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😶 深夜のTRPG情景描写練習20220626 * 重い銀の大扉を開けると、そこは月明かりに照らされた庭であった。 広々とした露台は褪せた色の植物に覆われていて、中央には人の身の丈を優に越す巨大なひまわりのような花が咲いていた。 風もないのに身じろぎするように揺れているそれから視線を感じる。まるでびっしりと芽吹いたつぼみの代わりに、無数の瞳が植え付けられているかのように思えてならない……。 * 時計塔の内部は静謐な光に満ちていた。 時間が止まったかのように何の動きもなく、ただあなた達の息の音が聞こえるだけ。 文字盤の裏から差し込む月光に照らされて椅子に座る何者かの姿が見えた。 その手元には簡素なテーブルと、倒れた杯がある。零れた液体はまだ乾いておらず、血のような赤色のまま滴っている。 * 村というのもおこがましい、みすぼらしい廃墟の中を歩いている。 足元は絶えず海水で濡れており、硬い地面を歩くたびにバシャバシャという水音を立ててしまう。 フジツボ塗れの汚らわしい建物が立ち並び、まるで迷路のようだ。 あなたはその陰に動くものを見てしまう。なにかを引きずるような巨大な影。 ふと、辺りに立ち込める腐臭が一層強さを増しているように感じた……。 * 漁場は地獄めいた様相を呈していた。 岩山を丸ごとくりぬいて作られたそこに換気口などあるはずもなく、生臭い磯の腐臭で満ちていた。 壁面を沿うように足場が設けられており、そこに湿って腐りかけの木が架けられて簡素な橋になっている。 吊るされた網の中には名状しがたいナメクジと魚の混ざりあったような奇怪な生物が詰められており、それがのたくる不快な音が響いている。漁場の底には同じ怪魚が一面にばら撒かれており、各々が蠢くせいか巨大な内臓が蠕動しているかのごとく感じる。まるであなた達を呑み込まんとするかのように……。 だが呆けている場合ではない。生乾きの橋を軋ませながら渡っているのはあなた達だけではないらしい。 フジツボまみれの魚人どもが、汚らしい銛を手に、侵入者を探して行きかっている……。 * ゴンドラで降りた先は洞窟のようだった。 海が近いのか、岩に波が叩きつけられては砕ける轟音が幾重にも反響しており、あなた達の感覚を狂わせる。 尖った岩でささくれだった足場は海水に浸かっていて滑りやすい。転べばひとたまりもないだろう。 あなたたちが苦心しながら洞窟を進んでいると、異様な光景が目に映った。 光の差し込む出口――その先の浜に向かって、さきほど襲い掛かってきたナメクジ女たちが這いつくばって祈りを捧げているのだ。 あなた達には目もくれず、未発達の口からゴボゴボと悍ましい祝詞を捧げている。幸いにしてその内容までは分からないが、聞き続けていればいずれ正気を失うであろうことは……そしてなぜか、あなた達もこの呪われた行列に加わって一心不乱に何やら唱えるであろうことは容易に想像できた。 ナメクジ女たちを掻き分けて、あなた達は陰鬱な光が照らす浜辺へ足を踏み入れた。 * 奇声を上げて胎盤を振りかざす、忌まわしき老いた赤子を退けたあなた達。 砂浜にはいくつもの肉片と血痕が散らばり、生臭い鉄錆の匂いが漂っている。 ふと見れば、流れ着いたそれ――白く水膨れした巨大な水死体から何かが伸びている。 黒く透けていて、どうにも先ほどの老いた赤子のように見えるそれは、しかし腕も足もなくみすぼらしい胴体と頭だけ。母体からまろび出た萎びたへその緒のようだ。 しかしそれは泣いている。 くぐもった声で、まるで生まれ落ちたこの世界を呪うかのように泣いているのだ。 これをどう処理するかはあなた達が決めよ。 * はい、ブラボです。 * 野営地跡にたどり着いたあなた達。 そこは数十年の歳月によって朽ちかけてこそいたものの、欠けた石壁は未だ健在で、おおよそ前哨基地の威容を保っていた。風雨に晒されてボロボロになった旗が不吉な風に揺れている。 あなた達が遠巻きに跡地を観察していると、おもむろに建物の陰から粗末な鎧に身を包んだ骸骨たちが現れた。 まだこちらに気付いてはいないが、どうしようか。 * あやふやな風景を見せる魔域の中を進んでいくと、紫の光を放つオベリスクを発見した。 黒曜石に硝子を貼りつけたかのようなすべすべとした質感のそれに、金色の文字が刻まれている。 解読には《魔法文明語》の読文が可能でなければならない。 (突破した) オベリスクには次の内容が書かれていた。 『 忘るる石碑 告 下に名を刻まれし者、次第に己が素性を忘れ、 近しく思う獣に身を窶し、 やがて何者になれぬまま悠久の時を生きるであろう 〇〇〇・〇〇〇〇〇〇 』 * 砦の中央は広場となっており、赤黒い空の下、血に濡れた石畳が広がっていた。 蛮族によって、人畜問わず死体を弄んだ猟奇的なオブジェが飾られている。 それらに取り囲まれるようにして、あなた達が探していた少女が立ちすくんでいた。 傍らには鋸や血受け皿を携えた影の如き漆黒の外套に身を包んだ邪教従、蛮族、そして魔神。 唾を飛ばして何事かを叫んでいる。それは指示のようにも、詠唱のようにも聞こえた。 さて、どうする? * これはソドワ。 * 繁華街を照らすネオン、けばけばしい光から身を隠すかのように、あなたは薄暗い路地裏に呼び出された。 人々の喧騒がどこか遠く聞こえる。日常の裏側で生きるあなたにはうってつけの場所と言えるだろう。 やがて指定された時間になる、すると――一際暗い影の中からその男は姿を現した。 "ディアボロス"「……早いな。いや結構」 * 放課後。日の入りが早まった秋のことである。 夕日が照らす中、あなたは友人たちと別れた。道を右に曲がり左に曲がり、大通りから外れたところにその喫茶店はある。 吊るされた看板には『closed』と書かれているが、それを無視して扉を開ける。 客席を通り抜けて階段を昇れば――UGN・N市支部に到着する。 * その瞬間、世界が静寂に包まれる。 辺りから活気が消え、人々は虚ろな表情でさ迷い歩く。 ……充満する殺気に気付いているのはあなただけのようだ。 それはオーヴァードならば必ず心当たりがあるだろう、《ワーディング》だ。 * 普通のダブクロな感じって新鮮かもしれない。
> 日記:深夜のTRPG情景描写練習20220626 おはようございます、ササミです。 とても参考になりました。 また次回もあったら、楽しみにしています!!
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