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💀 怪談:幽世電波 (▼ ネタバレを含むコメントを読む。 ▼)毎日投稿継続中です。 色々と試してみるためにも今日は怪談を書いてみようかと思います。 もしも、感想の一つや二つ頂ければ幸いです。 今から話すお話は飽くまでフィクションです。 後、結構長いのでもしも読む方は気合を入れていただいた方がいいかもしれません。 私の友達に天野君という方がいます。 今夜は彼の身に起きた経験談を教えましょう。 天野君は筋金入りのツイッタラーでした。 少しでも仕事に余裕が出来たらツイッターを見て、仕事が終わったら真っ先にツイッターを確認するような人でした。 流れてくるタイムラインを見落とすまいとするかのようにする彼の姿は度々友人の間で笑い話にされていました。 それほどまでにツイッターに熱心だった彼はいつも通信制限に追われていました。 どうも家にはwifiを引いていないようで、良く会社のwifiやコンビニなんかのフリーwifiを使って少しでも通信料を減らそうとしていたそうです。 その日も彼は仕事から帰宅してツイッターを見ていると、突然ツイッターの更新速度が急激に遅くなりました。 通信速度制限にかかってしまったのです。 犬の動画を見ようとしたタイミングで、ロードが終わらなくなってしまって天野君は思わず舌打ちがこぼしました。 設定画面を開いて近場のフリーwifiを探してみますが、近くのコンビニのものは既に有効時間を全て使い切ってしまって使うことが出来ません。 仕方がないのであきらめようかと思いながら、もう一度wifiの一覧を見ているとふと見覚えのないフリーwifiがありました。 『�』 これがそのwifiの名前でした。 天野君は少し変に思いましたが、そんなものよりも早く動画の続きを見たかったのです。 街中だと案外文字化けしたwifi名というのはありますしね。 彼はそのwifiに繋げるとまたツイッターへと戻りました。 どうやら時間が経ちすぎていたのか、ツイッターが更新されて新しい記事が表示されています。 彼は再び舌打ちをしてさっき見ていた動画を探すついでに、ツイートを流し見ながらさかのぼっていきました。 しかし、どうにもおかしいのです。 さらっと目を通しただけでも、見覚えのない有名アカウントがちらほらと目に入ってきます。 ツイッターのしようが変わったのだろうか、と最初は軽く考えて居ましたがあるツイートを見て彼のスクロールする指がぴたりと止まりました。 『今日はちょっと遠出してお洒落なレストランへ食べに行きました!!』 そのツイートは天地君の友人が食べに行ったお店の料理の写真を載せただけのものでした。 しかし、その友人がツイートすることなどありえないはずでした。 何せ、その人は数週間前に既に亡くなっていたからです。 天地君の友人が既にこの世にいないことを、彼の死の間際に立ちあった天地君はよくわかっています。 見間違えかと思って、アカウント名や投稿日時を確認しましたが、確かに友人が数分前に投稿したもののようです。 つぅと嫌な汗が彼の背筋を伝いました。 もしかして死んだ彼のツイートが見れたのか? 一瞬そんな思考が頭をよぎるもすぐに考え直しました。 バカバカしい。 たまたまアカウントが同じだったか、アカウント乗っ取りだと天地君は思いなおしました。 そう考えると今度は少しむかっ腹が立ってきました。 彼の友人の死がけなされたような気がしたからです。 『おい、お前本当に〇〇なのか?』 彼は衝動のままにツイートに対して返信しました。 わざわざ友人の実名を出したのはツイート主が偽物だということをあぶりだすためでした。 返事はすぐに来ました。 『おっ、天地か? お前ももうこっちに来たのか?』 軽い返答。 しかし、向こうは天地君の名前をいい当ててきたのです。 もちろん彼は実名をネットに上げるようなことはしていませんでした。 得体のしれない不気味さを感じながらも、彼は止まることはありませんでした。 『え、本当に○○なのか? それとこっちってなんだ?』 『そりゃそうだろ。俺のアカ名は知っているだろ。鈍いなぁ、死んだのかって言ってんだよ』 返ってくる文字の文面は確かに彼の友人に似ていました。 過去のツイート内容も友人のそっくりでした。 死んだはずの友人がスマホの向こうにいるような気がしました。 わけも分からずに焦っていました。 自分の中の常識が侵されているようなそんな危機感があったのかもしれません。 しかし、それでも彼は止まりませんでした。 そこで止まったら、今死んだ人と話しているという事実を認めてしまうような気がしたからです。 『んなわけないだろ。お前死んでないならならどこいるんだよ?』 変化は劇的でした。 数十、数百、数千もの人が天地君に対して返事をしたり、DMを送ったりしたのです。 しかも、そのどれもが恨みが増しい呪詛のような言葉だったのです。 通知の音がする度に部屋の温度が下がっていくような気がしました。 どうすればいいのかもわからないのに、着々と状況が悪くなっていることだけが直感的に分かるのです。 天地君はとっさにスマホの電源を切りました。 それで、彼を苛んでいた音は止まりました。 ツイッターの通知音がなくなった室内はシンとしていて、ばくばくと音を立てる心臓の音が聞こえてくるような気がしました。 彼はもうスマホから何も音がしないのを確認すると、大きくため息をついてベッドに倒れこみました。 突然のことに気疲れしてしまってもう眠りたかったのです。 彼はベッドに倒れこむとそのまま眠りにつきました。 妙な音と明るい光を感じて天地君は目を覚ましました。 いつの間にか、スマホは起動していたようです。 それは、地の底から響くような低い声でした。 それは、超音波のような高い声でした。 幼い声でした。年老いた声でした。女性の声でした。男性の声でした。美しい声でした、しゃがれた声でした。大きな声でした。小さな声でした。 幾人もの人の声が口々に、彼を誘う声がスマホから流れ続けるのです。 叩き起こされてイライラしていた彼は真っ先にスマホを電源をまた落とそうとしますが操作を受け付けません。 焦りとイラつきから、スマホを地面にたたきつけますがそれでも消えることはありません。 深くため息をついて、スマホを取りに行こうとしたところで異変に気が付きました。 足が動かないのです。 見下ろしてみると、足首を骸骨の手が握っているではありませんか。 天地君は悲鳴を上げて、思いきり暴れましたが手は決して離れることはありません。 むしろ、時間がたつにつれて他の場所までつかまれるような感覚が広がってくるのです。 体中に何かに拘束されている感覚が広がると、今度はそれらはゆっくりと彼の体を誘導し始めました。 もちろん彼は抵抗しました。 しかし、泣こうが喚こうが全く効果が見られませんでした。 そして、ついに彼は窓のそばにたどり着きました。 そこまで高くないはずの3階のアパートから見える景色が、その時の彼にはひどく高く感じられました。 そのままなすすべもなく彼は窓の外へと引きずり込まれたのです。 『こっちへおいで』 意識を失う直前、彼は耳元でそんなことをささやかれたような気がしました。 気が付くと彼は病院に居ました。 彼はアパートの3階の自室の窓から身を投げ出したとのことです。 幸い命に別状はありませんが、彼はあの夜のことが忘れられませんでした。 すぐさまアパートを引き払うと別の部屋へと引っ越したそうです。 これは後で聞いた話ですが、この一件で天地君はスマホをなくしてしまったそうです。 一体どこに落ちているのやら、それとも…… 皆さんはもしも妙な声が聞こえても、耳を貸さないようにお気を付けください。
> 日記:怪談:幽世電波 フォロー外から失礼します。夜に読んだせいもあるかもしれませんが、天地さんのご友人が亡くなられているというあたりでゾッとしました。怖く面白いお話でした。
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