【D&D5版】テトラン城国祭神奉納歌【TRPGリプレイ】
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Open Game License v 1.0a Copyright 2000, Wizards of the Coast, LLC. System Reference Document 5.1 Copyright 2016, Wizards of the Coast, Inc.; Authors Mike Mearls, Jeremy Crawford, Chris Perkins, Rodney Thompson, Peter Lee, James Wyatt, Robert J. Schwalb, Bruce R. Cordell, Chris Sims, and Steve Townshend, based on original material by E. Gary Gygax and Dave Arneson.
DUNGEONS & DRAGONS, D&D, Wizards of the Coast, Forgotten Realms, the dragon ampersand, Player’s Handbook, Monster Manual, Dungeon Master’s Guide, all other Wizards of the Coast product names, and their respective logos are trademarks of Wizards of the Coast in the USA and other countries. All characters and their distinctive likenesses are property of Wizards of the Coast. This material is protected under the copyright laws of the United States of America. Any reproduction or unauthorized use of the material or artwork contained herein is prohibited without the express written permission of Wizards of the Coast. Japanese edition: Hobby Japan (2-15-8 Yoyogi, Shibuya-ku, Tokyo 151-0053, JAPAN) Japanese Translation (c) Wizards of the Coast LLC
ここは平和なテトラン城国 国をあげてのお祭り日
詩人がぶらりと来てみると どんと高札立っている
いうには神への供え物 三種の珍味を手配はしたが
いまだに何の音沙汰もなし これでは祭りが開けない
腕に覚えのある者は 城に届かぬわけをば調べ
期日までに珍味をそろえ 祭りを成功させるべし
城主代行トンウェンは 金貨をもって報いるとある
詩人は読んで驚いた 何しろ祭りができなかったら
詩文を奉納しようがない これでは路頭に迷うのみ
詩人は金貨と神のため 英雄集めて門を叩いた
あらわれ出でたるトンウェンは 意外やかなり控えめな
ドラゴンボーンの眷族で 腰を低くし事情を語る
祭りの供物に必要なのは まず一番に舌魚の煮つけ
これは港で獲れたてを さばいたものが格別の美味
次にピエンの山村で 代々伝わる幻のピクルス
最後にプーカの村のこの年の 取れたばかりの初物の小麦
いずれも他に変えられぬ 揃えてくれたら金貨を出そう
もはや諸君にすがるしか すべはないとて目に涙
英雄たちは胸をば叩き まかせてくれと請け合った
地図を広げて道を調べ 顔を寄せ合い相談するに
まずは漁村に赴いて 舌魚なるを取り戻そう
次に山でピクルスを 最後に村の小麦をと
話はするするまとまって 旅装を整え城門を発つ
件の漁村に来てみると 迎えてくれたは幼き娘
涙ながらに語るには 人肉食らう半魚人
漁師たちをば殺して食らう これでは漁など夢のまた夢
英雄たちは活気づき さようなことなら遠慮は無用
半魚人らを追い払い 焼き魚にしてくれんものと
船着き場にて待ち構える どんどん時間は過ぎていき
これはわれらに恐れをなしたか 詩人は笑っていたところ
不意の怪しき水音に はっとしたのは遅かった
海の中からざぶざぶと 上がってきたのは半魚人
英雄たちは武器を構え なますにせんと迎え撃つ
イメルダ放つ弩は 魚人どもに突き刺さり
業物振るうバーベラは リアンとともに魚人を八つ裂き
英雄たちは暴れ回り 魚人どもはたじたじと
そこでゲッシュが我に返り 神の言葉で話してみると
魚人たちが語るには 自分たちを作ったのは
つい先ほどまで話してた あの幼い少女だという
幼く見えるのは変装なのだ 詩人はびっくり仰天し
よくもだましてくれたなと 周囲を見回してみると
すでに少女は雲を霞 地団太踏んだが遅かった
魚人がゲッシュに語るには 創り出されたのはとあるあばら家
案内するということで 義憤にかられた英雄たちは
変装上手な悪党に 天の裁きを下さんものと
うっそうとした森に入り 悪の隠れ家を強襲す
そこでは悪党三人が 雁首揃えて悪だくみの最中
英雄たちが武器を突きつけ 黒幕は誰かと詰問すると
少女はげらげら大声で笑い 城主代行トンウェンの
ライバルであるガルカだという ガルカは城主トラクストンを
陰謀でもってあの世に送り それから祭りを成功させて
代行トンウェンを選挙で破り 城主になるという計画
英雄たちは大いに怒り 魔法で暴れる悪党たちを
打ち倒さんと奮闘す 魔法に手こずりしたものの
数で勝れる英雄たちは 悪党たちを追い詰めて
捕えて城市に護送した トンウェン殿が語るには
ガルカは山に行ったという 英雄たちは休む間もなく
悪人ガルカを捕縛して ピクルスをば手に入れようと
旅装を整え武器を試し 勇んで城市を後にした
ピエンの里は山深く 行くには難儀帰るも難儀
詩人はへばりあえぎながらも たどり着いたら様子がおかしい
悪声ながらも詩人は歌い リュートを弾いて人を集め
じっくり話を聞いてみると 山の畑を熊が占拠し
おちおち野菜も取れないうえに オークどもにまで襲われて
ピクルスどころの話ではない 涙を浮かべてもろもろ語る
ピクルスなければ祭りはできぬ まずは畑へ行ってみると
大きな図体のクマが三頭 血だらけになってぐったりと
英雄たちが近寄ると 鋭い声で誰何の叫び
目を血走らせたドルイドの娘が 武器を構えて立ちはだかった
傷つく熊もかわいそう 見かねて詩人とパラディンが
自分たちの医療の技で 熊を癒してみせようと
丸腰になって娘と話すと お願いしますという返事
詩人は歌で傷を癒し、 パラディンは奇跡で傷を封じる
たちまちのうちに熊どもは 元の元気を取り戻し
感謝を述べたドルイドは どうか頼みを聞いてくれ
もと住んでいた森の住処が オークどもに居座られ
ここに逃げてきた次第 オークどもが出て行けば
自分も住処に帰れましょうと もしそれがかなわなければ
住むところもない熊とドルイド ここに置いてくださらぬか
英雄たちは顔を寄せ合い オークどもを一掃すれば
ピクルスを採ることもできよう それがみんなのためになる
住処とやらに案内を頼み 赴き見るといるわいるわ
オークどもが野蛮な声で 野蛮な宴の真っ最中
英雄たちは武器を取り オークの群れへ突っ込んだ
イメルダリアンバーベラと 皆覚えある武術の達人
寄せ来るオークをばったばったと 藁束のように斬り倒す
詩人は後ろで声援を送り リュートをひたすらかき鳴らす
一陣の旋風吹いた跡には オークの死体が累々と
片づけるのはドルイドに任せ 英雄たちはピエンへ凱旋
神の助けも受けまして ほどよく漬かりしピクルスを
手にして城市へ帰らんとしたとき オークがプーカの村へ行き
何やらしていると耳にした プーカの村には小麦がある
これはほっては置けないと 英雄たちはその足で
プーカ村まで道なき道を 韋駄天走りで走り行く
神も心を打たれたか 英雄たちの傷は癒え
同じく癒えた熊三頭と ドルイドの娘を仲間に加え
その日が終わるより早く プーカ村へとたどり着いた
おりしもプーカの村の家では 押し寄せたるオークの兵と
プーカの村の平和を守る 民兵たちが大いくさ
英雄たちは声を限りに 援軍来たりと叫びつつ
肩寄せ合って一丸に オークの中へとどっと突っ込む
刃はオークの鎧をば 紙のようにずばりと切り裂き
穂先はオークの喉元を ぐさりと貫き血がほとばしる
熊は牙とかぎ爪で やられたことのお返しとばかり
オークの身体にのしかかり ざくりざくりと息の根を止める
詩人は後ろで見ていたが 苦痛の悲鳴を耳にして
あれは確かに断末魔の叫び これを黙ってみてられるかと
リュートを握って全力疾走 癒しの歌を届かせるため
喉の枯れるもええいままよと 歌いに歌って死から引き戻す
その間にも英雄たちは 悪を率いる頭目見つけ
手練の武器も勇ましく 斬り突き払い叩きつけ
見事頭目の首を上げ 大音声で鬨の声
それを目にしたオークどもは 散り散りになって逃げていく
悪の頭目これぞガルカか 英雄たちが見てみれば
意外や意外ただのオーク ガルカは確かドラゴンボーン
龍の眷族であるはずが 鱗もなければ牙もない
英雄たちは捕らえたオークを 脅しすかして尋問し
ドラゴンボーンが黒幕と 突き止めたところで城市から急使
もとの領主のトラクストンが 生きて城市に帰り来たりと
さては黒幕はこの領主 オークに首実検させば
すべての謎が解けるはず 英雄たちはピクルスと
プーカの小麦を袋に収め 急ぎ城市へ戻らんとした
城市に戻って通されたは 怪しきことに小さな劇場
トラクストンはどこにいると 訪ねて見れば緞帳の中
めくって中を見た途端 英雄たちは驚いた
そこにいたのは彫像のごとく ぴくりともしないドラゴンボーン
これは確かにかつて見た トラクストンとガルカなり
これはいったいどういうことだと 振り返って後ろを見れば
いつ来たものかトンウェンが オークたちと入り口をふさぎ
高笑いして陰謀を語る 全ては選挙のライバルを
闇に葬り無投票にて 城市の君主にならんとぞいう
あさましくいやしき小人の陰謀 トンウェンの横にひかえるは
たしかに漁村にいたあの少女 歳経た魔女が化けの皮
かぶりし姿に相違なし さては漁村で英雄に
ガルカが黒幕と申せしは 英雄たちをたぶらかし
トンウェンめから嫌疑をそらす 舌先三寸であったのか
魔女は呪文を唱えしが 詩人にだって奥の手はある
へっぽこ詩人にしてみれば 歌を歌いてしんとせしこと
二度や三度ではきかぬもの そこで覚えた詩文こそ
場をしんとさせる静寂の呪歌 魔女は言葉を封じられ
呪文を唱えることすらできず その混乱に英雄たちは
武器を構えてオークを襲う すし詰めになりしオークどもは
武器さえ満足に振るう能わず 次から次へと刀の錆に
とうとうトンウェンはその場を逃げ出し 魔女は降伏して戦いは終わった
魔女のワンドを振ってみると トラクストンとガルカのふたりは
元の動きを取り戻す 英雄たちから全てを聞いた
トラクストンは名剣を下賜し 英雄たちに金貨をはずむ
されど詩人は人生の 糧となりし教訓を得る
げに恐るべきは小人の陰謀 小人は閑居して不善をなし
政にかかわらば災厄を招かん もって詩人も身を慎めり