ポール・ブリッツさんの日記 「69人も投票してくださったので結果を発表」

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ポール・ブリッツ
ポール・ブリッツ日記
2021/10/22 00:33[web全体で公開]
😶 69人も投票してくださったので結果を発表
ルルブに「それを選ぶメリットが全然ないデータ」が載ってることについてどう思うかを問うたところ、 

https://trpgsession.click/vote.php?i=uid159_1634054938

あったほうがいいに決まってる……65票

なかったほうがいいに決まってる……4票

という結果だった。「盲腸」みたいなデータでも、たくさんあったほうがみんな嬉しい、ということらしい。これ以上どうやっても、「あったほうがいい」の優位は動かないだろう。

それに、中国三千年の知恵がいうとおり、「無用の用」というものもある。底なしのクレバスにかかった橋を渡るのに、合理的な思考だと、「足裏が乗るぶんの面積だけが点々と続いているだけでいい」ということに行き着くわけだが、そんなもん常識的に考えて渡れるか、というものなので、足が乗らない場所があったとしても、橋はきちんと平面で続いていたほうがいいのだ。

……でもなあ、とわたしは思うわけなのだ。年寄りの昔話で恐縮だが。

20世紀の昔、「T&T第五版」というTRPGがあった。特筆すべきはその武器リストで、百を超える武器が用意されていて、そのひとつひとつがデータが違う、というこだわりぶりだった。何しろ剣だけで22種類あるのだ。

さて、そのリストの「短剣」に、サックス(いまでいうボウイ・ナイフ)とクックリ(いまでいうグルカ・ナイフ)があった。サックスとクックリは、与えるダメージは2d6+5と完全に同等。価格も同じ。では性能差はどこに出ているかというと、まず、重さの面ではサックスに比べてクックリは軽い。必要筋力度は、クックリのほうが力のないキャラクターでも扱える。必要な器用度の面で考えると、効果的に扱うのはクックリのほうが易しい。そして、サックスは投げて使うことはできないが、クックリは熟練者が扱えば、投げつけて15m先の敵をも攻撃できる……。そしてそれ以外に差異はないのである。

当然、誰もがクックリを選ぶわけだ。当時からつくづく疑問だった。「これじゃサックスを選ぶ意味がないじゃん!」である。かわいそうなサックスを使っていたキャラクターをわたしは見たことがない。この時点で、完全にサックスは「データの盲腸」以外の何物でもなくなっていた。

それから幾星霜が過ぎた。T&Tも改版され、「完全版」が出ていた。第五版ルルブに親しみがあったので、とりあえず「武器リスト」を見てみることにした。

武器リストは完全に改められ、百を超える別々なデータの武器は、すっきりとまとめられていた。たとえば、「大型の戦闘用短剣」は2d6+3ダメージ、「英雄的な戦闘用短剣」は2d6+4ダメージ、みたいにまとめられ、それぞれが必要とする筋力度と器用度も各項目ごとに統一されていたのである。

それを見て、わたしは「ああ、なるほど。デザイナーもあれはやりすぎだと思っていたのか」と思った。ルールをシェイプアップするという意味では大成功の部類だと読んでいて思う。

だが、同時にわたしは、「とても悲しかった」のも事実だ。やっぱり第五版ルルブくらいに膨大なデータの羅列があったほうが読んでいて楽しいのだ。……使わないだろうけど!

結局のところ、わたしは誰も使わないようなデータは別のデータに吸収させるなどシンプルに編集してまとめた方がいいのか、それとも思い切り多彩にして、それぞれの特徴を顕微鏡学的なレベルで差をつけることで、データの量を充実させた方がいいのか、いまだによくわからない。

現在の投票では、どっちか二者択一で選べ、といわれたら、「バリエーションを持たせたほうがよい」という意見が圧倒的なようである。そうだろうな、とも思うが、「ううむ……」とも思う。

人間とは勝手な生き物である。

「そんなものケース・バイ・ケースじゃないか」という声もあると思うが、そんなことをいったらこの世にあるものでケース・バイ・ケースでないものなんてあるか、という話になってしまう。もし、実のある投票結果を求めようと思うなら「ケース・バイ・ケースで判断すべき」とか、「どちらでもない」「どちらともいえる」とかいう選択肢は作らない方がいい、ということも老婆心ながら付け加えておこう……。
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レスポンス

セス
セスポール・ブリッツ
2021/10/22 03:45[web全体で公開]
> サックスとクックリ

 これも昔話で恐縮ですが、
「サックスの方が食事ナイフとしてOK、
 クックリは食事ナイフとして使わんだろう」
って、
「サックスを使っていた(走召糸色木亥火暴)」
「飛び道具は飛び道具で用意してたし」
って、
「遠い記憶が・・・」
(ダンボールから昔のキャラシーを探し出して
 確認はして無いwww)
Kei
Keiポール・ブリッツ
2021/10/22 02:04[web全体で公開]
> 日記:69人も投票してくださったので結果を発表
(続き)

あるいは別の例ですと、古いゲームで恐縮ですが、RuneQuestにおけるヴォーリアという女神ですとか。ヴォーリアって、PCが信仰するに足りるような理由が全くないような、どうして信仰可能な神様の一柱たる記述がされているのか悩むような、概要だけ書いてあればいいような神様なのですが、でも、わたくしはヴォーリアが大好きで、こんな神様の記述もちゃんとあるからRuneQuestが好きだったりしたのでした(RuneQuest: Gloranthaにはあっさりした記述しかなくて、寂しく感じたものです)。

結局のところ、世界をどういう風に記述しますか? ということかと考えております。T&Tで「無駄な武器のデータがまとめられた」のは、ルールをシェイプしたからそうなったのではなく、そのように世界を記述する必要がなくなったから、というような想像をしておりますの(完全版は拝見しておりませんが。
Kei
Keiポール・ブリッツ
2021/10/22 02:03[web全体で公開]
> 日記:69人も投票してくださったので結果を発表
ご機嫌よう。

わたくしがこの投票で考えたのは、データ的なメリットがないというのはどういうことかしら? ということでした。

それで、具体的に最初に思いついたのは、ネクロニカのようなゲームで、同じコストで醜くなるけど強いパーツと醜くないけど弱いパーツがあったら、というようなことでした。ルール的な強さの表現だけを考えるのでしたら、後者は必要ないという意見も当然あるでしょうが、ロマン派としてはね、醜くなるくらいなら選ばない、という選択は当然できるべき、と思ったのでした。醜さ、みたいなものがデータ的には全く表現されないとしても。でもまあ、それは選ぶメリットがあるということなのかしら。

(長くなったので続いてしまいます)

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