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😶 キャンディ・レイン それから (▼ ネタバレを含むコメントを読む。 ▼) ひとつ。佐久間雨はわたしの幼馴染である。 ひとつ。佐久間雨はわたしよりひとつ年下である。 ひとつ。佐久間雨は花が好きな、優しい男の子である。 ひとつ。佐久間雨は雨粒のような色の瞳をしている。 ひとつ―――。 朝の身支度を整え終え、鞄を取り上げようとして、机の上並んだいくつかの写真立てが目に入った。 そのうちの一つ、実家に残ったアルバムの中からようやく見つけ出してきた写真には、仲の良さそうな3人、わたしと兄さんと、そして佐久間雨が笑って写っている。 会沢さんならもっと上手く話せたろうか。 未谷さんならもっと上手に聞けただろうか。 たぶん答えはイエスで、そして同時にノーだ。 それがどんなにみっともなく、たどたどしいものだったとしても。 ひっそりと死に続けていた彼の純粋を写し取ったような白い白い十字架の中で、わたしが彼と辿った道のりも、苦悩も懇願も、交わした約束も、慰めあった抱擁も。 わたしだけが彼にあげられた贈り物だったと、そう思いたかった。 ひとつ。佐久間雨はわたしの幼馴染である。 ひとつ。佐久間雨はわたしよりひとつ年下だった。 これからその差はどんどん広がっていってしまう。 彼の生きた時間はどんどん過去になってしまう。 けれど、わたしはきっと忘れない。覚えている。 二人で膝を突き合わせて語り合った思い出を、感情を、願いを祈りを。 長い時間交わし合った佐久間雨の物語を。 わたしは抱いて生きていく。 そうやってわたしが佐久間雨と二度目の別れを告げた交差点に優しく降りしきった雨の粒は、彼に貰った飴玉の色に似ているように思えた。 キャンディ・レイン、あなたが最後にくれたもの。 前髪を濡らし、頬を濡らした温かさも。 喧噪をかき消すような静けさも。 薄小金の空に掛かったあの虹も。 全部が奇跡みたいだったあの光景は、どうしようもなくわたしの胸を締め付ける。 そしてわたしを励まし、支えてくれる。 だから。 ひとつ。佐久間雨はわたしの特別な幼馴染である。 そう、いつまでも。 わたしがわたしである限り。 行ってきます、と声をかけた写真立ての傍らで、花瓶代わりのドロップ缶に紫のライラックがふわりと揺れた。 ーーーーーーーー 先日、小笠原ナカジ様キーパーで遠山白様/白糖堂様作の「キャンディ・レイン」に、新米警官、羽戸 詩絵(はねと しえ)で参加させていただきました。 はじめてのソロシナリオ参加でした。始まる前は緊張で喉が渇き、始まってからはダイスロールの重大さに恐れおののき、終わってからは出来上がったお話の切なさと愛おしさをじんわりと味わっておりました。ソロシってしんどけど贅沢なものですね。延々と悩んで進めないでいても辛抱強くお付き合いくださったキーパーの小笠原さんには頭が上がらない思いです。別シナリオのキーパー談義もすごく楽しかったです。 というわけで後日譚妄想です。 いつもいつもぼんやり想像していた設定なんかをきちんと言葉にして出せないのは悪い癖だなあと思いながら、後日譚妄想です。ドロップ缶に活けるのはキンモクセイじゃなかったですね、紫のライラックです。佐久間君を動かすときはピクミンの気持ちになっていると言われましたけど、もうちょっと報われてもいいんじゃないかと思います。そんな全部を詰め込んでみました。いつにもまして同卓様以外には伝わりきらない日記になってしまった感はありますが、どうかご容赦を。 改めまして、キーパーの小笠原ナカジさん楽しい時間をありがとうございました。シナリオ製作者様の遠山白様/白糖堂様にも感謝です。 またよければ一緒に遊んでください。
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