りちゃさんの日記 「五月雨屋敷の走馬灯 それから」

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りちゃ
りちゃ日記
2020/05/23 14:15[web全体で公開]
😶 五月雨屋敷の走馬灯 それから
秋も深まるころ、わたしは絶賛引きこもり生活を送っていた。
寝て、起きて、ぼんやりと時計を見やる。
時計の針が10時を指していても、カーテンはしっかりと閉め切っていたから、いまがいったい朝なのか夕方なのかもわからない。
部屋の外に物音がしないことを確認してそっとドアを開ける。
ドアのすぐ外に置かれているトレイの中にトーストとサラダと牛乳が並べられているのを見ていまは朝なんだとやっとわかった。そんなどうしようもない生活をかれこれ3か月は続けていた。

昔から他人の笑い声が気になってしまう性格だったけれど、あの不思議な体験をしてからは人目のないところでも、誰かがわたしを指さして笑っているような錯覚が止められないでいた。


夏休みの間は笑って放任していた両親も、新学期になっても頑として登校を拒否するわたしを心配たのか、何人ものカウンセラーか何かが入れ代わり立ち代わり家にやってくるようになった。
でも、あの恐怖を知らない人がわたしの何をわかれるっていうんだろう。
最初はにこにこと質問をしてきた彼らも最後には結局ありきたりなことを言ってあきらめ顔で帰っていった。


誰かがいつもわたしを見張っている。
誰かがいつもわたしをなじっている。
誰かがいつもわたしを哄笑っている。
そして昏い、寒い、どこか遠くに連れて行こうとしている。


本当は何かあったかい、きらきらした何かがあったはずの夏の日々。
何とか自分を奮い立たせようとそういった思い出をかき集めようとしても、ふと雑念がよぎって気がそれた瞬間にそれらは幻のように立ち消えてしまって、どんなに目を凝らしても見つけられなくなってしまうのだった。


玄関のチャイムが鳴った。
この時間は最近はお祖母ちゃんもパートに出ているはずだ。
どうしたらいいものか右往左往していると携帯からLINEの着信音が鳴った。
翠からのスタンプが3つ並んでいたのをみてほっと胸をなでおろした。
翠はこんな風に家に誰もいない頃合いを見計らって時々様子を見に来てくれていて、わたしも彼女らと居るときだけは不安を和らげることができていた。


玄関の扉を開けるなり、するりと入ってきた翠に飛び掛かられて目の前が真っ暗になった。アイマスクのようなものをかけられて、続けて耳当てで何も聞こえなくなった。
動転しているわたしの両手を誰かが握ってきて、わたしは捕獲されたリトルグレイみたいな恰好でのそのそと廊下を引きずられていった。

最初は体中から汗が噴き出してきたけれど、ゆっくり確かめるように連れられていくうちに繋いだ両手に懐かしさがあふれてきて、温かいトンネルを丸まった自分がどこかへ押し出されていくようなそんな気持ちになっていった。


歩みが止まり、両手が離された。
続いて視界が開けて、耳に音が戻ってきた。

突然の明るさに、二度、三度まばたきをすると居間に知った顔がずらりと並んでいた。
手を引いてくれていたのはやっぱり阿良川と鴎だった。
翠がアイマスクと耳当てを持って笑っていた。
三村が指さしたテーブルの上には、山盛りのお菓子にジュース、そしてホールのケーキが並べられていた。

そこでようやく今日が自分の誕生日だったと気づいた。
胸に言いようのない感情が込み上げてきた。
みんなで確かに何かを共有したあの夏の日々が鮮明に蘇ってくる。

だれからともなくあの唄を口ずさんでいた。
日差しの強い坂道で、潮の香りのただよう木立で、夕暮れの浜で、確かに聞いたあの唄を。
空気がどんどん軽くなるのを感じた。
明日の終業式来られそう?と聞かれて、我ながらぎこちない笑顔でハーゲンダッツおごってくれるなら、と答えた。


ーーーーーーーー
先日、ダイン様キーパーでJACK.Z 野生の無貌の神様作の「五月雨屋敷の走馬灯」に参加させていただきました。

すごい、これはすごいあおはるですよ。
プレイヤー全員友人で16才で夏休み、不思議なうわさの真相を探るシティもの。これ絶対面白い奴だーと思っていましたが、期待以上のとうとさでした。
PC4人が揃いもそろってインドア派で、屋内シーンのダイスロールにはめっぽう強いのに屋外にでるとポンコツになっていくのも笑えましたし、オカルト部に新聞部というマイナー路線の集団が、探索を続けていくうちにうちとけてガードが崩れていく感じはほんとよいものでした。

というわけで後日譚妄想です。
ほんとうなら圧倒的にハッピーな日記になるはずだったのですが、ふとした油断とダイス神のいたずらで発狂、3か月の一時的偏執症を引き当ててしまったのでした。どうしてこうなった(笑)
そんなこんなで、同卓したPCさまたちのお力を勝手にお借りしてしまいました。妄想話と思って流していただければ幸いです。これは小守文乃一生頭あがんないな。
堅物に見えてお茶目な一面もみせてくれた阿良川、何故か対人交渉の一番の矢面にたたされていた三村、破天荒ながらセラピストでもあった翠、リーダーだったはずだったはずの鴎、天に愛された美少女ゲーム実況投稿者の四葉杏様、みんな大好きでした。
サイゼリアでだべったり、LINEタブでしょうもないことを発言しあったり、謎の唐突な〇〇回が発生したり。この面子だったからあの夏の日を体験できたのだなーと思います。
あと翠は絶体絶命のときに精神分析してくれてほんとありがとう。アフター的におおげさでなく一命をとりとめました。

改めまして、木枯らしさん、マダラさん、柏木@さん、そしてキーパーのダインさん、楽しい時間をありがとうございました。シナリオ製作者のJACK.Z 野生の無貌の神様にも感謝です。
またよければ一緒に遊んでください。
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