【D&D5版】勇者の如く斃れよ1

鴉山 響一
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登録日:2022/09/27 00:46最終更新日:2022/09/27 12:51

Open Game License v 1.0a Copyright 2000, Wizards of the Coast, LLC. 
System Reference Document 5.1 Copyright 2016, Wizards of the Coast, Inc.; Authors Mike Mearls, Jeremy Crawford, Chris Perkins, Rodney Thompson, Peter Lee, James Wyatt, Robert J. Schwalb, Bruce R. Cordell, Chris Sims, and Steve Townshend, based on original material by E. Gary Gygax and Dave Arneson.

このキャンペーンは、オンラインセッション、テキストオンリー、毎週曜日固定の21:00~22:30の90分縛りにてプレイすることとしました。「オンセ三倍速」とはよく言いますし、加えてテキストチャットのみ、しかも参加者はDMも含めてシステムに不慣れなので、進行は大変遅く、新聞の連載小説か朝の連ドラ15分くらいのリズム感です。

キャンペーンの舞台はCD&D時代の公式ワールド、Mystaraの一地域を魔改造して使用しています。キャンペーンが開始してからは完全に主宰DMの閉鎖環境とし、その他の公式設定や採用しませんし、PCが他のDMの管理の下に移管することもありません(いわゆる持ち回りキャンペーンではありません)。

キャンペーンの舞台としては辺境の男爵領が舞台です(小王国くらいの規模はあります)。大きな二つの帝国に挟まれ、これまではバッファーゾーンとして生き残ってきましたが、どうやら大きな歴史のうねりがこの地にも押し寄せてくるようで、その時PCたちはどう立ち回り、次代のために領内の安定を図るのか。そんなテーマを持った一風変わったキャンペーンです。

登場人物はたくさん現れますが、誰がPC/NPCなのかはこのリプレイでは明言しません。キャンペーンをリプレイと言う形として紡ぐうえで、それは些細な問題だからです。


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騎士候補生ヴェイラ・クラウスは夏の終わりの良く晴れた午後、騎士団長に呼び出された。

珍しいことではない。ヴェイラが所属する「銀の翼騎士団」は正規団員が三十名ほどと大所帯ではなく、風通しの良い集団だったからだ。加えて、騎士団長は彼の庇護者であり、一般的には義兄と呼ぶべき対象であった。
 
ヴェイラは今年二十二歳を迎えるはずだった。騎士候補生としては随分老けた歳と言って良かった。通常、十代の、それも前半で候補生として修練を積み、二十歳になる前には騎士として任じられるのが慣例だからだ。無論、理由があった。通常、騎士候補生は貴族の子弟が志願し、任じられるのだが、ヴェイラの出自は貴族ではなかった。いや、そもそも生まれが分からないのだ。彼は戦災孤児だった。そして、荒廃した戦場で彼を拾ったのが、若き頃の騎士団長だったのだ。だから、ヴェイラは自分の正確な年齢を知らない。

ヴェイラの不確かな出自ゆえに、彼を騎士候補生に任じた際は、御領内の貴族たちの間では随分と話題になった。好意的な声はごくわずかで小さく、ほとんどは誉れ高き騎士団の権威を失墜させるものとして囁かれた。それらの声を公然と無視してのけた騎士団長の態度に、それらの声はやがて小さくなったが、「卑しい出自の分際で」と事あるごとに当てこすりや厭味をされ続けていた。当のヴェイラ自身がどう考えているかは分からなかったけれども、少なくとも表面上は全く意に介していない様子であった。


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DM: さて、そんな某日。夏の終わりの良く晴れた日の午後のこと。ヴェイラは騎士団長のダヴィットに呼ばれます。

ヴェイラ:「何か御用でしょうか?」

DM: 彼の執務室に赴くとですね。中にはダヴィッドのほかに一人の女性がいます。

ヴェイラ:(おや??)ちらっと女性を一瞥。

DM: くすんだ金髪で、ややぽっちゃりしている30前後くらいの女性です。ヴァーニャ神殿の司祭服を着ています。

騎士団長ダヴィット・ヒューナースドルフ: 「ヴェイラ、来たか。紹介しよう。こちらは、アレクリット司祭」

アレクリット: 軽くお辞儀をします。

ヴェイラ:「お初にお目にかかります。ヴェイラ・クラウスでございます」

アレクリット: 「ヴァーニャ神ブール神殿の司祭、アレクリットです」

騎士団長ダヴィット・ヒューナースドルフ: 「アレクリット司祭は、近くエルドライン家の所領であるホルウェイン村に赴任されるそうだ。そこで、アレクリット司祭をホルウェイン村まで無事に送り届けてほしい。お前にとっても、この警護の任はちょうど良い経験になるだろう」

ヴェイラ:「ホルウェイン村、ですか…」

DM: はい。地図をご覧ください(と言って広域マップを表示)。現在位置のマーカーがある首府より南に下ること30マイルほどの位置にある村で、ゴールデングラスプレイン一帯の中心地であり、男爵領の有力貴族エルドライン家の本拠地でもあります。この一帯の草原地は、名馬の産地となっていて、いまで例えるならそうねえ、高級スポーツカーのような扱いをされている軍馬を生み出していることで知られています。騎士ならば、一度はそのような馬に巡り合い、乗りこなしたいものだと言われています。当然のことながら、この名馬の育成と売買によって、毎年莫大な金額がエルドライン家を、引いては男爵領を潤しています。

ヴェイラ:「かしこまりました。力を尽くします。しかし、護衛、と言われましたが、何か具体的な危険など、あるのでしょうか?」

騎士団長ダヴィット・ヒューナースドルフ: 「ヴェイラ、お前も知ってのとおり、領内においてはモンスター狩りは騎士や貴族の務めでもある。大型のモンスターは大方掃討しているが、それでも危険は絶無とは言えん」

ヴェイラ:「一般的な護衛の任務、ということでよろしいのでしょうか?」

騎士団長ダヴィット・ヒューナースドルフ: 「護衛の任には、もう一人つける。二人で無事にアレクリット司祭を送り届けるのだ」

ヴェイラ:「もう一人?」

騎士団長ダヴィット・ヒューナースドルフ: 頷いて、「クレイグさ。あいつも連れていくんだ。クレイグ、入れ」と言うともう一人青年が入室します。

クレイグ・ロイツベルガー: 彼は入室して、あなたを見ると「そういうわけだ。よろしく頼む」と言ってにやりと笑います。クレイグと言う青年は、ヴェイラより年下ですが、騎士候補生としては同期で、当然よく見知っている間柄です。彼の背景については追い追い説明します。年も近く、同期のよしみで気やすい間柄と思ってください。

ヴェイラ:「お前も行くのか。クレイグが一緒なら心強いな」

クレイグ・ロイツベルガー: 「お互い早く騎士として叙任を受けるまでに経験を積まないといけないからな!」

ヴェイラ:「気合入ってるなぁ。焦って怪我するなよ?」

クレイグ・ロイツベルガー: 「ふん、お前もな」

DM: ……てなわけでこのシーン終了。さて、ヴェイラさんは出発に向けて準備をするわけですが、いつもなら細々とした準備は、オルテガがやってくれます。と言うわけで、オルテガのPLさん、どうぞ。

オルテガ:「仕事が入りましたか?ヴェイラ様」

DM: 一応どんな間柄か、ヴェイラさんに説明をお願いします。

オルテガ: 昔こそ泥の前科者ですが、ヴェイラの父に助けられて改心しました。てせもその過去はヴェイラには伝えていません。今はヴェイラ様に仕える従者です。陰からサポートします。

DM: 父親のこととか知っているはずなのに、聞いてもなぜかぼかして答えてくれないんだよなあ~。

ヴェイラ: おお、なんかカッコいい。「実は、新しい司祭の赴任を護衛することになってね。ホルウェイン村までの旅なんだ。クレイグも一緒に」

DM: 何もなければ本当にハイキングみたいもんです。歴代のPCたちからは「嘘つくなーッ!」と言われそうですが(笑)。

ヴェイラ: まあ、そこはD&D。何もないわけがないのだが……。

オルテガ: たしかに(笑)。(おもしろくなってきそうだぜ)

DM: と言うわけで、次回はエンジョイ&エキサイティングな野外行軍から始まります。

ヴェイラ: いよいよ旅が始まった!

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