねぇ?」 はぁ、とため息をつきながら、エールは新しいお酒に手を出す。 「大変なんだね、エールちゃん。…うーん、そういえば、すこし疑問なんだけど、前のギルド長はどうして、蛮族の手を借りようとしたのかな?」 ああ、とおもいながら、口をつけていたお酒をテーブルに置き、エールは自身の予想を口にする。 「おそらく…とは先につけるけど、たぶん、嫉妬と見栄と劣等感じゃないかねぇ? あれは自分があたしにはかなわないってことが嫌だったみたいだからねぇ。ギルド長という立場で満足してればいいものを、深域の調査という栄光に見せられてしまったんじゃないかね? そこを蛮族とかに利用されたわけだ」 「深域…?」 エールの言葉の一句にウェイターがコテっ?と首をかしげて疑問を口にする。だが… 「ああ…気にする必要はない言葉だよ。気にしないどくれ…さーて、新しいエールをよろしくぅ!」 「エールちゃんそれで12杯目だよー? はーい、オーダーはいりまーす」 ウェイトレスが突っ込みながらも、オーダーを持っていくのを見ながら、エールは口にださず、言葉を重ねる。 (おっと、酒で口が緩んだかねぇ? まあ、一般人には関係ないことだけど。あそこはそれなりの実力者じゃない限り、死ぬだけだからねぇ) (実力者…そういえば、疑問点はあったか。たしか相手は、ギルド長とすこし強化された程度のオーガ、それと不明な人物一人。不明なほうはあたしでもわからなかったけど…彼らでどうにかできる場所でもないんだけどねぇ? 一体何を企んでたんだか) 新しいお酒が来て、エールはいったん思考を中断し、さらに口を潤すのだった。
2. arc | |
2022/06/09 15:54 |
第2.5話 「行ってしまったな…」 馬車に乗っていってしまった、自分の義息子を見送る。 ある日、甲高い音とともに現れた落とし仔を想いながら、彼に渡したペンダントのことを思い出す。 「子安貝のペンダント…か。それにしても、あれはどこにあったんだろうな」 彼が見つけたものは、ちゃんと渡しておいた。あれがフィンの役にたってくれればいいんだがな…そんなことを思いながら村長はしばらく進みゆく馬車を見つめるのだった。
1. arc | |
2022/06/01 06:26 |
第1.5話 「グギ?」 太陽が昇り始めるという頃。 街道から少し離れたところに廃拠点にその影はあった。 「ナンダ、ゼンインイナイナ、ドコガヤラレタ?」 一つの大きな影が声を発する 「タシカ、アイツハアッチノホウノ、モリニサガシニイッタ!」 小さい影が大きな影の質問に方角を指で刺しながら答える。 その方角は…ホルシャ村を指していた 「ウン…? アッチノホウニツヨイヤツトカイナイダロ…ナンカアッタナ、モシカシタラアタリカモシレナイ!」 大きな影は大きな武器を手に立ち上がり、大声で吠える。 「イクゾ、ヤロウドモ!」 そうして影たちは動き出す。 村を滅ぼして、自らが望むものを手に入れるために、一つの魁が動き出したのだった。
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