【AD&D】重臣会議①【TRPGリプレイ】
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本作は、「Wizards of the Coast」が権利を有する「Dungeons & Dragons」の二次創作物です。
DUNGEONS & DRAGONS, D&D, Wizards of the Coast, Forgotten Realms, the dragon ampersand, Player’s Handbook, Monster Manual, Dungeon Master’s Guide, all other Wizards of the Coast product names, and their respective logos are trademarks of Wizards of the Coast in the USA and other countries. All characters and their distinctive likenesses are property of Wizards of the Coast. This material is protected under the copyright laws of the United States of America. Any reproduction or unauthorized use of the material or artwork contained herein is prohibited without the express written permission of Wizards of the Coast. Japanese edition: Hobby Japan (2-15-8 Yoyogi, Shibuya-ku, Tokyo 151-0053, JAPAN) Japanese Translation (c) Wizards of the Coast LLC
ヴァンパイアの襲撃による横死をしてしまった先代男爵と筆頭後継者だった長子の跡目を巡って紛糾しているヒューナースドルフ男爵領。今回は御領内のお歴々が集まって後継者を決めるべく会議を開くというセッションです。大半がNPC同士の会話の応酬であり、それ以外でも戦闘は一切なし、ルール的な対応もほぼなし、という相当異色なセッションの回でした。
参加プレイヤは二人で、まずは先代男爵ともども横死してしまった男爵領最古参の有力貴族の庶子、騎士クレイグ・ロイツベルガー役の「おタカ」さん。そしてその父親の右腕ともいうべき家老格、ゲルハルト・ローンフェル役のドメネクさんです。
お二人はそれぞれ別の時系列にてキャンペーンに参加していただいていましたが、今回は次期男爵の座を決めるべき「重臣会議」開催に当たって、参加していただいたわけです。状況としては、すでに騎士団長で男爵の実弟であるダヴィットは男爵の次男であり、騎士団に所属しているエルンスト・ヒューナースドルフを推していて、「教会派」は聖騎士であり三男のトマス・ザーウェル・ヒューナースドルフを推しています。双方ともに言い分があり、埒が明かないので「重臣会議」にて決議しようとの運びになりました。
DM:会議に先立って、クレイグはダヴィットに呼び出されます。
クレイグ:「はい、ここに。」
DM:「本来であれば、貴君はこの会議に参加する資格がないのだが、事態が事態だ。打てる手は全て打っておきたい。
クレイグ:「承知しております。」
DM:「ついては本日より貴君を副騎士団長代理に任命する。その資格において参席するのだ」
クレイグ:しばらく沈黙して、「ありがたく承ります。ひいてはこの身が滅びようとも、我が剣を騎士団に。」
DM:ダヴィットはその父性を感じさせる頬のあたりに力を込めた硬い表情になって会議に挑みます。ところで、ドメネクさん、なにかしておくべきことはありますか?
ゲルハルト:んー、ひとまずは参加者のスタンスを確認しておきたいです
DM:どうやってします?
ゲルハルト:私個人のツテを頼るか、あるいは友人のツテを頼ります。
DM:ふんふん。了解です。まずは行政長官のフリードリヒ・エルドライン卿。明確には態度を表明していませんが、彼は幼少のころから騎士団長と昵懇です。できる限り公正であれ、を旨とする人なので、普通に考えたら騎士団派になるでしょうかね。
ゲルハルト:ふむふむ。
クレイグ:エルドライン家はガチです。
DM:男爵軍軍司令のオットー・ホルシュタット。彼は常に自らを軍人であるべしと律し、政治に関わりあいたがらない人です。どちら側にも味方するようには思えません。
DM:水軍指令のオットー・フリュシュヴェルト。湖の利権をがっちり抑えているのがロイツベルガー家ですし、あなた自身も何年か前の河川海賊討伐の際に協同しましたから、旧知の仲ですな。ロイツベルガーの望む方向へ身を投じるでしょう。
DM:巡回衛視隊長のアエリウス・クロルス。このひとは十年くらい前に不幸な事故で妻と子を失ってしまい、以来「生きる死人」と揶揄されているような無気力な男です。かつては優秀な男だったようですが……。
クレイグ:意味深……。
ゲルハルト:なんかこわいなあ……。
DM:先代の男爵夫人ヘレナ・ヒューナースドルフ。三男で聖騎士のトマス・ザーウェルを溺愛していることで知られています。とまあ、確実な教会側、騎士団派以外の人々はこんな感じですね。
ゲルハルト:なるほど。うちに接触してくるのは、実質的に財務と水軍のふたつを票として動かせるからなんですね。
DM:なお、水軍指令には当然、ゲルハルトの配下の者より意向は伝えられているはずです。つまり、教会派です。
クレイグ:お、すでに接触があったのですか?
ゲルハルト:ああ、はい。いろいろ来られました……。
DM:水軍指令は、ロイツベルガーとは密接なつながりがありますからね。むしろ、ロイツベルガーの顔色を無視して生きてはいけない人です。会議前に判る状況としてはそのような感じですね。
クレイグ:となると副団長への任命はロイツベルガー家としての参加をも望んでいるということでしょうか。
DM:いや、逆でしょう。それはクレイグの立場的に不可能でしょうから、むしろロイツベルガー家に対してのけん制として団長は考えているんじゃないでしょうか。
クレイグ:ああ、わかりました。任命の件で少し混乱しました。
ゲルハルト:会議前の参加者への接触は可能ですか?
DM:大きく時間が掛かることはできません。せいぜい1時間程度のことなら。
ゲルハルト:ではクロルス卿のところに手土産でも持っていくついでに。かれと初対面だとおもうので、きちんと挨拶でもしておきます。
クレイグ:ゲルハルトも会議に参加ですか?
DM:もちろんです。御屋形(ロイツベルガーの横死した当主)が亡くなって、兄上もハスミナ島から出られないとあらば、名代として当然でしょう。ゲルハルトさん、では%をどうぞ。
ゲルハルト:1d100→ 65
DM:ふむふむ。
DM:「ローンフェル卿。これは……?」と土産を見つめて初老の衛視隊長。
ゲルハルト:「いえ、クロルス卿の御高名は以前からお聞きしていたのですが、なにぶんお訪ねする機会がなく……このような場で恐縮ですが、いちどご挨拶に伺おうと思いまして」
DM:ふっ、と力なく微笑すると、「私のような男にそのような気遣いは無用。そもそも卿の考えるような役回りなど、私にはできません」
クレイグ:(1秒でばれてるぞゲル!)
ゲルハルト:(ええんですよ! まあ見ててください!)
DM:衛視隊長は頑なに拒絶するというよりも、あまり構わないでくれ、とでも言いたげな表情です。
ゲルハルト:「若輩者の小細工で、どうにも不愉快におなりにならなかったらいいのですが」苦笑して
DM:「次期男爵が誰に決まろうと、私は任務を粛々とこなすだけなのだ。それよりも、卿のように前途有望な若者にはより相応しい人物が他にもいよう」……とまあ、こんな感じで暖簾に腕押しな感じでした。特に不愉快に感じているわけではなさそうです。
ゲルハルト:こちらも露骨な話題は避けて、教えをいただくという感じで接します。
クレイグ:(早速山場だゲルハルト!)
DM:了解です。それでは本会議に進めてよろしいでしょうか。
ゲルハルト:はい。本当の山場に進みましょう……。
クレイグ:はい。
DM:会議には8名の票決を持つ者たちの他にも何人かの期の領内の重鎮たちが出席しています。オブザーバーと言ったところでしょう。
クレイグ:8票のうちの多数決でしょうか?
DM:ゲルハルトは名代ですから1票を持っていますが、クレイグは持っていません。
クレイグ:了解です。そして議長はどなたで?
DM:慣例だと、重臣たちとの評決の結果を加味して男爵が聖断を下すというのがこれまでのやり方。後継者を指名しない内に死亡してしまう事態というのは前代未聞ですからね。
クレイグ:ええ。実際のところはどうだったかは謎なんですが……我々はいなかったので……。
ゲルハルト:ふむふむ……。
男爵は軍を直卒して辺境討伐の途上、ヴァンパイアどもの襲撃を受けたのでした。ただし、PCたちは先遣隊として動いていたため、その先頭の有り様を実際に確認してはいません。また、男爵そして長子ともに行方不明の為死亡と判断されました。
DM:通常ですと、進行役として行政長官が当たるものですが、今回もそうしてよいものかどうか、エルドライン卿にかすかな躊躇いの表情がありました。そして、会議の開催を宣言しようとするエルドライン卿を制するようにして、男爵夫人、つまりあのお妃さんが一同を睥睨しつつ口火を開きました。
クレイグ:きた!
……ここで中編へと続きます。リプレイってどうしても文字数が長くなり冗長になってしまいます。読み込むのもなかなか労力が必要となりますので、できるだけ小分けにしたいなあと思っています。