【ロストロイヤル】ギフト:その2【TRPGリプレイ】
注意: 当ページの内容の転載、複製は著作者の許可がない限り行わないでください。
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本作は、「うらべ壱鉄、冒険企画局、新紀元社」が権利を有する「ロストロイヤル」の二次創作物です。
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本作は、「うらべ壱鉄、冒険企画局、新紀元社」が権利を有する「ロストロイヤル」の二次創作物です。
【ロストロイヤル】ギフト:その2
◆分岐フェイズ
『万の歌』と『森の卵』、どちらの宝を受け取るか選択することとなった騎士と王子。思考の末『万の歌』派はノエル、『森の卵』派はトリンシックとリリに分かれることとなった。
今回は【時間】が1の短めのセッションなので行動回数と得られるリソースに自ずと制限がかかる。話し合いの結果まずはリリが「討伐」で判定を行うことに。
リリ : 「ここは日が差しているからおいしいものが取れるはずですわ!」
ベリーや林檎のなる木々から一番美味しい実を採取しようとするリリ。本人曰く「心が光合成している」とのこと。
判定の結果「冒険」で失敗したため食べるには渋い実を収穫し、名探偵ピカチュウみたいに顔をしわくちゃにすることとなった。
次に動いたのはトリンシック。「日常」をテーマに王子と会話をすることに。穏やかな森の中で家族の話をするふたり。
トリンシック : 「小さいころ婆ちゃんに、『大森林の奥にはいっちゃいけないよ、あそこは妖精やもっと不思議なもので満たされてるんだ』と言われてたんすけど、こんなにも不可思議な場所だとは思わなかったっすね」
エゼク : 「あはは……エイルーカ大森林は、民間伝承でも親しまれていると聞いたけど、トリンシックにも馴染みがあるんだね」
髪にかかった水を軽く払い微笑む王子。
エゼク : 「……ぼくにも、母上が少し、語って聞かせてくれたことがあったよ。不可思議に愛されたあなたなら、もしかしたら、大森林に住まう不可思議たちとも仲良くできるかもしれない、と」
どこか寂しさを感じる、過去を懐かしむような表情で王子は語る。
エゼク : 「家族の言葉が胸に残り続けるのは、どこも同じだね。まさか本当に、ここへ来ることになるとは思わなかったけど」
トリンシック : 「うちは兄弟がいて爺ちゃん婆ちゃんと両親がいて……と普通の家族で、よく森にピクニックにいったりもしたんすけど、王子にもそういう思い出ってあるんっすか?」
ここで判定をはさみ、ファンブルを出した後振り直しでスペシャルを出す波乱の展開があったがなんとか成功。
エゼク : 「……ぼくは、あまり家族との思い出というものがないんだ」
目を閉じ、王子は回想する。父である王セヴァンは『英雄王』の二つ名で呼ばれる偉大な存在。王子としてはその息子であることに若干のプレッシャーを感じていたようだ。
エゼク : 「療養している母上をお見舞いに行って、いろんな話を聞かせてもらうのがぼくにとっての一番幸せな時間だったよ」
王都が陥落して以来、行方不明となった母グレイローザ妃。トリンシックが羨ましいと寂しさを含んだ笑顔で語る。
トリンシック : 「ただ、王子が暖かな家族にあこがれてるとすれば、将来お妃様ができて、自分が家族を持つ身になったらきっといい家庭を築けるんじゃないかな、と今思ったっす」
エゼク : 「そ……想像すると、それこそ照れくさいな」
婚約の話はいくつか持ち上がっていたものの、どれもうまくまとまらずに今に至っていた。でもそんな未来も悪くはないのでは、とふたりは笑い合うのだった。
リリ、トリンシックと続き最後にノエルの手番。「命題」について王子と会話することに。川辺で小鳥を手にとめている王子。さえずりに合わせて、それを真似るように口笛を吹く。
ノエル : 「いやー、ここは平和ですのう。魔王の脅威なんて嘘のようじゃな」
エゼク : 「ノエル。……そうだね。つい先日あんな戦いを繰り広げたのが、悪い夢だったかのようだ」
しかし、ここでのんびりし続けるわけには行かないとノエルは語る。『森の卵』を手に入れれば豊饒が手に入るものの、目下の危機を脱するには『万の歌』による武力が必要となるのだ。
エゼク : 「……うん。ぼくも……ほんとうのところを言えば、最初は、ノエルの言う通り万の歌へと手が伸びそうになった」
悩みながらも言葉を重ねる王子。
エゼク : 「力は、ぼくに一番足りないものだ。今のぼくは小鬼一匹相手どれないし、それを持たざるために、英雄王セヴァンの息子という皆の期待の外に身を置くことになってしまった」
迷いを抱えたまま、指先から飛び立ってゆく小鳥を王子は見送る。
ノエル : 「確かに、それができれば1番じゃ。じゃが、それをするには目の前の危機を越えねばならん」
エゼク : 「目の前の危機、か……」
ノエル : 「あの贈り物は、今苦労して未来の希望を取るか、未来に苦労しても今の困難を軽くするかということじゃな」
ここで一度判定を挟む。ファンブルの脅威にさらされたものの【正義】を消費し無事成功。
エゼク : 「ノエル。ぼくはトリアールと戦ったとき、目の前でトリンシックが……皆が深く傷ついてゆくのを見て、とても恐ろしかった」
小鳥が飛び立った左手をぎゅっと握る。
エゼク : 「結論を、今ここで下すことは、できないけれど。弱いままのぼくでは、いたくない。……きみの言葉を聞いて、心からそう思った」
白い指がゆっくりと握りこぶしを作る。それは目の前に広がるであろう苦難に抗うかのようにも見えた。
ノエル :「良き心構えじゃ。そうやって少しずつでも前に進んでいくことが大切じゃよ。しかしどちらが正解、というわけでもないのでそんなに気を張り詰めないことじゃ」
そう言い残し、ノエルは去っていく。相変わらず年長者ロールが非常にうまかった。
行動が一巡し、一行は森でもうしばらく過ごすこととなった。迷いや恐れも飲み込むほど深い緑の中で、騎士と王子はどちらの『ギフト』を選ぶのか。