奥野 公子(クトゥルフ神話TRPG用キャラクターシート)

サンダーソードが作成したTRPG「クトゥルフ神話TRPG」用のキャラクターシートです。

本作は、「株式会社アークライト」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。

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奥野 公子の詳細

キャラクターID: 151742966977himeyuri35

キャラクター情報  NPCでの使用は不可
TRPGの種別: クトゥルフ神話TRPG
奥野 公子

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キャラクター名: 奥野 公子
9 / 9
27 / 27
外部URL:
メモ:
現代
特記・特徴2
詳細A:
《プロフィール》
【職業】 犯罪者(用心棒)ベースの一般事務員 【性別】 女 【年齢】 23 
【出身】 静岡県熱海市 【学校・学位】 短期大学卒業 
【精神的な障害】  

【SAN値】 現在 / 最大
71 / 75

【STR】 14 【APP】 14 【SAN】 75
【CON】 9 【SIZ】 8 【幸運】 135
【POW】 27 【INT】 16 【アイデア】 89
【DEX】 12 【EDU】 10 【知識】 50
【H P】 9 【M P】 27 【ダメージボーナス】 ±0

【職業技能ポイント】 240
【個人的な興味による技能ポイント】 160

《戦闘技能》
□回避 75%  □キック 28%  □マーシャルアーツ 1%  
□投擲 48%  ☑こぶし 70%  □マシンガン 15%  
□拳銃 20%  □頭突き 10%  □サブマシンガン 15%  
□組み付き 33%  □ライフル 35%  □ショットガン 40%  
□斧 21%  □剣 27%  

《探索技能》
☑目星 90%  ☑聞き耳 83%  □応急手当 47%  
☑追跡 92%  ☑隠れる 92%  ☑忍び歩き 92%  
□隠す 26%  □写真術 10%  □図書館 34%  
□登攀 40%  ☑鍵開け 41%  □精神分析 5%  

《行動技能》
□水泳 25%  □電気修理 10%  □運転: 20%  
□跳躍 27%  □機械修理 20%  □操縦:ボート 8%  
□乗馬 5%  □ナビゲート 10%  □製作: 5%  
☑変装 61%  □重機械操作 1%  

《交渉技能》
□母国語:日本語 50%  □信用 15%  □説得 15%  
☑言いくるめ 75%  □値切り 5%  

《知識技能》
□クトゥルフ神話 24%  □歴史 29%  □オカルト 22%  
□コンピューター 5%  □経理 13%  □電子工学 5%  
□天文学 1%  □物理学 5%  □化学 5%  
□考古学 1%  ☑心理学 95%  □法律 5%  
□人類学 5%  □生物学 5%  □薬学 5%  
□地質学 1%  □博物学 10%  □医学 40%  
□芸術: 5%  
詳細B:
{武器}
キック 1D6+DB タッチ 1回 -
組み付き 特殊 タッチ 1回 -
こぶし 1D3+DB タッチ 1回 -
頭突き 1D4+DB タッチ 1回 -
スタンガン スタン タッチ 1回 耐久力7
催涙スプレー 2d10分スタン 2m 1回 装弾数25 耐久力4
ポンプ式ショットガン 4d6/2d6/1d6 10m/20m/50m 1回 装弾数1/5 耐久力10 故障00
バトルアックス 1d8+2+db タッチ 1回 耐久力30


{所持品}
お財布:お金が大事なのは聖職者も犯罪者も変わりません。
免許証:年齢を信じてもらえない時に。これを取り出す彼女の動きは洗練されすぎていた。
スマートフォン:現代人の証明書。あの人のメモリーがテラバイト。
携帯充電器:出先で電池切れという不運を事前に回避。
デジタルカメラ:盗撮用。女子の趣味の一環に擬態するためかわいい物を選んではいるが高品質。
テープレコーダー:胸の奥に忍ばせている。隠密性と音質の両天秤。
防犯ブザー:か弱い女の子必携。襲われるときに使えるぞ。
スタンガン:か弱い女の子必携その2。襲われるときにも襲うときにも使えるぞ。
催涙スプレー:か弱い女の子必携その3。襲われるときにも襲うときにも使えるぞ。
魔法瓶:テルモス製のハイエンド。保温力重視の内栓外栓タイプで、暖かい紅茶がいつでも飲める。
折り畳み傘:社会人の嗜み。急な雨にもこれ一本。
タオル:純白で吸水性抜群。暗にあの人に清潔さを主張するためにこまめに新品に取り替えている。
白手袋:淑女の嗜み。触れたものに指紋を残さない。
ヘアピン:お洒落な髪留め。最近練習し始めたので、替えは多め。
螺鈿細工の小箱:鼠男から貰った。持っていると勾陳の呪いを回避できるらしい。京都必携。
ショルダーバッグ:通勤私用問わず使うお気に入りの一品、と変装のため周囲には印象づけている。

自宅
ビデオカメラ:盗撮用。当然ながらハイエンド。見つかりにくいように小型のものを選んだ。
小型カメラ:盗撮用。ペン型時計型色々取り揃えている。画質があまり良くないのが悩みの種。
盗聴器:複数常備。時々隣家にしかけては発見者を装うマッチポンプで信頼度稼ぎも忘れない。
スタングレネード:市販品の音響式。下手に使うと鼓膜が破れるし怪我もするので取扱い注意。
セーラー服一式:変装用。身長のおかげで遠目にはまずバレない。
暗色の服一式:潜伏用。突き詰めるとくノ一装備になるようだ。無香性の消臭剤付。
ポンプ式ショットガン:分解する過程を動画撮影し、部品は油紙に包んで大切に仕舞い込んだ。
予備弾薬:1セット5発分。散弾銃と一緒に誰にも分からない場所に仕舞い込んでいる。
バトルアックス:妙にしっくりと手に馴染む大斧。銃刀法に触れる物が増えていくのは何故なのか。禁忌の林檎:楽園の少女の瞳の色をした林檎。見るとあの人に抱きとめられたことを思い出す。
浅葱色の魔水晶:意思を込めて握ると魔力が回復する水晶。存在自体を秘匿している切り札。
キューブ:拡大縮小自在のキューブ。今は中に分解した散弾銃と弾薬と魔水晶を入れている。


【現金】 200000 【預金/借金】 1900000

{パーソナルデータ}
【収入】380万  【個人資産】2000万
【不動産】賃貸アパートに一人暮らし  【住所】京都府
【家族&友人】
普通といわれる家庭に生まれ5人兄弟だったがわけへだてなく育てられた理想的な家族だったと思うよ。客観的に見てもね。他の4人はみな公務員をやっているはずだ。私だけがこうなった。結局腐ってたのは私のここだけ。だれのせいでもない私自身の脳味噌さ。
友人付き合いしてる人はいるけど内心友人と思ってる人はいない。と言うか友人って何?
他人は大別して三種類。あの人と環境と敵。大半の他人は環境に含まれる。
【狂気の症状】
強迫観念(あの人に私の脳味噌が異常だと思われてはならない)(4ヶ月)。完治。
制御不能の震え(半年)。完治。
幻覚(幼馴染夫婦の生首が空を飛んで見える)(半年)。完治。
【負傷】
特に無し。
【傷跡など】
特に無し。
【読んだクトゥルフ神話の魔導書】
特に無し。

【アーティファクト】
螺鈿細工の小箱:勾陳の呪いを回避できる。それ以外の特殊な効果は無い。
禁忌の林檎:甘くて美味しい林檎。どれだけの時を経ても腐らず、朽ちない。食べたらなくなる。
浅葱色の魔水晶:使用するとMPが12回復する。一日経つと自動回復する。
キューブ:普段は掌サイズの立方体だが、血の刻印で描かれた紋章、あるいはそれを模写・撮影したものをかざすと1メートル四方にまで広がる。中に何かを格納した状態で小さくして物を仕舞うことも可能。

【学んだ呪術】
○ヨグ=ソトースのこぶし:対象に目に見えない一撃を与える。[1d6]ポイントの正気度と[任意のMP]をコストとして支払わなければならず、呪文の使い手には対象が直接見えていなければならない。効果は即時に現れ、影響を与える対象は一人だけである。呪文の中に投入されたマジックポイント1ポイントにつき1d6STRの破壊力を持つ一撃をもたらす。呪文の使い手が立っている位置から対象のいる位置までの距離が9m増すごとに、一撃のSTRは1d6ポイントずつ減少する。対象が一撃を受けたら、実際にロールによって出たSTRと対象の[CON+STR]とを抵抗表によって競わせる。一撃の方が勝った場合には、対象は倒れて意識不明になる。意識不明になったかどうかに関わらず、対象は呪文の使い手のいる方向と逆の方向へ吹き飛ばされる。吹き飛ばされる距離は、ロールによって出た一撃のSTRから対象のSIZを引いた値を3で割った一人同じメートルである。この呪文はドアや壁など無生物のSTRに対して使うことも可能である。結果は誰が見ても明らかな場合も多いだろうが、キーパーが決定しなければならない場合もある。ロールで出た結果に応じて決定することになるだろう。p291。
○炎に声を与える(神格との接触/ヴォルヴァドス):使い手は[1D6]正気度ポイントと[1POW]をコストとして支払わなければならない。成功率は[<幸運>ロール(POW*5)の半分]の値である(端数切り上げ)。また、この呪文は少なくともSIZ10(人間の大きさ)の炎を焦点として必要とする。呪文がかけられている間、炎は絶えず燃え続けていなければならない。ヴォルヴァドスが現れる前に炎が消えるなら呪文は失敗する。かけるのが成功すれば、ヴォルヴァドスはおぼろげな人間の顔として、燃え盛る炎の中に現れる。
○ヘルメス・トリスメギストスの毒塵:p280。
○【塞ノ幣(サエノヌサ)】作成法:木串に榊の枝と五色の割布が鬱蒼と結びつけられた大幣。大きさは普通のものと同じ。光の具合で布地に織り込まれた金色の粉が斑模様を成しているのを確認できる。大幣全体、特に割布が後光のようなものを発しており、感じやすい性質のものが見た場合、SANチェック0/1D3が発生することもある。四神の一角、勾陳が作り方を「五色の会」の陰陽師に伝えたとされ、秘術の一つとして術者でも一部の者しか作成法を知らない。作成過程でヘルメス・トリスメギストスの毒塵を使用する。
 使用回数:20回
 判定技能:<杖><日本刀-5><棍棒>など
 ダメージ:1D3+db+ヘルメス・トリスメギストスの毒塵効果
 ※受け流しなどに使用した場合、軸が壊れてばらばらになり幣として使用できなくなる。(割布5枚につき1回分の効果を持つ)
○氷の外套:《炎の外套》(p284)と似ているが、炎と違い強い冷気を放つ氷を纏う点が異なる。呪文を行使する者へのコストは[12MP]と[1D10]の正気度ポイント。なお呪文をかけられた者と呪文を目撃した者には、追加で正気度喪失が発生するので注意。この呪文は自分にかけることも、他者にかけることもできる。呪文を行使した者と呪文を受けた者が違うのであれば、氷の恩恵を受けるのは受けた者だけである。かけるために1ラウンドの時間がかかり、呪文の効果は[4D4]ラウンドの間続く。氷の外套を纏った者は、苦痛と引き替えに、動きが速くなり、戦闘での防御力が増す。DEXが倍になり、呪文使用者への他者からの攻撃は、成功率はすべて20%減少する。呪文使用者へは与えられるダメージは、ほとんどの武器は最小値のダメージになる。呪文使用者が誰かに触れた場合には、<こぶし>の攻撃として扱う。成功すれば[1D8]耐久力のダメージを与えることができる。ただし、呪文の使用者もロールで出たダメージの半分(端数切り捨て)を自分の皮膚と肉に受けてしまう。
※超常的な力をその身で体験するため[1D6]正気度喪失。 ※発動中の氷の外套を見た者は(1/1D3)のSANチェックが発生する。

【遭遇した超自然の存在】
蛇人間(イグの姉妹):人間に化けてました。蛇に戻ると少し大きくなり、艶やかで綺麗な鱗でした。
ショゴス:ぶよぶよな感触の人間に化けてました。擬態を解いたら膨れあがり虹色に光ってました。
鞍馬天狗様:人間に見えます。自分を叩くとガインと硬い音がします。
愛宕天狗様:人間に見えます。助けた私に超常の呪文を授けてくださいました、大恩ある御方です。
ショゴスロード亜種:鼠男と鷲女がいたのですが、死んだ後に合体して蘇生しました。
勾陳様:大きくてもふもふなお方でした。頭の中を弄くられたら、不思議な程にすっきりしました。
ベールの向こうの怪物:……決して、見てはならないものです。
七色の歴史:私の過去と未来を映すような不思議な色は、触れてはならぬものだと直感させました。
ゾンビ:漫画にいるようなゾンビそのままでした。数に頼んで襲われ、死ぬかと思いました。
死喰鬼:宅配員をしていました。何があったのか眼の前で手足が萎んだり爆発していました。
ミ=ゴ:人間だったものを機械に繋いで弄くり回す、虫のような空飛ぶ怪物でした。
空鬼:人間に化けてました。なんで化物が人間に拉致されてるんですかね。
忌まわしき狩人:正直でとても良い方でした。一度殺してしまったのが申し訳ないですね。
触手の化物:朱印船に化けていました。海の上で襲われるのは逃げ場がないので困ります。
ヒプノス:美術の石膏像のような姿でした。夢の中で一方的な頼み事をして消えた迷惑な方です。
アニミークリ:何をやっても死なない化物。殺れないというのは本当に厄介極まりないですね。

【特記・特徴】
用心棒:人間や自然界の動物の死体などを見ても正気度ポイントを失わない。ただし、超自然的な原因で死に至ったことが分かれば通常通り正気度ポイントを失う。
影が薄い:<忍び歩き>および<隠れる>に+20%。全て適用済み。
珍しい技能:[INT×5]%の日常生活には役に立たない技能を1つ持つことができる。<追跡>を初期値込みで80%に変更。適用済み。

【探索者の履歴】
奥野 公子(おうの きみこ)。一人称は私。愛に生きるソシオパス系ストーカー女子。
見目よく愛想よく子供のような身体なので警戒心は抱かれにくい。見た目で人を判断してはいけないってお母さん言ったでしょ。
小学生の時に好きになったあの人を一途に思い続けているけどあの人には幼馴染の同級生がおり、子供の頃の年の差と年齢以上の矮躯のせいで思うように動きが取れず、中学高校と入学するときにはもうあの人は卒業しており、大学時代に幼馴染と学生結婚してしまったときには後悔の辛酸を嘗め尽くした。一刻も早くあの人との接点を増やすべく短大に入りあの人を追って会社に就職、家の近くに引っ越してストーキング開始。家がストーキングされているとなれば普通は女性の幼馴染さんが狙われていると考えるもので、ご多分に漏れずあの人も幼馴染もそちらを警戒。偶然を装って幼馴染と初対面のご近所として友人関係を築いていき、ストーカー被害を相談されて家に上がり込む。ある程度見せ札を開示してストーカー被害を低減させたように見せかけ、夫婦ともに感謝されつつも更に深いところでストーキングは続けている。近い関係になれたおかげで戦果は飛躍的に増大し、毎晩の幸せタイムも捗っている。
最近は幼馴染さんをパラシュートやダイビングなど、新しい趣味を開拓すると言う名目で事故死に期待をかけたお誘いを始めた。笑顔で会話しつつも頭の半分くらいでは早くこいつ死なねえかなって大体いつも思っている。なお社会性はちゃんとあるので、自分で手を下したりはしない。何よりあの人に嫌われるとか最悪だからねしょうがないね。いつかSIZ18のあの人にめちゃめちゃに乱暴にされたいと思っている。
頭はいいので会社では事務仕事なんて片手間でこなして、本業のストーキングに思いを馳せたりその準備したり上司のあの人をこっそり窃視に盗み聞きするのがライフワーク。あの人のことを何一つ見逃さないようにしていたら洞察力が身についたし、何を考えているかを妄想していたら心理学も鍛えられた。愛の力だね公子さん。結構な確率で幼馴染さんのことを考えているのが分かってしまうのは業腹だけどそんなときのあの人の優しい笑顔は大好きと言う二律背反の複雑な乙女心23歳。
身体が非常に小さいため体重も軽く、音を立てずに歩いたり隠れたりするのはとても得意。めったに使わない奥の手だが、気配を消して背景に溶け込むことも出来なくはない。華奢な身体に見合わぬ力もあるため、自分の体を持ち上げるのもらっくらく。樹上から盗撮してても子供が木登りで遊んでいるようにしか見えないのは便利なものである。
追跡技能には当然自信あり。時には人に見つかることもあるけれど、そんなときには心理学からの言いくるめで切り抜ける。見た目に騙される人には非常に強い子。最近積極的完全犯罪のために変装技能を磨き始めた。今のところ一番得意なのは少女の擬態であるようだ。
なお名前は脳を食む子のアナグラム。

探索からの生還回数:13回
○暗鬼託宣(2018/02/07)
足の付かない暗殺手段として超常現象を探ろうとシャムロック事務所に潜り込んでいたある日、その望みが叶い向こうの世界に両足を突っ込んだ。強大な神話生物の恋愛劇に巻き込まれながらも命を拾った彼女はソシオパスに磨きをかけ(POW+3)、愛宕様から賜った超常の力で完全犯罪を模索する。この計画が成功するかは神のみぞ知る。

○夜は短し飲んでは歩け(2018/02/22)
逆転無罪を勝ち取ったヴァレンタイン嬢の乱高下する精神状態を鑑みて、誘われたサシ飲みを環境保全のために喜んで受諾。以前の事件で呉越同舟した八舞・鏡乃嬢両名と酒場にて偶然出くわし、何の因果か寄ってきたスケベ爺の与太話から伝説の酒を探しに行くことになる。今日はヴァレンタイン嬢の(メンテナンスの)ための日だと思っていたので、彼女の意向に従い不法侵入を繰り返し幻の酒の手掛かりを探す。酔っぱらいの不手際(ファンブル四回)を重ねながら辿り着いた偽電気ブランは至高の味で、目的を達した彼女は満足して家に帰っていった。なお一夜の夢に等しいこの出来事では、彼女は何一つ成長することはなかった。

○刻計館からの脱出(2018/03/04)
扉を潜ると意識が暗転し、気づけば雑踏の中でたたらを踏んでいた。帰って来られたのだ。その事実に安堵し、気をくつろげたところで痛む頭。館でイタリアーノに巻かれたシャツを思い出す。自分の世界に帰ってきたことで不要になったそれをゴミ箱に叩き込み、包帯に買い換える。
あの館で得たものはもはや全て必要ない。だからあの館の少女に似た姿が一瞬垣間見えたことも、もう関係のないことだ。私が生きて、あの人のいるこの時代に帰ってきた。それが全て。そうしてあの取り返しのつかない異常の世界の残滓を全て削ぎ落として、私は私の幸福な日常に再び埋没していく。とりあえずは、会社にいるだろうあの人のところまで。

○喫茶セラエノ(2018/03/15)
何も考えられないほどに疲れ切り、精魂尽き果て家に帰る。最後の気力を振り絞り、会社に有給願いのメールだけ送った。寝て起きたら視界にあの人とあの女の生首が浮かんでいた。上げた悲鳴はどこか遠い世界のもののように自分の耳に聞こえた。気絶から覚めてもその首はふよふよと浮いていた。歯の根が合わない。全身がおこりのように震える。自分の体を掻き抱いても全く止まる様子がない。落ち着け。これは、あのときに見た幻覚だ。何の因果か、再発症しただけだ。幻覚、幻覚、幻覚、幻覚……。ああ、だがこの幻覚のなんと悍ましく生々しいことか。理性の判断に感覚が逆らう。壁に頭を打ち付ければ止まろうか? ダメだ。心を強く、固く、保たねば。決してあの人に悟られてはいけない。あの人に異常者だと思われてはいけない。あの女を始末しても、あの人と近付けなければ意味がないのだ。幻覚、幻覚、幻覚……。あの人の生首が浮く中でも、あの女と笑顔で談笑できなければいけないんだ、私は。ああ、まだまだ暑いが、これから寒くなっていく時期だったのは幸いだ。涼しくなってくれば体の震えも多少は誤魔化せるだろう。正気と狂気の境など、あの人への愛の前では無力であると証明しよう。あるいは、愛こそが狂気なのだ。より強い狂気の前では全てが押し黙る。そうだ、ひとまずは車にでも轢かれてこようか。まず合理的に会社を休める理由が必要だ。その期間でこの幻覚と身体の震えに慣れるとしよう。ああ、うまくすればあの人がお見舞いに来てくれるかもしれない。我ながらなんて素晴らしい発想だろうか。轢かれるときは細心の注意を払って、あの人に捧げる身体に傷を残さないようにしないと。……あの人のことを考えていたら、いつの間にか体の震えは止まっていた。やはり愛は偉大だ。さあ行こう。明日はきっと今日より良い日になるはずだ。
……………………キキー……ドンッ……。
……ああ、楽しみだ。(POW+4、SAN-30)

○全リア充撲滅計画(2018/03/16)
交通事故の怪我も綺麗に治り、生首を側にあの人と語り合うことにも慣れてきた。間断的に発症する震えは、事故の後遺症に押し付けることもできた。素晴らしいことに、あの人もお見舞いに来てくれた。あの女が一緒に来たのは閉口したが、それでも余りある幸せだった。全く、リア充撲滅なんて莫迦らしい事この上ない。他人の色恋沙汰が自分に一体何の関係があるというのか。自分の愛が叶うかこそが肝要であり、それ以外に何の意味もないのだ。さあ、今日もまたあの人に会いに行こう。それが私の人生なれば。

○奴隷の棺桶(2018/03/17)
拉致監禁強制労働から脱出した後、幸運にも荷物を見つけたので警察に通報してそのまま帰宅。困憊や安堵、視界に浮遊する生首や断続的な震え、それを抑え込むことに注力して他に気を割く余裕がなかった等、様々な要因が重なり判断を一つ誤った。散弾銃を持って帰ってきてしまったのだ。下山直前に銃を茂みに隠して長めのバッグを購入し、引き返して銃をそれに放り込み改めて帰宅したら幸運にも誰にも見咎められることなく帰れたが、こんなものを持って帰ってどう使えというのだろうか。疲弊した頭ではあの女を消す手札の一つになるかとも思ったが、そもそもそんな証拠の残る雑な殺し方でいいのならとっくに殺っている。あの女には他殺ではなく事故で死んでもらわないと、あの人があの女の死に囚われてしまうかもしれないではないか。仕方がないので動画撮影しながら分解し、偏執的なまでに丁寧に指紋を拭いて、購入した油紙に厳重に包んで誰にも見つからない所に仕舞い込むことにした。これで銃弾以外は銃刀法には引っかからないだろう。全く、頭痛の種が一つ増えてしまった。だが、まあ。何かあった時の最後の切り札にはなるかもしれないし。やってしまったことは仕方がない。前向きに考えるとしよう。

○エデンの園(2018/04/24)
あの人に抱きとめてもらえた! あの人に! あの人に!! なんという幸甚の極み! 自分でもはっきりと分かる。今私は明確に発情している。事態も事態、早退の許可は簡単に貰えた。あぁ、今すぐ帰って望むままに乱れたい。早く、早く、早く。タクシーが遅く感じて仕方がない。ダメだ、頬が緩むのが止められない。せめてもと俯いて運転手からの視線を遮ってはいるが、呼吸が荒くなっていることまでは隠せない。体調不良にでも見えていればいいのだが。私は一体身体のどこをあの人に触れてもらえたのだろう。圧迫感をおぼろげながら感じる腕周りだろうか? それともまさか身体全体に腕を回すように? 全くもって、記憶が無いのが心の底から悔やまれる。そうだ、後であの人にお礼を言うとともに、どうしてそんな事態になったのか釈明しに行こう。その時にまたあの人に会える。うん、休日がいいな。あの人に気を遣わせない程度に高級な菓子折りを持って、お家にお邪魔させてもらおう。今の桃色に茹で上がった頭ではまともに物も考えられないし、言い訳を考えるのは後に回せばいい。だから早く……ああ、いつの間にか辿り着いていたのですね。運転手に声を掛けられているのに気付いていなかったのですか。ええ、最後のひと踏ん張りです。精々具合が悪く見えるように応対しましょう。重い体を動かすように料金を支払い、受け取ったお釣りをポケットにねじ込んで車を降りる。ふらつきながら車の遠ざかる音を背に家の鍵を開き、扉を潜って後ろ手に鍵をかけ、足早に寝室に向かいながら身体に張り付くブラウスを一気に脱ぎ去ろうとして……その途中で、あの自称『楽園』で少女の首を切り落としたハンドアックスが無造作に落ちているのを見つけた。桃色に侵された脳の片隅が何故これがここにあるのかと疑問を発し、脱ぎ去る直前のブラウスを形だけ着直して部屋の戸締まりを確認した。全ての窓が壊れることなく閉まっていることを確認し、帰ってくる時に確実に鍵を開けたことを思い出し、これがまともな手段で送られたわけじゃないことを確信し、それだけ理解できたらもうどうでもよくなった。後で押入れにでも突っ込んでおくとして、今はただ身体の奥底から尽きることなく湧いてくるこの欲求に従うだけ。あの人の写真なら浜の真砂程もある。さあ、いざや私の楽園へ。そして願わくば、いつかこの代用品を本物に。(POW+1、SAN-10)

○フェリーの怪(2018/05/17)
あの人に『奥野さんにしか頼めないんです』とお願いされて送られた出張先。そこで海難事故に巻き込まれたことで、あの人には大層心配してもらえました。あの人は寸毫ほども悪くないのに。そんな優しさに触れてしまえば身体も疼くというものですね。あのタコのような化物のことは集団幻覚として片付けられたようですが、船員が何人も殺されるような大事件の中で私が率先して人命救助を行ったという乗客からの報告があったらしく感謝状が送られてきました。それ自体はどうでもよく、むしろ警察に意識されるのは不都合しかなかったのですが、この感謝状が会社で取り沙汰されたときのあの人の嬉しげな顔を思い出すだけでおかわり何杯でもイケました。こんな素敵な余録が付いてくるのであれば、たまにはああいう事故に巻き込まれるのも悪くないと思えますね。……ああ、ふふ。思い返したらまた滾ってきました。焦りは禁物とはいえ、一刻も早くあの女を取り除きたくなって溜まらなくなりますね。頑張りましょう。幸せのために。(POW+1、SAN-10)

○醜いアヒルの唄を聞く(2018/05/25)
海難事故の件で病院に行くように会社に指示されたその日。夢の世界で恫喝に等しい頼み事を神の如き何者かから受け、一人の狂人を破滅させ三人の子供を救いました。報酬は夢の何者かに脅かされないこれまで通りの生活と、一人の少女の歌。まあ後者は添え物もいいところですが。広がった可視領域を野放図に話してモルモットにされないと良いですね。
それと眼球の移植手術が出来るようになりました。というかやりました。義眼ですが。無免許医というレベルではありませんね。まあ、物の分別が付けられる子たちです。あの目を世間に晒してまで訴え出ることはしないでしょう。

●掠う盲鬼(2018/06/12)
失敗……と。
間一髪、何度も死にかけその度に生命を拾った、あの館での一件を思い出す。汗や血、汚泥や腐敗物に塗れながらも得た成果は、魔法の箱と精神力を補給する水晶だけ。思わぬ副産物ではあったけど、あの女に事故死してもらう役に立つかは疑問符がつくところ。だが、それ以前。
今回私は偶々『本物』を引き当てて生き足掻いたわけだが、もしこれがあの女だったら果たしてどうなるか。あの女が生き延びたら、彼岸の世界の知恵をつけてしまう。それにより対処されるようになることも厄介の一つではあるが、それより何よりあの人にその知識を伝えられてしまう恐れがある。
それに思い至り、全身の血の気が音を立てて引いた。それこそが何にも勝る最悪だ。あの人があの女の死に不信を抱き、上書きされぬ記憶に囚われた復讐者にさせるわけにはいかない。状況にあの女を殺させる、などという杜撰は許されないことが理解できた。確実に。一撃で。一切の狂いなくこの手で仕留める必要がある。完膚なきまでに。それが分かったことが一連の事件、最大の収穫だっただろうか。高い授業料ではあったけど。
さあ、て。それでは暗殺の計画を立てるとしましょうか。まずは自分の手札を確認し、相手の行動を観察し、誰もが警戒しようがない状況を整え、ささやかなズルを利用して、完全無欠の事故死を。

○スペードのキング(2018/10/07)
……何故だろう。気付いたら、涙が止まらない。心の中を安堵と達成感が嵐のように駆け巡る。私はこんなにも情緒不安定だっただろうか? 嗚咽を噛み殺し、遠くの水平線を瞬きもせずにじっと見つめる。分からない、何も分からないのに、これで良かったのだという開放感が私を苛む。
……ああ、そういえば何故私は来もしない船を待っていたんだろうか。この港にどんな用事があったかも思い出せない。……帰ろう。なんだか、今は無性にあの人の笑顔を見たい。私に向けられてはいないけれど、恥ずかしそうな、不器用な、あの笑顔。……会いたい。会いたいよ。(POW+3、SAN-30)

○滝塚市不説教事件(2018/10/26)
あの市の一区画が吹き飛んで消失した夜、不思議な夢を見た。巨大な水死体のような化物があの区画を薙ぎ払い、灰燼に帰す夢だ。私はそれを天空から、無感動に見下ろしていた。目が醒めて、思う。
私も一歩間違えればそこにいたのだろうかと。あの宗教団体が何かをしたのは間違いないのだろう。今となっては全ては闇の中だ。興味もない。また今日も一日が始まるのだ。私の平穏な一日が。

○紅葉とともに Ⅱ版(2018/11/10)
……迂遠に、どこまでも迂遠に。決して気付かれず、悟らせず、いつまでも機を待つ。それが完全犯罪の極意。あの女の頭の軽い友人の好みそうな写真は撮れた。そちらのSNSは抑えている。後は少しずつ嗜好を誘導していく。私は必ず成し遂げる。必ずだ。(APP+1、POW+5、SAN-50)
詳細C:
                    
マクロ:

マクロはありません。

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