【AD&D】重臣会議②

鴉山 響一
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登録日:2016/11/22 23:08最終更新日:2016/11/22 23:08

本作は、「Wizards of the Coast」が権利を有する「Dungeons & Dragons」の二次創作物です。

ようやくのことで重臣会議が始まる……と思いきや、口火を切ったのはなんと男爵夫人ヘレナでした。この高慢で自尊心が高く、三男のトマスを愛するあまり教会へ必要以上に傾注しているお妃さんの発言に、参席者たちは……。

DM:ヘレナ「重臣会議を始めるにあたって、諸卿に言っておくことがある。男爵閣下が後継を指名せぬままに身罷られたわけじゃが、我らは男爵閣下の御意思を忠実に継承せねばならぬ。それではその御意思とは何か。長年連れ添ったわたくしには、いや、わたくしのみには判る。それはより強固な意志と統率力を持つ者がこの御領地と男爵家を引き継いて反映させねばならぬということじゃ。そのことをよくよく忘れずに、この会議を進めて行って欲しい」

クレイグ:ちらっと団長をみます。

DM:それを聞いていた団長のこめかみに青筋が浮かぶのをあなたは見た。

クレイグ:ですよね。理論として成り立ってなさすぎる。

DM: ダヴィット「(苦々しげに)今、ヘレナさまからお言葉があった通り、この大事においては強靭な意志と統率力を兼ね備えた者が次期男爵の座にあらねばならぬ。それゆえに、私と騎士団は次期男爵として次子であるエルンストさまを推挙する。エルンストさまは騎士としての厳しいトレーニングを修め、まことの騎士としての資質を表しておられる。確かにまだお若いが、側において盛り立てて行く者たちがしっかりと支えて行けば、必ずや身罷られた兄上……いや、先代男爵閣下以上に、この御領内に栄光の光を導いてくれるものと確信する。皆の者、異存はあるまいな」

クレイグ:(ううう、拍手したい……。)

DM:それを聞いていたバレッティ副大主教が、
バレッティ副司祭長「お待ちください。それならばトマスさまがより相応しい。トマスさまは若干18歳ながら、既に聖騎士団副長に任じられ、数多の任務においても功績を挙げておられる。教会内においても人望厚く、文武両道に優れたのみならず人の上に立つべき天与の才を持ち合わせた青年。それに歴代の男爵家において、騎士の道を歩んだ嫡子においては、当主たる男爵を輔弼すべしと定まっておるのではないか」

DM:確かにその通りで、次男は騎士の道を歩み、男爵を助けなければならないというのが不文律としてあります。事実、次男のダヴィットと先代男爵の関係もその通りなわけで。

クレイグ:ええ。ゲルハルトをちらっとみますよ。それからどこまで通じるかはわかりませんが、団長の方へ視線を持って行きます。

DM:それまで腕を組んで黙って聞いていた軍司令が発言を求めました。
ホルシュタット軍司令官「たしかに不文律としてそれは機能してきたが、それを言うのなら、トマスさまも聖騎士に任じられておるのではないかね。この際、騎士か否かは判断の材料にはなりえないのではないか?」これまた正論です。

ゲルハルト:ちょっと緊張したふうにしています。この場では初めてなので。

DM:団長は怒りが沸々と湧いているのは分かりますが、なんとか感情を制御しようとしているようです。彼の教会側に対する不信感の根は深いですからね。

クレイグ:クレイグもです。もう一度ゲルハルトを見ておきます、それから今度は少し手振りを交えて団長の方を指します。

ゲルハルト:ではクレイグをちょっとおどろいた顔で見ます。

DM:ちなみに、軍司令官のモデルはじーさんになってからのショーン・コネリーです。

クレイグ:渋いですなあ。

DM:あ、そうだ。ゲルハルトは軍司令をよく知っています。あなたが若いころ投入された北の守りの砦。そこはこの軍司令の直轄でして。ずいぶんしごかれたものです。でもあなたにとってもっと印象的だったのは彼の息子の方で。兵卒にはとても人気があるんですが、下級士官だったあなたたちには徹底して厳しかったですから。

ゲルハルト:ふむ。いろいろ言いたいことはあるが、壮健な様子でなにより、みたいな感想を心で抱きつつ、団長をチラ見してどちらとでもとれるように頷く。

クレイグ:DM、団長との距離はどのくらいでしょうか?クレイグから。

DM:団長はあなたの隣にいます。

クレイグ:小声で「ダヴィット卿……」

DM:団長が、クレイグの反対側に座っている副長のクルシュに軽く頷こうと……
「ん、なんだ?」

クレイグ:「ダヴィット卿、ここはあなたが、実弟としての意見を述べるのが筋かと。騎士団としての争いになればあちらには教会がついております。人身を弄ぶのに時間はさほどかからないはず」

DM:ダヴィット団長は、わずかに目じりにしわが寄りました。軽く頷いています。
……反対側のクルシュ副長に合図をすると、クルシュが話し始めます。
クルシュ副長「軍司令殿の仰る通り。それに、卒爾ながらトマスさまは時期御当主に相応しくない行状があるとも聞く」

DM:柳眉を跳ね上げたのは言うまでもありません。この人です。
ヘレナ「なんですって! 適当な風評にてトマスを侮辱したとあらば、副長と言えどもただ置きませぬ!」

DM:クルシュ副長「このような場で、それをつまびらかにすることは、トマスさまの名誉を穢すのではないかと当職は愚考します。奥方様、どうかトマスさまの次期当主への推挙をお取りやめになりませんか」

DM:口元がひくつく副司祭長。トマスは能面のように無表情になっています。心当たりがあるのかもしれません。

クレイグ:女ですね、100%。下界で遊んだのでしょう。

DM:お妃様は顔面真っ赤になり、「このっ、このっ……」と絶句したきりです。進行役のエルドラインが重い空気をはねのけて口を開きました。

エルドライン: 「湖の太守の代理人、ローンフェル、卿はどう思う?」ここでなにか力添えの言葉が必要と感じたのでしょう。この発言は重要ですよ。

ゲルハルト:うわぁ…こっち来たよ……。

DM:あなたも一票を持つ身分ですから。

クレイグ:きりっと見つめます。

DM:全員の視線があなたに集中します。

ゲルハルト:席からたちあがり、一礼します

DM:たしかに、湖の太守、財務長官(代理)でもあるこの人物はどう考えているのだろう……とここにいる誰もが気になるのも当然ですね。

ゲルハルト:「まず、お歴々方におかれましては、私のような若輩者をこの場にお招きいただいたことを、心から感謝申し上げます」

DM:副総主教がゲルハルトに意味ありげな視線を送ってきます。

ゲルハルト:「我らが男爵閣下がお亡くなりになられ、領土の方々から民草の嘆きが聞こえる今。まさしくダヴィット様やヘレナ様が仰ったように、強靭な意志と統率力を兼ね備えた者が、閣下の後座を継がねばなりますまい。私個人としては、件の“行状”とやらの真偽は分かりません。あるいは重要なことではないかもしれない。古今の統治者は、いずれも多少の不名誉な傷を負っているものです。ひとまずは無為な争いを生むような話題は置いておくとしましょう。論議すべきは、エルンスト様とトマス様の手腕ではありませんか。お二人とも優れた騎士であられますが、統治者としてはどうか。このような物言いで失礼しますが、大事なのはそこです。お歴々方はどうお考えになるか、ぜひともお伺いしたいところ」一礼して席へ座ります。

DM:副総主教「ローンフェル卿の言うとおりだ。すでにトマスさまは聖騎士団副長の任についておられる。実績もある。対して、エルンストさまは部下を統率した経験がない。これはあまりにもまずい」

DM:老齢でちょっとボケてるのか? といった風情でこれまで黙っていた総主教が、「確かに、トマスは暗泥奴をいくつも斃しておるな。それは確かじゃ」とぽつり。

クレイグ:ふうむ。

DM:団長「我が騎士団は、安易に前途有望たる若殿を要職に就けたりせんのだ!」 安直なお前らとは違う、と言いたげです。

DM:副総主教「それはご立派なことで。おかげでエルンストさまは未だにぬくぬくと剣の稽古に精を出されておるわけですな。トマスさまよりも年長者であるのに、いまだに無位無官。ご立派なことですな」

DM:団長はぎりぎりと歯ぎしりをしています。放置していたら副総主教を頭からバリバリと食べてしまいかねませんぜ。

DM:エルドライン「……それでは、卿はどのようにして統治者としての能力を見定めるというのだ、ローンフェル卿?」

ゲルハルト:「それには長い、あまりにも長い時間がかかります。おそらくは後世の歴史家が判断することでしょう」すこし冗談まじりに。

クレイグ:うずうずしておきます。

ゲルハルト:「私はエルンスト様には、たしかな才覚があるようにお見受けします。ですが多少なりとも経験を積んだトマス様は、より実際的な判断を下せるようにも感じますな」

DM:ヘレナ「よう言った、それでこそ湖の太守が見込んだ男じゃ」得意満面な笑みを浮かべています。

クレイグ:戸惑い気味にみますよ、ゲルハルトを。

ゲルハルト:「恐縮の至り。若輩者ですから、なにを言っていいものか、正直わからないのです」苦笑と冗談の仮面をかぶります。

DM:総主教が面白そうにあなたを見ています。

ゲルハルト:「ところで、そちらの御方は……」クレイグを見つめ返して。

クレイグ:? 団長をちらっとみます。

DM:団長「この者は、クレイグ・ロイツベルガー。本日は副騎士団長代理として、同席させておる」知っているだろうが、と言わんばかりです。

ゲルハルト:「もちろん。我らがロイツベルガー家の若獅子たるクレイグ様であられますな!」

ゲルハルト:「ご無事なようでなによりです。兄上様もご心配なされておりました。いつでもハスミナへとお寄りください。我が家一同、心よりそれをお待ちしております……おっとここは家中ではありませんな! 失礼しました! つい、口に出てしまったのです。どうかお許しを……」

DM:ハスミナというのは、ロイツベルガーの拠点となっている島のことです。

クレイグ:ええと少し立ち上がりますが、団長をみながら。

クレイグ:「ゲルハルト、もう茶番は十分だろう」特に制する人がいなければ立ち上がり発言を求めます。

DM:どうぞ。特に咎められません。

クレイグ:「諸侯、私のような若輩者がここに意見を述べるということ自体がこの事態がどれほど鬼気迫ったものであるかは十分ご承知であられるでしょう。いつまでこのような保守、利権のみを追求した議論を続けるつもりでしょうか。今この間にもオークどもの進行、そしてその背後の者たちは迫っているのですぞ。閣下は随一の武人であられた。自ら陣頭に立ち常に我々に騎士がなんたるかを示されてきた。若輩者であろうと、経験がなかろうと、まずお二人に話を聞くのが筋であろう。私は、お二方の口からぜひ話を伺いたい。トマス様を支持するのが、ロイツベルガー家としての当然のことであるのは皆様方も承知であろう。そのようなことは今大したことではない、議長、ぜひお二人に発言を」一礼をして座ります。

DM:水軍指令「面白い。若殿たちの話を聞こうじゃないか」この人は割と行くぜ―野郎ども、を地でやって似合う人です。

ゲルハルト:では副総主教に目配せして困ったものだという顔をしつつ、クレイグの発言に腕を組んで、どこか居心地わるそうにしています。

クレイグ:ええ、こちらはもうあれからいらいらしっぱなしですから。

DM:ヘレナ「ほほ……面白い。ならば二人からもこの場にて話してもらいましょう」

NPCばかりではなく、PCたちも次第に長セリフになってきたような気がします。会議の場の空気感が感じられるでしょうか。

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