【ナイトメアハンター】夢から来た女【TRPGリプレイ】
注意: 当ページの内容の転載、複製は著作者の許可がない限り行わないでください。
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本作は、「勝木康明、藤浪智之、翔企画」が権利を有する「ナイトメア・ハンター 夢魔狩人」の二次創作物です。
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本作は、「勝木康明、藤浪智之、翔企画」が権利を有する「ナイトメア・ハンター 夢魔狩人」の二次創作物です。
プレイヤー:椿さん
GM:ポール・ブリッツ
登場人物
坂上志保 元不良少女のアルバイター。勉強が大嫌いのニ十歳。ナイトメア・ハンターの能力を持つ。
宗全和尚(NPC) 坂上志保の武術の師匠にして精神的師匠。ナイトメア・ハンターの組織とつながりがあるらしいが、夢に入る能力はない。
成田光男(NPC) 悪夢に悩まされている大学講師
清水由香(NPC) 成田光男のフィアンセ。
清水秋絵(NPC) 清水由香の母親。神秘学の大家。故人。
(キャラクターの能力設定が終わったところ)
GM では、バックグラウンドを設定しましょう。名前は坂上志保子でいいとして、
椿 あ、名前、十代で志保子はないので志保ちゃんにします。
GM 性別は女でいいですね(笑)
椿 はい(笑)
GM 年齢はどうしますか?18歳以上(知識+10歳以上)なら何歳にでもできますが
椿 あ、18歳以上なんですね。なぜか以下だと思ってた。えーとじゃあ、二十歳にしておきます。
GM 血液型はどうしましょうか? あと、年齢から成年月日を後で決めといてください。おとめ座でもさそり座でもいいです(笑)
椿 なぜその二つ(笑) 血液型はー、うーんBにしときましょう
GM 元のキャラシ―トにはRhの欄もあったな(笑) 作中でけがをした時に輸血するとかされるとかでいろいろと影響があるのでしょうね
椿 ああ成程! Rh-AB型とかにしちゃうと思わぬ判定を受ける可能性があったんですね(笑)
GM 職業は? 自活? 大学生?
椿 この子、大学に行けるとは思えないです(笑)
GM いや、行けるでしょう。うちの近所に評判のFランク大学が(笑)
椿 あははは(笑) いやーでも、絶対コイツ勉強嫌いですよ(笑) あとヤンキー入ってそうな気がします。
GM それはそれとして、では何で食ってるんだ、という話があるわけで。
椿 工員にしましょう。近所の工場で働いてます(笑)
GM 工員だと自由時間がないですね。自営業とか自由業とかの方をおすすめします
椿 なるほどー。じゃあどうしようかな。コンビニとかでバイト……(自活力落ちた)
GM まあ、普通は、私立探偵とか、ジャーナリストとか、カメラマンとか、そういったところなんですけど、所持技能がマラソンとオートバイですからねえ。
椿 じゃあ父親のやっているコンビニの手伝いという感じで。一応シフトあるけど、ある程度融通がきくみたいな。
GM おけです。
椿 ではそれで行きます。なんだその職業、家事手伝いなのか?(笑)
GM 精神集中はどこで身につけたのでしょうか? 格闘と長距離走は高校でしょうね。オートバイは教習所。
椿 精神集中はですね…… 子供のころから近所のお寺で書道を習ってました。そこのお坊さんに座禅もさせられました(無理やり感)ちなみに書道は苦手でした。でも座禅で集中するのは案外好きでした。……みたいな。
GM じゃあそこの坊さんがナイトメア・ハンターの組織のスカウトマンだったんだΣ( ̄□ ̄
椿 そうだったのか!
GM 本人は黙っているけれど、英才教育をほどこしていたんだ!
椿 住職さんが倒れたか何かで見舞いに行ったら、『実は……』と打ち明けられた感じですかね!Σ(゜o゜)
GM まあ無理やりだけどそういうストーリーでいきましょう。そこらへんを後で短くまとめて詳細Bにでも書いておいてください
椿 分かりました。住職さんは書道教室でナイトメアハンターの後継者になれる子供を探してた感じで。
GM 住職さんは書道じゃないな、日本の伝統的な古武術の道場もやっていたんだろう。格闘5レベルはそれで説明がつく(笑)
椿 やっていたかもしれないですね。小学校の時は書道教室。でも住職さんとウマが合うので武術道場の方にも行くようになった。そしてケンカに武術を使って住職さんに怒られる元ヤン娘。
GM ヤングマガジンのヒロインみたい(笑)
椿 ベタは大事(笑)
GM ではそういうことで。
椿 ありがとうございました。こんな感じで。
GM シナリオを始めるとしましょうか。シナリオ「夢から来た女」
椿 よろしくお願いします!
GM 2017年9月10日。店でバイトがはねて、帰り支度をしていると、携帯に着信が。送信者を見ると鬼より怖い道場の宗全和尚からです。
坂上志保 「あーん? 和尚か……何だよこんな時間に」
GM 宗全「なにがあーんじゃ、この不良娘。大至急本堂に来い」
坂上志保 「えー。これから家帰ってゲームしようと思ってたのに」 ぶつぶつ言いながら行きます。
GM 本堂では、和尚がカップルのふたりを前になにやら講話をしているようです。
坂上志保 「ちーす。来たよ、和尚」
GM 和尚が気付きました。
宗全 「その言葉づかいは何とかならんか。すみませんな、こんな極道娘で。しかしこの場を解決できるのは、この娘しかおらんのでな」
GM 見るからにやつれた男と、そのそばに寄り添う、そこそこな顔をした女が、そろって「はあ……」といいます
坂上志保 「和尚。誰、そいつら」
宗全 「お前が通うはずだった……といってもしかたがないな。そこのD大学で講師をしている成田さんと、そのガールフレンドの清水さんだ。清水さんの母親は、わしとは因縁浅からぬ神秘主義の大家でな、生きていたころはガチガチの理論派だったわい。そのつながりじゃ」
坂上志保 「アタシ勉強嫌いだもんよ。へーあの大学のセンセー」(二人をじろじろ見ます。清水さんもじろじろ見ます)
GM 清水さんは、目に隈があるけれど、まあそれなりに……志保さんよりも魅力1~2くらい美人かな、という人です(笑)
坂上志保 (笑)
宗全 「ほら、成田先生、この娘に、あんたを悩ませている悪夢についてもう一度最初から語って下さらんか」
坂上志保 「悪夢……」
GM 成田「はい……わたしは、成田光男といいまして、D大学で日本文学の講師をしております」
宗全 「志保、そう気後れすることもないぞ。大学講師は薄給で有名じゃ。この人も、学習塾を3軒回して、それでかつかつの生活をしておる」
坂上志保 「そうなんだ。センセーも苦労してんだねー」(ヤンキー座りで顔をのぞき込む)
GM 成田光男は憔悴しきっています。学習塾のバイトで苦労している、というレベルの憔悴ぶりではないですね
坂上志保 「で、どうしたの。学生にでも脅されてんの?」
成田 「わたしを脅しているのは、学生ではありません。夢に出てくる女性なんです。夢の中で、わたしは白い霧を見ています。わたしはふらふらとあたりを歩いています。すると、かすかながら、はっきりと、女性の声が聞こえてくるのです。低い声で、ぶつぶつと、外国語のような…」
坂上志保 「うげー。英語きらーい」(外国語=英語)
成田 「わたしは声をたよりにそちらへ向かいます。足が、どうしても引きずられるようにそちらに向かうのです。わたしの前に、人影がうっすらと姿を現します……」
坂上志保 (ふむふむとうなずいて話を聞きます)
成田 「わたしはその姿を見ます。浮かび上がったその顔は……由香なんです。由香にそっくりな、由香としか思えない、その顔が、絡みつくような視線でわたしを見るんです! わたしは、がばっと身を起こし…そしてベッドにいる自分に気がつくのです」
坂上志保 「んー」(首を傾げ)「よく分かんね。その人、清水さんって彼女だろ? 彼女が夢に出てくるならいい夢じゃないの?」
成田 「そうなんです。それは由香なんです。しかし、由香ではないんです。でも由香なんです。外側はそっくり由香ですが、内部が、わたしにもよくわからない「何か」になっているんです! 由香とは1年ほどの交際になります。由香のお母さんである秋絵さんが亡くなられた先月から、それが始まったのです」
清水由香「成田さんとはすでに結婚を前提としたおつき合いをしています。わたしも日本文学専攻で、外国語はほとんど赤点です。母が残した英文のノートも、意味が分かりませんし…」
坂上志保 (清水さんを見て)「え? お母さん英語出来たの?」
宗全 「さっきもいったじゃろ。清水由香さんの母親の秋絵さんは、ペンネームを「秋桜時 水聖」といって、ばりばりの神秘学研究科じゃった。マダム・ブラヴァツキーやルドルフ・シュタイナーの原書を辞書なしでバリバリに読みこなせるくらいの言語力はあったな」
由香 「わたしも、そんな母に反発する心があって、大学を日本文学専攻にしたのですが……母の文章は、日本語でも、それこそ、ひねりにひねってある比喩表現が使われていて、頭が狂いそうに」
宗全 「清水さんが、母親の書斎から持ってきた、わしらにも、気が狂えばわかるかもしれんノートが、これなんだがな」
坂上志保 (……考える)「彼女だけど彼女じゃない??? で、その彼女ちゃんのお母さんは英語が得意?? むむ? ブラバ…… 瑠怒瑠不……」(脳の限界)「と、とりあえず見せて?」ノートに手を伸ばします
宗全 「『大脳と火星宮について』『心霊は人間性をどれだけ破壊するか』『時空跳躍方法概説』『ユダヤのカバラーから読み解く『ゾハールの書』』どれがええ?」
坂上志保 「4つもあるのかよ! タイトルからして意味わかんねーよ! えーいこれ!」 ランダムで1冊取れますか?
GM はい。適当に選んだ一冊を、とりあえず、ページをめくってみましたが、「精神を飛ばす……そのことにより、魂はいかにサタンのものと化すか? そして人間理性はいかに邪悪なものに乗っ取られるのか? そんな中で人間が残せるメッセージとは』と書かれています
宗全 「な、頭でもおかしくならん限り理解不能じゃろ。作者がそれを狙って書いておるからなあ……」
坂上志保 (首を傾げ清水さんに)「なにこれ……意味わかんねー。アンタのお母さんって中二病? 中学の時、こういうマンガ描いてた友達いたよ」
由香 「たぶん、それは母の影響かもしれません。今、世に出ているその手の本のほとんどは、母の書いた本を引用したり歪曲したりしてできている、と生前の母はぐちっておりましたから」
坂上志保 「ふーん??」ノートの中には、他に印象的な言葉はありますか?
GM 『時空跳躍論概説』には、「相対性理論」「時空泡」「量子力学」とかいう言葉がさんざん出てきますが、意味はよくわかりません。『大脳と火星宮について』には、「深層心理」とか「集合的無意識」とかいう言葉が山ほど…
坂上志保 なるほど。ありがとうございます。
宗全 「まあ、そちらの方面からアプローチしてもダメじゃろう、ということで、志保。お前の出番となる。直接アプローチじゃ」
坂上志保 「直接……つまり、アタシがコイツの夢の中に入って? 夢の中の彼女に、お前何なんだって聞いて来ればいいの?」
宗全 「まあ、相手が何をいっているかについてまったく知らんで対策を立てる訳にもいかんじゃろ。幸い今は夏で、本堂は昼寝をするには最高の場所じゃ。そしてここに医者からちょろまかしてきた睡眠薬がある」
坂上志保 「うー。和尚、坊さんのくせにやってることがあやしすぎるんだよ……」
宗全 「普通なら1粒じゃが……ここは3粒いこうかのう。おい、極道娘、庫裏から水を汲んでこんか。気が利かん奴じゃ」
坂上志保 「はーい」(立ち上がって水をくみ、戻ってきます)
GM 宗全はやかんから水をコップに注ぎ、成田光男に飲ませます。10分後、成田光男は完全に眠りにつきました。眠っているというか苦しんでいるというか、かなりうなされてます。
坂上志保 「苦しそうだね」(心配そうです)
宗全 「これだけもだえ苦しめば、そりゃ憔悴もするわなあ。おい、極道娘、いつも教えたあの呼吸法で、夢に入ってみんか」
坂上志保 「……分かった。やってみる」(座禅を組み、目を閉じ、呼吸を整え準備に入ります)
GM 夢に入るには、基本4d6です。接触しているとー1D,隣に寝るとー1Dの修正があります
坂上志保 それでは、寝ている成田さんの片腕に触れ、3d6でやってもよろしいでしょうか。
GM かまいませんよ。精神集中はどこまでやりますか?
坂上志保 そうですね。とりあえず5レベルで。座禅をしながら片手を伸ばし成田さんに触れ、集中します。
システム 坂上志保さんのロール(3D6) → 11 (2、3、6)
GM 成功です。夢に入ることができました。
坂上志保 ギリギリ(^-^;
GM 夢の中で、成田光男らしい男が、どこか熱に浮かされたように歩いているのが見えます
坂上志保 声をかけてもいいですか?
GM 声をかけて見ましたが、あなたに気づいた様子はありません。
坂上志保 分かりました。仕方ないので、黙って追っていきます。
GM 耳を澄ませていると、たしかに、成田光男がいっていた通り、なにかをぶつぶつと唱える声が……
坂上志保 (ホントだ……何を言ってるか分かんねー)聞き取れる単語はありますか?
GM 成田光男は、その声に引かれるように歩いて行きます。聞き取れる単語は、「エナジー」とか「イコール」とか「スクエア」とかですかね
坂上志保 周りの景色は霧だけですか? 何か見えるものはありませんか?
GM 成田光男の前の霧がすうっと薄くなったかと思うと……そこにひとりの裸体の女が立っていました。ぶつぶつ言っているのはその女のようです
坂上志保 (思わず声に出して)「うっわ何このエロ夢、何だよこいつムッツリじゃんよー」(ヤンキーだけどうぶかも?) 女に声をかけられますか?
GM 顔は、たしかに清水由香と同じ顔をしていますが……全体的な印象は、まったく違います。なにかが、清水由香か、清水由香にそっくりな女の皮をかぶっているような、「異質」な感じがします
坂上志保 なるほど。前に出て女に声をかけてみます。「おいアンタ。何やってんだよ。アンタ誰なんだよ」
GM 女の髪の毛が、するすると伸び始め、成田光男の頭をすっぽりとくるみこみ、自分の方へ引き寄せ始めました。あいかわらずなにかをぶつぶつと言っています。声をかけてみるならどうぞ。
坂上志保 「そいつ離せよ、気持ちわりーな! あと返事は日本語で!!」
GM 志保の声に、女の髪がふわりと成田光男の身体から離れます。成田光男は、女の足元に崩れ落ちます。女の首がかすかにうごき、死んだ者の瞳が志保さんの瞳と合います。
GM 女はいいます。「エナジー・イコール・エム・シー・スクエア……エナジー・イコール・エム・シー・スクエア……」
坂上志保 ちょっと怖気づきますが、頑張って睨み返します。
GM 女は攻撃してくる様子はありません。ただ、「エナジー・イコール・エム・シー・スクエア……」と繰り返すだけです。
坂上志保 「日本語でしゃべれっつったろ!」 成田さんに近寄れますか?
GM 近寄れますよ。運で3d6してみてください。
坂上志保 はい。
システム 坂上志保さんのロール(3D6) → 8 (2、2、4)
坂上志保 えーと、これは……どちらでしょう;;
GM 基本的に、すべて、「能力値以下」を出したら成功です。志保さんは、女の声が、「威嚇」や「恫喝」ではなく、むしろ「警告」に近いような感じを受けました。「助言」というか。
坂上志保 成田さんを抱き起しながら、女性の顔を見上げ 「え……あんた、何かを伝えたいの? だったら日本語で言えよ。アンタ、誰なの? 彼女ちゃんじゃないんだろ?」
GM 女「エナジー・イコール・エム・シー・スクエア……」
坂上志保 「分かんねーって! 名前は? コイツの何なんだよ! あと服着ろよー! 誰に伝えたいんだ? コイツ? それとも他の誰か?」
GM 志保さんの声があまりに大きかったせいか、成田光男の目が開き……気がついたらさっきの寺の中でした。成田光男は汗びっしょりになって目を見開いています。
宗全 「遅かったの、極道娘。30分じゃ」
坂上志保 「あ……あー……」(息を整えます)「起こしちゃったのか……アタシ、失敗した……?」
宗全 「日本陸軍によれば、「敗北とはその場の将兵すべてが負けたと思うことなり」だそうじゃ。失敗も敗北も、まだどちらともいうことさえできんではないか」
坂上志保 「そっか……」気を取り直します。 「見て来たけど、話通じなかった。何か言いたそうだったけど、英語だったからわかんなかった。あと裸だった」
GM 清水由香が赤くなります「裸……?」
宗全 「夢の中じゃ、どうだっていいじゃろ。で、極道娘。英語でなんといっとった」
坂上志保 (清水さんに食いつき)「そー裸! このセンセー、エロだよ。アンタ気をつけな!」 (宗全和尚に)「えっとね…… エナジーがスクエアで、MCがイコールとか何とか。なんか呪文みたいに何度も何度も唱えてた!」(得意げ)
GM 宗全「エナジー・イコール・エム・シー・スクエアじゃないじゃろな」
坂上志保 (考える)「そうだったかも!! 多分そんな感じ!」……いい加減コイツダメだなという感じがしてきました……(^-^;
由香 「和尚さん、それは何なのですか……?」
宗全 「相対性理論の根幹となる方程式E=MC^2のことじゃ」
坂上志保 「方程式……」げーという顔
宗全 「なんでそんなものを女は唱えとったんじゃ……?」
坂上志保 「分かんない。名前とか聞いても、それしか言わないんだ。ずっとそればっかり言って。何かさ、んー……一所懸命それを教えようとしてるみたいだった。何か、警告って言うのかさ……必死っぽかったんだけど……」
宗全 「相対性理論がどう関係してくるんじゃ。それも必死になって。おい、極道娘、つい最近どこかで相対性理論で何か見かけたことはないか」
坂上志保 「そんな教科書に出てくるようなわけの分かんねー言葉知るわけないだろ! ……あっ、そういえば」
宗全 「なんじゃ!」
坂上志保 先程のノートを指差します。「さっきの中二病ノートに、そういうわけのわかんねーこといっぱい書いてなかった? ちょっと見てみようよ。どっかに書いてあったかも」
宗全 「あの神秘家が? どのノートじゃ……これかの。『時空』って出とるしな」
坂上志保 「分かんねーけどとにかく全部見てみればいいじゃん! そーたいせーりろんってどんな漢字?」
宗全 「お前の好きな「性」っていう字が出てくる「理論」じゃ! 「相対」くらい読めんのか!」
坂上志保 「アタシ勉強は全部嫌いだもーん」 『時空跳躍論概説』をぱらぱらめくり、『相対性理論』と書いてあるところを探します。「なんかいっぱい書いてある。和尚、意味わかる?」
GM 宗全「たしかにこれには相対性理論とそれに関係する方程式でいっぱいじゃ。ということは、清水秋絵は本気で、「時間と空間を飛び越える」という妄想を信じていたと見える。由香さん、あんたのお母さんは結婚式には賛成だったのかね」
由香 「いいえ、反対でしたけど」
坂上志保 「反対だったんだ! エロいから? で、さっきのエナジーが何とかっていうのとどう関係するの?」
宗全 「それがわかったら苦労はせんわ。仮説じゃが、もし、清水秋絵が実際に時間と空間を飛び越えて未来を見たら……あかんな。そうしたら、方程式なんかより、自分が見たものを警告しそうじゃ」
由香 「光男さんは母を落胆させるようなひどいことをする人じゃありません!(怒)」
坂上志保 「だいたいさ、その方程式って何なの? 和尚はさっき基礎とか言ってたけどさ。それが解けると何か分かるの?」
宗全 「いっていることは、物質ってものはエネルギーのかたまりじゃ、いうことにすぎん。エネルギー……」
坂上志保 「ねー、センセーは何か思い当たらないの? 数学嫌いだったから夢に出て来たとかやめてよね? エネルギー??」(首をひねり)
成田「もしかしたら、由香のお母さんは、精神をエネルギーに変えて過去か未来のどちらかに送る技術を見つけたのかもしれませんが……SF的ですね。忘れてください」
坂上志保 「マジ、それじゃ映画かマンガじゃん……。他に何か手掛かりはないのかな。ねー彼女ちゃん、家に何か残ってないの? 和尚も友達だったんだろ、何か手掛かりないの」
宗全 「論敵と友達とはちょいとばかりニュアンスが違っておってな……。それに極道娘のいうことももっともじゃ。家にはなにか……いや、あの女ならありすぎるほどあるじゃろう。手がタイプライターみたいな女じゃったからな。目を通すだけで十年はかかるじゃろうな。アインシュタインの考えた宇宙では、時間も空間もいっしょくたの『時空』として考えるからのう。そういえば由香さん。お母さんの死因は?」
由香 「それがわからないんです。一時に脳が機能を停止したことによる心不全とか。あと……母がよくいっていたことなんですが、『理論は自分で、実践は私』とか。あ、私っていうのは、このわたしのことです」
坂上志保 「え? 何それ、どういう意味? 理論はお母さんで、実戦は彼女ちゃん? 彼女ちゃん、何か教わってるの? アンタも武術とか?」
宗全 「その実戦と違うわ極道娘! わしと極道娘の関係のようなものかな。わしは精神集中の理論と夢の中に入ることの理論は知っとるが、素質は極道娘にあるようなもので。秋絵は理論を組み立てることはうまくても、それを実践して理論を実証するのは由香さんとでも思っておったのかのう」
坂上志保 「えー……和尚とアタシ? うーん、そういう感じなのかな……。そうするとやっぱり彼女ちゃんが何か知ってんじゃねー? アタシもあるよ、親からいつも言われてて当たり前だと思ってたことが、友達に言ったら通じなかったんだよー。そういうの何かない?」
由香 「いいえ全然。母のそういうところに反発して、避けていましたから。今からでも難しくても、母の残した文献をひとつひとつ丹念に調べていくしかないのでしょうか……」
坂上志保 「一応、家にあるものも調べてみた方がいいんじゃないかなとは思うんだよね。だって彼女ちゃんもセンセーも和尚も思い当たることないんじゃ手掛かりないじゃん。あ、そういえば……他に事情を知ってそうな人はいないの? お母さんの親友とか、そういう人」
宗全 「ああいう神秘家は親友とかは作らんもんじゃ。もしかしたら、父親と結婚して子供を作ったのも、自分の理論を実践する人間を作りたかったからかもしれん」
由香 「もしかしたら、わたしには、母の残した遺産である知識を、実際に行うことができるのかもしれません」
坂上志保 「え? 知識って……コレ?」 ノートを指します。「さっきは分からないって言ってたじゃん」
由香「外国語を一から勉強しなくてはいけないし、一つ一つを見ていかなければなりませんが……時間がとても、とても長くかかるでしょうが……最後には……もしかしたら……時間を飛び越えて、母にその女が誰なのかを聞くことも……」
坂上志保 「できるの! マジ! やり方わかるの?!」
由香「いまはわかりません。でも、母の書いたものですから、娘のわたしにも、もしかしたら……」
坂上志保 「それ、アタシにも何か手伝えるかな。夢の中の女はさ、センセーの言ってた通りアンタにそっくりだった。でもなんか違う、ヤバいかもしれないものだって言うことはアタシにも分かった」
宗全 「時間なんかを軽々しくいじくると、タイムパラドックスが……」
坂上志保 「で、髪の毛でこのセンセーを捕まえようとしてた。アタシには何もして来なかったけど、センセーにはどうだか分かんない。だから手伝えることがあれば乗り掛かった舟だから手伝うよ。和尚。今、犬の話とか関係ないだろー」(ドックス? ≠ドッグ)
GM そのとき、坂上志保の頭になにかがひらめいた。プレイヤー諸君に挑戦する。女は誰か。そしていったい何が起こりつつあるのか。いま適切な対応をすることができたら、悲劇は避けられるかも知れない! できなかったら……GMはこのキャラには難しすぎたかと(笑)
坂上志保 挑戦状来た(笑) すみません、このキャラ頭が悪すぎた……(^-^;
GM とりあえずなにかできることをやりますか? それともこの方たちには帰ってもらいますか?
坂上志保 ううむ。とりあえず質問してもこれ以上は出なさそうですね。あ、でももうひとつだけ由香さんに聞きたいです。
GM なんでしょう。
坂上志保 「でも時間を飛び越えるって、それは簡単にできることなの? 危険はないの?」あ、由香さんにとってはという意味です。世界への影響とかそういうのは抜きで。
由香 「危険はあるでしょうね。先ほど母のノートの一部を読みましたけれど、精神を跳躍させたものはサタンの手下になってしまうとかなんとか書いてありましたが、私は光男さんのためならサタンにでもなんにでもなります」
坂上志保 ううむ。仮説を立てます。成田さんの夢に出てくる女は由香さんの母。彼女は娘の結婚に反対していた。それは、自分の理論を実践して完成してくれるはずだった娘が離れて行ってしまうのを危惧してだったかもしれないが、それは分からない。とにかく彼女はどうしても娘の結婚を阻止したかった。そして禁断の時空跳躍に挑んでしまった。自分に適性がないと知りながら。『成田氏と結婚すれば娘が不幸になる』その確証を得たかったのかもしれない。だが精神を跳躍させたことにより肉体は死亡。精神体だけがサタンの手下となり時空を彷徨っている。その状態でもなんとか娘と成田氏を引き離そうと夢に現れ、彼を弱らせようとしているが……肉体を失ってぼんやりしてしまった意識に残っているのは、成田氏への呪詛の他にもう一つ。自分の死の真相を知るために娘が時間跳躍を試みるのではないかとの懸念だ。娘には適性があるが理論を知らない。それでも娘は成功してしまうだろう。そして自分と同じ時空を彷徨う幽霊になる。自分の理論には欠陥があった……実践して理解した。……私の頭で想像できるのはこんなところですかね(^-^;
宗全 「もっともな推理じゃな。すべてのピースが当てはまる。でもなんで、素質がないはずの秋絵さんにどうして時空跳躍などということが可能だったんじゃろう」
坂上志保 「うーん、ほら。バイクの免許取る時さ、教習やるじゃん。でもさ、いっぱい勉強した頭のいいやつなら、本読んだから運転できるーとか思うんじゃないのかな。彼女ちゃんのお母さんは、理屈が分かってるから何とかなるって思ったんじゃね? だけどやっぱり失敗した。やっぱさー、ブレーキとアクセルの位置も分かんないのにいきなりエンジンスタートさせたら、そりゃあこけるじゃん?」
宗全 「理屈が分かっていてもバイクがなかったらバイクに乗れんと思うが……まあええ。わしらは何をすべきかのう」
坂上志保 「うーん。アタシが考えた通りなら、まず彼女ちゃんは時間跳躍しちゃダメじゃん……」夢の世界に志保さんを連れて行くことは可能でしょうか?
GM 外部から夢の世界に行けるのはナイトメア・ハンターだけです。
坂上志保 ですよね……。んー…… もうちょっと考える時間を……。バイクがなければバイクに乗れない…… つまりバイクを持っているのは由香さんだけ……
宗全 「なにかこの娘がそんな恐ろしいことに挑戦することを防ぐ方法はないものかのう。母親も望んではおらんようだからのう」
坂上志保 「問題はセンセーの夢からあの女……彼女ちゃんのお母さんかもしれない女を追い出せるかってことだよな。夢にあの女が出なくなれば、彼女ちゃんもそんなことする必要はないわけだし」
坂上志保 由香さんと二人だけで話は出来ますか?
由香 「なんでしょう」
坂上志保 「あのさ。女同士ってことでぶっちゃけてもらいたいんだけど。アンタは、何て言ってお母さんに結婚を反対されたの? 何も言われず頭ごなし? それとも何か理由があったの?」
由香 「母は西洋神秘学の専門家でしたから、それとは反対の、日本文学で源氏物語とかを研究している成田さんが虫が好かなかったようなんです。そこらへんは、子供っぽいところがありました。わたしも同じ平安文学を研究することにした時なんかは、それこそ大げんかでしたし」
坂上志保 「それだけかあ。やっぱり取られちゃう気がしたのかな。……アンタは? 彼女ちゃん、いや由香ちゃんって呼ばせてね。由香ちゃんはさ、全然不安とかないの? 結婚」
由香 「光男さんがあんな憔悴していては不安になります。もし、光男さんが倒れたり……死んだりしたら……わたしはサタンに魂を売ってでも、過去に飛んで光男さんに会いに行きます!」
坂上志保 「あーごめん。落ち着いて落ち着いて」(やべーこれが恋は盲目ってヤツか!) 「じゃあ由香ちゃんは、夢を見たりしない? お母さんの夢」
由香 「葬儀を終えてひと月ですし、見ませんけれど……。でもたまに、そんな夢をちらっと見たかな、と思うことはあります」
坂上志保 「ふーん。あとさ。お母さんが亡くなる前に、何か頼まれたりしなかった?」
由香 「いいえ。突然死でしたし」
坂上志保 「そっか。わけのわからない行動とか、記憶に残ってる言葉とかもない?」
由香 「母もそのころはあきらめがついてきたようで、光男さんとの結婚式の時には仲人に文句をいってやる、とかいってましたが、母の強がりでしょうね」
坂上志保 「うーん。分かった。時間取らせて悪かった。ありがとう」由香さんからもう少し何か出ないかと思いましたが、難しいようですね。
宗全 「何を話しておったんじゃ」
坂上志保 「うんいろいろ。でもあんまり意味はなかったみたい」もう一回、夢に入って対決すべきでしょうが…… 今の手持ちカードで戦えるかどうか。
GM どうしましょう。
坂上志保 当たって砕けるしかないだろうか。ここで手を引いてもバッドエンドでしょうから……無謀でも戦うしかないか? 「和尚。アタシに出来るのは夢に入ることだけだから……もう一度、夢に入ってみようと思う。あの女と話して、説得出来れば一番いいけど」
宗全 「睡眠薬をあまり飲ませるのもなんだけどのう」
成田 「でも……あの女は、由香だとしかぼくには思えないんだ! 由香でなくても、由香なんだ!」
坂上志保 「明日、改めてでもいいけど…… その場合は、センセーにはここに泊まってもらったらどうかな。何かあったらすぐに夢に入れるようにアタシも待機する」
宗全 「いたしかたあるまい」
坂上志保 (成田さんを見て)「……センセーはそう思うんだ。アレが由香ちゃんだと思うんだ」
成田 「由香だ。あれは由香だ。ぼくにはわかる。あれは由香なんだ!」
坂上志保 「落ち着いて。分かった。和尚、じゃあセンセーに部屋貸してやってよ。アタシもこっちに泊まるって家に連絡してくる。由香ちゃんはどうする? 帰るならタクシー呼ぶ?」
由香 「いえ。わたしもこちらに残ります」といって、『時空跳躍論概説』を握りしめます。
GM さて、夜も更けてきて、由香さんも寝たし、さすがの成田光男も寝てしまった。
坂上志保 はい。
GM どうします?夢に入るチャンスですが。
坂上志保 まずは成田さんの様子を見ます。安眠しているなら無理しませんが、またうなされているようなら夢に入ります。
宗全 「うなされておるのう」
坂上志保 「やっぱりだめか。和尚、もう一度やってみるよ」夢に入ります。
宗全 「いたしかたあるまい」
GM 夢に入ると、かなりやつれた成田光男が、この前のように立っています。ぶつぶつとつぶやく声が聞こえてきます。
坂上志保 傍に立ちます。
GM 成田光男がふらふらと歩き始めます。
坂上志保 一緒に行きます。
GM 霧がすうっと薄くなって、この前のように女が立ちます。
坂上志保 女が髪を伸ばして成田さんを捕まえるより前に、彼を押しのけて正面に立つことは出来ますか?
GM できますよ。女は「エナジー・イコール・エム・シー・スクエア」とつぶやき続けます。
坂上志保 では成田さんをどかし、彼女の正面に立ちます。
GM 女はあなたをうつろな目で見ています。「エナジー・イコール・エム・シー・スクエア……エナジー・イコール・エム・シー・スクエア……」攻撃してくる様子はありません。
坂上志保 「いい加減にしろよ。この人をとり殺しちゃうのがアンタの望みなのかい? 由香ちゃんのお母さん……いや、由香ちゃんなんだろ。アンタ」
GM 女はうつろな目をしています。
坂上志保 「お母さんがまじってるのかもしれないけど、使ってるのは由香ちゃんの力じゃないのか」
GM 話を理解しているのかどうかさえも分かりません。ただただ、警告するように「エナジー・イコール・エム・シー・スクエア……」とつぶやき続けています。攻撃しますか?
坂上志保 むー……。とりあえず引っぱたいてみたいと思います。
GM 女は無抵抗です。頬を引っぱたかれてもよろけるだけで、うつろな目で見ているだけです。
坂上志保 「目を覚ませよ! 由香ちゃん、しっかりしろ。由香ちゃんの力を使わなきゃ、お母さんは時間跳躍できないはずじゃないのかよ?」
GM ナイトメア・ハンターの特殊能力として、夢の中で道具を作ることもできます。
坂上志保 道具ですね……
GM 格闘戦武器としては、考えられるのはナイフとかですね。
坂上志保 刺しちゃっていいのかどうかためらわれますね……
GM ほかになにか、この場を何とかできそうなものがあったら考えてみてください。とりあえず、向こうは攻撃の意思はないようです。攻撃の意思というか、意思というものがあるかどうかさえも疑わしい
坂上志保 もう一度女性の虚ろな目を見て、「サタンに乗っ取られちゃったのかよ! しっかりしろ、目を覚ませよ!」と呼び掛けてみます。
GM 女は無反応です。成田光男は夢の中で目を覚ましたようで、後ろで「由香……」とかつぶやいています。
坂上志保 「あれ、サタンって……」 ふとノートのことを思い出し、女を離して成田さんのところへ戻ります。
GM 成田「あなたは……坂上さん? ここは……?」
坂上志保 「アンタの夢の中! センセー、一度起きろ! も一度確認したいことが出来たんだ。起きろってば!」 キャンキャン吠えたてガンガン揺すります……。
GM 成田光男が「うーん……」といって、気がついたら寺の部屋の中。
坂上志保 がばっと起き上がります。「ノート!! 由香ちゃんのお母さんの中二病ノートに、サタンが何たらって書いてあるやつ、なかったっけ!!」起き上がってノートを勝手に物色します。あれこれめくってみます。どこかに精神を飛ばすことにより理性が乗っ取られることについて書かれた文章があったはず……。
GM 「精神を飛ばす……そのことにより、魂はいかにサタンのものと化すか? そして人間理性はいかに邪悪なものに乗っ取られるのか? そんな中で人間が残せるメッセージとは」と書かれた一節を見つけます。
坂上志保 「あーそれ!! それだそれ!! 和尚! これ何が書いてあるの、読んで教えて!」
宗全 「ここか。精神を肉体から離して移動することにより、人間が……サタンに精神を乗っ取られてしまう可能性について書かれておる。サタンというとるが、夢魔じゃな」
坂上志保 「夢魔! アタシたちが倒さなきゃダメなやつじゃん!」
宗全 「それと、夢魔にコントロールされた中で、いかにして人間の……残留思念というか、精神が何かを伝える方法についての議論が書かれておるな。正直、わしにはよくわからん」
坂上志保 「そのメッセージがどうたらっていうのは何なの! アイツがずっと言ってるエナジー何とかってのはメッセージじゃないの?!」
宗全 「エナジー・イコール・エム・シー・スクエアというのがメッセージだとしたら、それをどうしても伝えなくてはならない、というか、それしか頭に残っていなかったと考えるべきかもしれん。よほど強く考えていたんじゃろうな」
坂上志保 「そっか……」 少し落ち着きます。 「あれが夢魔なら、倒さなきゃ。でもアタシ、不安なんだ。和尚はバイクがなければバイクに乗りたくても走れないって言っただろ。でもこの場合、バイクを持ってるのが由香ちゃんだけだとしたら……」
GM 「だとしたら?」
坂上志保 「センセーもアレを由香ちゃんだって言った。だとしたら、アタシがアレを倒したら……由香ちゃんはどうなっちゃうんだろ……」
宗全 「よく考えたら、バイクを持っていない人間を除去して再構成することも可能なのではないかな。もし、秋絵さんが、今回の事件に、『まったく無関係』だとしたら?」
坂上志保 「じょきょ?」 ピンとこないようです(^-^;「……アタシもそれを考えた。お母さんが死んだのは、ただの偶然で……」
宗全 「可能性じゃが、もし、光男さんがあの女に取り殺されたとしたら、由香さんはどうすると思う?」
坂上志保 「……サタンに取りつかれてもいいから過去に戻るって言ってた。それが、あの子の本当の望みなの……?」
宗全 「過去に戻る手段として、由香さんは、母親の残したノートをそれこそ本気で勉強するのではないかな。それこそ、素質があるのだから」
坂上志保 「だったらアタシは、やっぱりやらなきゃダメなんだね……。分かった。センセーが落ち着いてもう一度眠ったら、今度こそやる」覚悟を決めました。
GM 夢に入りますか?
坂上志保 入ります。
GM 夢に入ると、先ほどと同じような展開が続きます。女がすうっと現れます。
坂上志保 今回も彼女の前に立ちます。「由香ちゃん……ゴメン」ナイフを作成します。
GM ナイフを作るには精神力で2Dです
システム 坂上志保さんのロール(2D6) → 5 (2、3)
坂上志保 はい。成功……です。
GM 女はナイフを見ても無表情です。
坂上志保 これで女に切りかかります。
GM 成田光男が「やめろーっ!」と間に立ちふさがり……。
坂上志保 蹴ります。
GM もみあいになります。格闘技能で(筋力+敏捷性+格闘技能)の数字以下を6D6で出してみてください。
システム 坂上志保さんのロール(6D6) → 18 (3、2、1、3、6、3)
システム GMさんのロール(8D6) → 31 (4、5、4、6、6、1、3、2)
GM 成田光男の攻撃はハズレです。
坂上志保 「センセー、どいてて。こうしないと解決しない。コイツは由香ちゃんだけど由香ちゃんじゃない」
GM ダメージ判定です。1D6+2点のダメージを与えることができます。
システム 坂上志保さんのロール(1D6) → 3 (3)
坂上志保 3+2=5 ですね。
GM ダメージは相手の精神エネルギーから引かれます。そして遺憾なことに、憔悴しきっていた光男くんの精神エネルギーは5でした。成田光男の精神世界が崩壊します!
坂上志保 あいたっ(>_<)
GM 脱出には精神力で3d6です
システム 坂上志保さんのロール(3D6) → 12 (3、3、6)
坂上志保 失敗です
GM 崩壊に巻き込まれて、精神エネルギーに3d6点ダメージです
システム 坂上志保さんのロール(3D6) → 18 (6、6、6)
坂上志保 18+6=24ギリ6点残りました……
GM 気がつくと夢から出ていました。
坂上志保 「あっ……アタシ……」成田さんを探します。
GM 成田さんは無表情な顔でぼんやりとしています。目の焦点が合っていません。
坂上志保 「センセーごめん……! しっかりして……!」
GM 扉を開けて、由香さんが、「あの……わたし……光男さん!」
坂上志保 うつむきます…… 由香ちゃんの顔見られない……
宗全 「やらなければならんことをやるぞ、極道娘。これだけはしておくぞ、わしとあろうものがまったく迷推理に振り回されたわい」
坂上志保 「和尚……」
GM 宗全はそういうと、由香さんの手から『時空跳躍論概説』をひったくり、ライターで火をつけます」
宗全 「バイクがなければ、バイクには乗れん」
坂上志保 「え……それがバイク……?」
宗全 「時空を跳躍する能力を持っているのは、由香さんだけなんじゃろ? ということは、過去に飛んだのは由香さん。夢魔に精神を乗っ取られて、『時空跳躍論概説』の中で一番印象に残ったものを口走っていたのも由香さん」
坂上志保「うん。由香ちゃんなのは……分かってたんだけど……」
宗全 「あの先生の目は確かだったんじゃ、由香さんに間違いない、とあれほど断言しておったではないか。あれは、『未来の由香さん』だったんじゃ」
坂上志保 「うん……」
宗全 「光男の深いダメージに端を発する「時間内でのタイムパラドックス」の話にすぎなかったんじゃよ。お前もSFくらい読め。わしらがやるべきだったのは、円環構造を壊すこと、それだけだったんじゃ」
坂上志保 「えんかん……」
宗全 「未来の由香さんが過去に飛ぼうとしたのは光男が深いダメージを受けたためで、光男が深いダメージを受けたのは未来の由香さんが過去に飛んだため。となると、いちばんこのぐるぐるの中で壊すのが楽なのは、「本を燃やすこと」じゃろ」
坂上志保 「センセーにまず何かが起こって……それを止めるために由香ちゃんはお母さんのノートを使って過去に飛んだ? でもそれ自体がセンセーを追い詰めちゃって……その繰り返しだったの?」ぐったり座り込みます。「和尚、アタシ……何もできなかったよ……」
宗全「気がつかなかったわしも悪いんじゃ。さて、こうして、タイムパラドックスをぶち壊してしまったからには、その揺り戻しが来るじゃろうな。光男のダメージが軽いうちじゃったら、光男の気の迷いが生み出した悪夢、ということになるあたりでけりがついておったじゃろうが、ここまで影響がひどくなると……」
GM (断絶)
GM (断絶)
GM (断絶)
GM 2017年9月10日。いつものバイトがはねて、着替えようとしていた時に、携帯が鳴り出しました。和尚からです。
坂上志保 「あーん? 和尚か……何だよこんな時間に」
GM 「大至急こっちにこい。急ぐんじゃ!」
坂上志保 「えー? 何だよ、これから家に帰ってゲームしようと思ってたのに」 ぶつくさ言いながらも寺へ向かいます。
GM 行ってみると、宗全が道着に着替えています。
宗全 「わしは今日はとても気分がいい。気分がいいので貴様に稽古をつけてつかわす。乱取りじゃ。足腰立たぬまで鍛えてやるから覚悟しておけ」
坂上志保 「あああ?! 何だよそれ! こんな時間に呼びつけてそれか!」
GM そう、この時間軸では、「タイムパラドックス」なんておこるわけないではないですか……。
GM シナリオ「夢から来た女」終わり
GMとしての反省点
元ネタの井上夢人先生の小説が難しすぎたのか、真相を当てさせるつもりが完全に失敗したのが残念。もっとヒントを出すべきだったかなあ。シナリオクリアの条件を、「清水秋絵の残したノートすべて、もしくは『時空跳躍論概説』だけでも焼くこと」にしたのだが、夢魔と正面から殴り合って勝つ、ということに絞ったほうがよかったかもしれない。殴り合うことに方向を変えられなかったのは、夢魔を倒しても事態が解決しないからだ。ノートを破壊しない限り、何らかの理由で光男が死ねば、由香はノートを解読し、過去へ飛ぶからである。
演出としては、夢魔を倒させてからそういう展開をきちっとやり、すべてが終わった後で和尚に推察した真相を語らせて、すべての辻褄がぴったりと合うことを見せつける、というほうがよかったかもしれないが、それをやるには時間がなかった。
初心者には難しすぎる謎解きシナリオだったらしい。反省するほかない。
能力値
名前:坂上志保
性別:女
年齢:20歳
血液型:B
生年月日:1997.7.10
職業:家業手伝い(コンビニ)
筋力:13
知識:8
敏捷性:12
器用さ:10
体格:11
魅力:11
運:9
精神力:10
体力ポイント:18
精神エネルギー:30
技能 精神集中lv10 格闘lv5
長距離走lv5 オートバイlv4