Keiさんの日記 「これまでに読んだり訳したり遊んだりしたジェンダーテーマの TRPG まとめ」

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Kei
Kei日記
2024/06/26 23:34[web全体で公開]
😶 これまでに読んだり訳したり遊んだりしたジェンダーテーマの TRPG まとめ
ご機嫌よう。

わたくしは注意を要するテーマの TRPG が割と好きですし(注:ご一緒するプレイヤーによります)、そういったゲームの中にはジェンダーをテーマにしたものもございます。そこで、残念ながらオンセンでは需要がないでしょうが、まあわたくし語りとして、そういったゲームについて書いてみるのですわ。

■ Alice is Missing
3日前から行方不明になっている女子高生アリスの友人となって、彼女の身に何があったのかを解き明かしていく、みたいなゲーム。キャラクターは選択制で、その中にクィアなキャラクターが含まれます。ゲームの前半は参加者全員で行う舞台設定、後半は90分の完全チャット(声出しNG)で、3時間強で濃密な体験ができますし、それまで知らなかったアリスの姿が浮かび上がってくるのも刺激的。

■ Girl Underground
女の子らしさ、みたいな「守るべきルール」でがんじがらめになっている女の子が不思議の国のアリスもしくはオズの魔法使いのような不思議の世界に迷い込み、そこで出会った不思議な生き物と一緒に冒険して「守るべきルール」を体現するような出来事に出会い、それに NO と宣言してちょびっと成長して現実世界に帰る、みたいなゲーム。残念ながら公式サイトは消滅してしまい、予告されていたサプリメントも出ませんでしたが、好きなゲームですわ。

■ Thirsty Sword Lesbians
凍てつくような寒さの中で専制君主と戦うレズビアン、剣を交えても平和を求め。相手と深く心を通わせる人たち。決闘がハグとキスで終わることもあれば、他人の恋を応援して力を得ることもあるし、星々を飛び回ることもある。みたいなゲーム。誠実さと思いやりで世界をより良い方向に変え、敵を救ったり誘惑したり、いちゃついたり踊ったり戯れたりします。2021年のネビュラ賞ゲームライティング部門受賞。

■ Sleepaway
後述の Dream Askew をベースに、舞台をサマーキャンプに、テーマをホラーにしたゲーム。Dream Askew 同様に多様な性のあり方がキャラクターや物語を描く一部となっています。

■ Saphic Slumber Party
仲良し女子がお泊まりパジャマパーティで枕たたきをしつつ、もっと仲良くなったり相手にドキッとしたりするゲーム。恐ろしいことに「百合パジャマパーティ」の名前で日本語版があります。ドキッとするとドキドキが溜まって最後にキッスしたりします。

■ Dungeon Bitches
ファンタジー世界を舞台にシスでヘテロな社会に居場所のないレズビアンとなってダンジョンで生きていく、みたいなゲーム。ダンジョンといってもダンジョンハックものではなく、そういう場所にしか居場所のない人たちの愛とか絆とか喪失とかがテーマです。

■ Dream Askew
文明崩壊後の世界のまだ文明の残滓を残しているシスでヘテロな社会の片隅で、そういう社会に居場所のないクィアな人々となって、多様な性のあり方の中で互いに傷つき傷つけ合いながら生きていく、みたいなゲーム。性のあり方は本当に多様になって、キーワードから想像して描きます。以前遊んだ時には紹介が悪かったせいでマッドマックスになってしまいましたが、そういう風にも遊べます。

■ Night Witches
第二次世界大戦のソ連に実在した女性だけの空軍舞台をテーマに、夜は型落ちの戦闘機で前線に爆弾を落とし、昼は基地内での差別に立ち向かう、みたいなゲーム。

■ Virgins & Vixens
お伽話に描かれた悪役の女性となって、現代の価値観で彼女たちの物語を描き直すゲーム。キャラクターは選択制で、最初は昔ながらの厳しい女性像に縛られていますが、ゲームを通じてそういった制約を打ち破っていきます。

■ Blackout
第二次世界大戦、空襲下のロンドンで街を守るために働く女性をテーマにしたゲーム。

■ Bluebeard’s Bride
わたくしのエントリをご覧の方にはもはや紹介の必要もないでしょうが、童話「青髭」を下敷きに、青髭に嫁いだ新しい花嫁の人格の一部となって、かつての花嫁が何に苦しみ、また新しい花嫁(つまり PC)が何にどう苦しみ追い詰められるのかといったことを通じて、それでも青髭を信頼するのかどうか、その理由は何かを描くゲーム。海外 TRPG としては珍しく物理版も所有しておりますが、装丁がとても綺麗なのも特徴かしら。

■ Moonlight on Roseville Beach
クィアでディスコでコズミックホラー! 1979年のアメリカ、メキシコ湾岸または大西洋岸に浮かぶ架空のゲイの楽園ローズ島を舞台にしたゲーム。舞台設定が何より楽しいですし、装丁も素敵(わたくしが所有しているのは PDF ですけれど)。シス規範でヘテロ規範な行動には設定の側から制限が入りますが、そちら側からプレイできる余地もあります。

■ Lichcraft
国民保険制度が崩壊したイギリスを舞台に、数百年先のトランス医療の予約のために不死の秘密を学んだリッチとなって、恨み言を言ったり黒魔術を行ったりするゲーム。

■ Little Katy’s Tea Party
ケイティという子のイマジナリーフレンドになって、以前起こった出来事を描写し、あの時やったことはほんとうにケイティのためになったんだろうかとお茶会で振り返るゲーム。最後にケイティがどうしてこのお茶会に来なくなったのかを決めます。ジェンダーを意識せずに遊ぶこともできますが、付属シナリオ(なんと19本入っています)の多くはジェンダーを意識した内容です。

■ Wise Women
産業革命前の東欧の寒村を舞台に魔女となるゲーム。人々に魔女とバレないようにその技を使い人々を助けながら、でも魔女だと知れると村に残ることはできません(村から追放されてもそれでゲームが終わることはありません)。魔女の技の中には避妊や中絶といったものもありますが、歴史的にもそれを必要とするのはほとんど常に女性でした。

以下は表立ってジェンダーテーマというわけではないタイトルですが、それらしさを感じるものを挙げておきます。まあね、言い出したらネクロニカだってそれっぽくなってしまいますし。

■ Witch: the Road to Lindisfarne
黒死病が蔓延する1350年のイギリスを舞台に、私が呪いで病を広めましたと告白した魔女を聖地に連れて行って魔女裁判にかけるゲーム。キャラクターは選択制で、魔女も PL に割り当てられ、魔女以外は全員男性です。ゲームのテーマとしてはジェンダーはフィーチャーされていませんが、魔女のハンドアウトにはこの場で唯一の女性であることを利用するみたいなことが書かれています。

■ モンセギュール1244
モンセギュール城塞に立てこもった最後のカタリ派信徒となってアルビジョワ十字軍との戦いの中での日常を演じつつ、最後には負けて火刑に処されるか信仰を捨てるかの選択を迫られるゲーム。キャラクターは選択制です。歴史的にはほとんどのカタリ派信徒は火刑に処されることを選び、ゲームのテーマもなぜそれを選ぶのかという部分が大きいですが、キャラクターの半分は女性でしかもとてもジェンダーを感じさせる内容です。

さて、探すと(わたくしのディスクの中でさえ)もっとたくさんあるとは存じますが(Monsterheart 2 とか Visigoth and Mall Goths とか もございますわね)、今回はこの辺りにしましょうか。
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