【AD&D】ピクニック(前編)【TRPGリプレイ】
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本作は、「Wizards of the Coast」が権利を有する「Dungeons & Dragons」の二次創作物です。
DUNGEONS & DRAGONS, D&D, Wizards of the Coast, Forgotten Realms, the dragon ampersand, Player’s Handbook, Monster Manual, Dungeon Master’s Guide, all other Wizards of the Coast product names, and their respective logos are trademarks of Wizards of the Coast in the USA and other countries. All characters and their distinctive likenesses are property of Wizards of the Coast. This material is protected under the copyright laws of the United States of America. Any reproduction or unauthorized use of the material or artwork contained herein is prohibited without the express written permission of Wizards of the Coast. Japanese edition: Hobby Japan (2-15-8 Yoyogi, Shibuya-ku, Tokyo 151-0053, JAPAN) Japanese Translation (c) Wizards of the Coast LLC
先週に引き続き、草原で馬の調教師生活を夢見る短弓を扱う女戦士クリスティンの冒険譚です。前半は私には珍しくほのぼのとした進行です。幼女プレイはDMの中の人のMPが下がりました。たぶんもうすることはないでしょう(苦手なんです……)。
そして一転してがらりと雰囲気が変わる事件が起きます。これこそ私のキャンペーンらしいと思います。
DM: 前回は、帰郷したアイリーンが妹たちにせがまれて、翌日ピクニックに出かける……という話になっていました。で、その前に、新調したフルプレートの着付けを手助けしたり、お土産の髪飾りをもらったりしたのでした。家令のグレッセルさんや、アウグストたちにもその勇ましい姿をお披露目したあと、甲冑は脱いでピクニックに出かける用意を始めます。
テオドシアス7世: さすがに、ピクニックには鎧は着て行かないやね。外は危険そうだけど。
DM: ええ。けっして安全とは言えませんが、それでも鎧着てピクニックにはいかんでしょう。
テオドシアス7世: ですよねー。まあ、クリスティンは革鎧だから、もしかしたら着てるかもですが。
DM: そのあたりは御随意に。クリスティンのことですから、がっちりと煮固めたハードレザーではなく、しなやかなソフトレザーと考えたら、普段から着込んでいても不思議ではありません。
テオドシアス7世: まあ、今回は護衛という役割もあるでしょうしね。普段でも、治安維持という役割上、用心のために着ているでしょう。
DM: 了解です。その日は、他にアウグストと、例の女性司祭が同道することになりました。名前は……アレクリットさん。ちょっとぽちゃ気味……と言ったらかわいそうかな。ふっくらした20代前半と思われる女性です。
テオドシアス7世: ふむふむ。年が近いなら仲良くなれそうかな?
DM: そうですね。暗いわけではありませんが、どんどん前に出てくるタイプではない、ちょっと控えめな人ですね。明るい金髪と青い瞳で、もう少しスリムになったらきっと美人なんじゃないかな、と思います。「焼きたてのパイがあるの。みんなで食べましょう」
テオドシアス7世: 「お、いいねえ。じゃあ、パイはあたしが切り分けてあげるよ」とかいいながら、いつも使ってるナイフを取り出して見せる。
DM: 「お任せするわ」とにっこり。彼女は簡易僧服を着込んでいますが、鎧や武器は持っていません。
テオドシアス7世: じゃ、パイを切り分けましょう。アイリーンの分は心なしか大きめに切り、自分の分はちょっと控えめに。あとの2人は同じくらいのサイズで。
DM: 「ここから小一時間くらい歩いたところに、小さな森と泉があってね。小さい頃に良く馬で野がけしたものよ。そこでのんびりしましょう」とアイリーン。あなたもああ、あそこのことかな、と見当が付きます。
テオドシアス7世: 「いいね。森と泉は、あたしも好きな風景だ。今日は一日、のんびりしよう」
DM: というわけで、めいめいバスケットに食べ物やら飲み物、敷物なんかを詰め込んで出発しました。ふたりの妹たちは順番にアイリーンの馬に乗せてもらったりしています。さあて、ピクニックと言えども遭遇する可能性があるのがAD&D。
テオドシアス7世: ですよねー。やっぱりきますよねー
DM: というわけで、遭遇のダイスを振っていただきます。1d20を1回振ってください。天候は晴れ。へんぽんとした青空が広がり、彼方の方に千切れ雲がちらほら。
テオドシアス7世: えーと、9ですね。
DM: はい、了解です。では、目的地にたどり着きました。以前の記憶と寸分たがわず、ちいさな泉には清流が流れこみ、陽光をきらきらと反射しています。近くの森からは小鳥たちのさえずりが聞こえます。
テオドシアス7世: 「ふぅ。何も出なくてよかったよ…。あー、いい景色だなぁ。懐かしい…」
DM: 「最近は、なにか怪物は出る? ヘリウスがずいぶん退治したって聞いたけど……」ここで補足しますと、男爵領の貴族たちにとって、モンスターハントは義務であり、スポーツとしても奨励されています。これは初代男爵以来の伝統です。
テオドシアス7世: 「怪物ねえ…。そういえばこの間、オーガが現れたな」と、前回の冒険?の話をします。
DM: はい。実はあれ、あの後よく考えたら、今の時系列よりも半年くらい前の話でした。つまり、今は冬を越して、今は晩春です。だから、この男爵領にとって最良の過ごしやすい季節ですね。夏は夏で暑くなるんですよ。イメージ的にはシカゴとか、五大湖近辺なので、夏は40度近く、冬は氷点下でブリザードが吹き荒れたりして、実は過酷な土地です。
テオドシアス7世: ありゃ。そうだったんだ…。じゃあ、半年くらい前に…と言い直そう。
DM: 幸いにして、その冬は大したモンスターの襲来もありませんでした。何年かに一度、厳寒期にフロストジャイアントたちが襲撃してくることがありますが、それもデルナールリヴァー以北のことで、この草原地帯まで来ることは滅多にありません。その代り、草原地帯に付き物のモンスターは出ますが。それと、ここから南東に位置する巨大な山脈があり、その名もWyrm’s teeth Rangeと言いましてな。日本語に直訳すれば竜牙山脈ってところでしょうか。名前の通り、ドラゴン族の聖域なんですよ。で、こちらからも稀にはぐれドラゴンが流れてきたりします。ドラゴンに対しては、まあ基本的にはなすすべはありませんね。タイフーンにでも出会ったと思って諦めるしかありません。とはいえ、過去にはそれらの竜を倒して「竜殺し」の称号を得た猛者たちもいないわけではありませんから、ドラゴンといえども退治不可能というわけではありません。
テオドシアス7世: ふむふむ。こうして考えると、けっこう怖い所に住んでるんですな。
DM:デルナール川の北側が特殊な地形でしてね。西側は完全には凍らない湖。そして陸地は狭隘な谷間なんです。ので、守りを万全にしておけば、いかな氷の巨人と言えども防ぐことも可能……ということになっています。
テオドシアス7世: ふむふむ。でも、巨人やドラゴンには、まだ会いたくないですね。
DM: その他に、30年周期で大量発生するオーク族が東の森から沸いて出てくるんですが、これもなかなか厄介。これだけ災難にさらされているのに、この男爵領はかなり裕福。それはいくつかの理由がありますが、あなたに関わるところで言えば、軍馬の名産地であるのが大きいでしょう。なんせ馬によっては数千gpですからね。さて、話を戻しましょう。メディラとディータがあなたのところにててて、と近づいてきます。
テオドシアス7世: 「ん? どうかしたかい?」
DM: ディータ「あのねクリス、花環の作り方を教えてほしいの! ほら、メディラからもお願いするのよ」メディラはもじもじしています。ディータは快活な少女ですね。メディラはちょっぴり恥ずかしがり屋かな。でも秀でたおでこが可愛く、聡明そうな印象を受けます。
テオドシアス7世: 「花輪? まあ、一応作り方は知ってるけど…、ここ数年そんな乙女チックなことはしてないからなあ…。何だい、好きな子にでもあげるのかい?」
DM: ディータ「アイリーン姉さまにあげるの!」とにっこり。対してメディラはかーっと頬を赤らめています。
テオドシアス7世: 「そうかそうか。アイリーンにあげるのか。ならば特別にきれいな花輪を作らないとな」なぜか俄然張り切りだすクリスティン。
DM: はは。ではせっせと二人を指導して作らせてあげてください。二人の分の「きれいにできたかチェック」をしておきましょう(ルールにはそんなチェックなんぞありませんが)。おお、なんか二人ともかなり筋が良いみたいで以外にもきれいに仕上がりました。
テオドシアス7世: これは、教え方が良かったからか、本人の実力か……。
「おお、なかなか綺麗にできたじゃないか。これならアイリーンもきっと気に入ってくれるぞ」
DM: 「できた! ありがとう、クリス」と口々にお礼を言ってくれます。で、ディータはアイリーンに渡しに行っています。メディラは……。
テオドシアス7世: 「おや? メディラはアイリーンに渡しにいかないのかい?」
DM: こくっと頷くと、あなたにおずおずと渡します。
「あはは。クリス、責任重大だね」とアイリーン。
テオドシアス7世: 「え? あ、あたしに? …い、いやあ、あたしがもらっちゃっていいのかい? 照れるねー。ありがとう」(にこやかに微笑みながら受け取ります)
DM: メディラは照れながらもまんざらでもない様子です。
ディータ「ねえ、クリス。あれなあに?」とあなたの後ろを指さします。
テオドシアス7世: 「ん、なんだい? うしろ?」言われるがままに振り向きます。
DM: はい。遠く空の彼方で二羽の鳥が追いかけあっているように見えます。
テオドシアス7世: 「鳥か? まさかドラゴンなんてことはないよな……」その方向にじっと目を凝らす…。
DM: はい。鳥にしては大きく、一方は陽の光を受けて鮮やかに反射するあかがね色ですし、もう一方は禍々しい真紅色です。激しく絡み合い、もつれ合いながらこちらへ飛来してきます。
テオドシアス7世: 「あー……なんかこれはちょっとまずい予感がする……。あれ、鳥にしてはちょっと大きいぞ」と、一行に警告を出します。
DM: 二頭のそれは、もつれあいながらもこちらへ近づいてきます。深紅色の方が腹の底に響くような咆哮を上げました。セービングスローをお願いします。vs breath weaponです。
テオドシアス7世: えー、14ですね。
DM: すげー。成功値は13ですので、あなたはその魂を凍てつかせるような咆哮の恐怖に耐えました。一方、他の面々は恐怖のあまり立ちすくんでいます。
テオドシアス7世: 「しかもこっちに近づいてくる! まずい、ここは早々に退散した方がよさそうだ。逃げるよ!」叫ぶクリスティンだったが、他のみんなは立ちすくんでいるだけの様子。
DM: アイリーンはとっさにメディラとディータを脇に抱えると森の際を目指します。そう。騎士の特殊ルールですが恐怖を無効化できるのです。
テオドシアス7世: へえ、そうなんだ。じゃ、私も司祭様の手を引いて後に続こう。
DM: 「クリス、アレクリットさんを!」
テオドシアス7世: 「さあ、司祭様。こっちです!」とかなんとか言いながら。
DM: アレクリット「あっ、歩けない……」と言ったきりへなへなと。
テオドシアス7世: 「しっかりしてくださいよ、司祭様。ここにいては危険です。早く村へ帰らないと!」
DM: アウグストも固まっています。まあ1レベルの戦士ですからね。
テオドシアス7世: 「アウグスト? ああ、あいつもいたんだったけか。ああ、もう! どうしたらいいんだ。司祭様だけなら背負っていけるが、2人は無理だぞ」まあ、最悪の場合はアウグストには独力で頑張ってもらうしかない……。
DM: 「クリス、こちらへ! 妹たちを見ていて!」と先に森の際に到達していたアイリーン。
テオドシアス7世: 「え? あ、アイリーン? 何か策でもあるのか?」
DM: 頷いています。
テオドシアス7世: 「わかった。なら、任せるよ。妹たちは、あたしが安全に村へ連れ帰るから」
DM: というわけであなたと交代にアウグストとアレクリットを助け出しに行きます。アイリーンが声を掛けて手を取ると、二人ともようやくのことで恐怖の呪縛から解放されたようで動き出しました(余談ですが馬も引き連れています)。そう、忘れ通りましたが、騎士の恐怖からの防禦オーラは半径5フィートあるんでした。だから、クリスが言っても身動き取れなかったのに、アイリーンが言ったら動けたのはそういう事情です。
テオドシアス7世: ほむほむ、なるほど。でもロールプレイ的には……
「すげえ。あたしにはまねのできない芸当だ。さすがは騎士さま。カリスマが違う!」(アイリーンの成長ぶりにしみじみとする)
「いやいや、ここで感心している場合じゃなかった。逃げなくちゃ」
DM: とにもかくにも森の際までは後退できました。
テオドシアス7世: 「さて、森の端までは来たけれど、村まではまだ遠いねえ…」
DM: そこから見ていると、壮絶な度付き合いをしていた二頭のドラゴンですが、あかがね色の方が爪の一撃をくらわすと、深紅色の方の背中から何かがばらばらっと空中に放り出されました。どうやら、なにか背中に乗せていたようです。
テオドシアス7世: 「おや、なんだろあれ?」逃げるのも忘れてドラゴンの背中を見てしまいます。
DM: で、その放り出されたものはそのまま放物線を描いて地面に落下し行きます。間髪を入れず、あかがね色の竜が深紅色の首元に嚙みつくと、深紅色の竜は盛大に血液をまき散らして落下していきます。そして長い一瞬の後、鈍い厭な音と土煙を盛大に巻き上げて地面に激突しました。あかがね色の竜は勝ち誇ったような一声を放ってそのまま山脈へと飛び去って行きました。
……というわけで、まさかのドラゴンと遭遇。後編に続きます。