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😶 テキトー解説、中世ヨーロッパ(長いので閉じます) (▼ ネタバレを含むコメントを読む。 ▼)さて、最近ではネットの発達に伴い、所謂「中世ヨーロッパ」というくくりが非常に大雑把である事、また実際の中世は都市の衛生状態が非常に悪かったりする事が認知されてきました。 しかしその結果として、中世ヨーロッパ風ファンタジーTRPGをやってると 「まったく、アナタ何も分かっていませんのね。この程度の文明度で、ここまで町がキレイなわけがないじゃありませんの」 と仰るリアリティお嬢様があちこちに出現。雰囲気でファンタジーを楽しむフィクションお嬢様をボコボコにするという残念な事態があちこちで生じているわけですが。 リアリティお嬢様、これはフィクションですわ……。ビクビク。 まあ、私もどっちかといえばそんなリアリティお嬢様寄りの存在なので人のことは言えませんけれども、楽しく遊んでいるところに水を差すことはしたくありませんねえ。 そんなわけで、本日は、高校は理系で世界史やってないワタクシが、皆様に中世ヨーロッパについてTRPGの参考になるかもな知識をお教えして差し上げますわよ!(リアリティお嬢様) おかしみ重視のふわっと解説ですが、お暇ならご一読下さいませ。 まず中世ヨーロッパにおいては、あらゆる物事に「序列」がついてまわりました。これは人間の社会的地位だけではなく、食べ物であるとか、この世を構成する「元素」に対してもそうでした。 基本的に、天に近いほど良く、地に近いほど低位とされていたそうですわ。 たとえば世界を構成するとされた4元素では、火が最も高位、次に風、次に水、そして一番劣等な属性が「土」でした。 食べ物も同様で、肉なら、動物ごとに属性で分けられ、たとえば風属性の鷹のほうが水属性の水鳥より上等で、地を這う豚なんかが一番下等であるとか考えられていたみたいです。 カントーのジムリーダーで言うならサカキが一番下等で、カツラが一番上等ってことですわね。でもナツメ様は存在が天属性なので一番高等なのはナツメ様で確定ですわ! 話がそれました。 で、野菜なら、同じ理論で大地から遠くに生える果実が一番よく、根菜やタマネギなど地下からとれる野菜は蔑まれましたの。さて、ここまで言えば、カンの鋭いガキお嬢様はもうお気づきでしょう。そう、「身分の高い人が食べるものは、属性的にも高等なものばかり」になっているのですわ。 当時の農民が食べたものと言えば、タマネギ浮いたスープとか、カブとか、豚とか、雑穀のお排泄物硬ぇパンです。 見事に下等な土属性で固まってます。一方で高級な身分の人間、まあ富裕な都市民や貴族、聖職者は果物や肉、小麦のパンを食べる事が推奨されていました。土属性の中でも比較的マシなもの、あるいは火、風、水属性のものですわね。 当時の聖職者などは、庶民以下の階級がたくさん食べたえんどう豆を「卑しいもの」「食べるとアホになる」と蔑んだそうです。このように、身分の序列は「食生活」にまで影響したのですわ。 これはその世界ごとの信仰によるでしょうが、「身分によって食べ物が違う」のは、何もお金だけが原因ではないという事ですね。 序列違いのモノを食べることは、よろしくないとされたのです。 TRPG的には、「食べ物の属性」とかちょっと面白い気がしますね。「私は土魔法使うからカブが好きなのさ」的な一言をはさむと、ロールプレイに上品な奥ゆかしさが出ると思いますわ! 冒険者が都市に行って振舞われたごちそう!おいしかったけど、後から考えると根菜や豚肉、エンドウなど「下等」な食材だけで作られていて、都市が冒険者を低く見ていて、裏切ることを暗喩しているとか。 ……まあもっとも、これは当時の欧州の思想に基づくものなので、異世界ファンタジーで通じるかはわかりませんけれど、都市か村の特殊な風習ってことで描写すりゃいけそうですわね。 ああそう、ここでせっかくなので言っておきますと、中世にはキリスト教やローマ帝国由来のもの=地球の欧州じゃなきゃ成立しない物と、「まあそうなればそうなりますわね」っていう、当時の文明度的に『そうなる』ものがあって、前者は異世界に直接持ってけませんので、描写するときは考えておくといいかもしれませんね。なんでもかんでもパクりゃいいってもんじゃありませんわよ! ま、私は特に深いこと考えずパクりますが(フィーリングお嬢様) 面白けりゃいいんですわよこんなん。 さて次に、ファンタジーで冒険者やってるとよく目にする「農村」についてお話しますわ。 まず、当時の世界において都市と農村はまったくの別世界でした。生活習慣は勿論、服装や食べ物まで違うのです。 ちなみに、農民というのは自作農のことですわ。中世ヨーロッパにおいては、領主に支配され土地に紐づけられ、自由に移動すらできない人々は農奴と呼ばれます。彼らは法的に一切保護されず、何かやれば法ではなく主人が勝手に罰します。出家はできず結婚や相続にも主人の許可が必要、と、まさに奴隷ですわね。 とはいえ、彼等は奴隷とはいえ、案外大切にされていたようです。なにせ、彼等は大切な労働力なので。大きな屋敷を持つことを許可したり、土地も、農奴のものではないけれど、そこを耕す権利は世襲で引き継がれたりと、なんやかんや優遇され、小規模自作農より、でけぇ土地を任されてる農奴のほうがよほど裕福……ってこともあったようです。 さて、次に農民ですが、彼らは土地を持ち、農村を運営する主体的存在、農村の主役です。そんな彼等はいろいろな出自を持ちますわ。 農奴が領主から土地を売ってもらって自由民になったパターン。ローマ帝国のころから続く伝統的な地主だったパターン、あるいは土地持ち貴族が没落して自分の領地耕してるパターンもあったみたいです。 彼等は村単位で自治をしており、堤防作ったり道を維持したりという公共事業や農村内の裁判なんかも行いましたわ。こうした自治について、領主は「細かく管理するの面倒だしまあオッケー!」と雑な放任をし、両者はそこそこ仲良くやっていましたが、時代が下るにつれて領主が力を失い、重税を課したり、略奪が横行してくると対立するようになったそうですわ。 また、自作農の由来に種類があるように、農村にも由来や、それによる「形」の種類があります。主な4つを上げると ごちゃごちゃと一か所に集中して建物や村の施設がかたまっていて、その周りに農場のある「塊村」 広場を中心に、これを囲むように家屋が、その周りに農場のある「広場村」 街道沿いにたくさんの家が並び、その周りに農場のある「街道村」 お城を中心に家と農場があり、周りを壁で囲まれた「インカステラメント(農村型城郭集落)」、ですわね。 このようにいくらか類型のある農村ですが、施設としては、雑貨屋や賭場、公民館も兼ね、地元の大農が運営する「酒場」、あと水車小屋とかパン窯、教会に、村長の家、また農民のおうちがある、というのがスタンダードでした。大農の家には高床倉庫や家畜小屋、でけぇ家庭菜園もあったそうですわ。 なお、中世ですから、これらの施設も今の私たちの想像とはちょっと違うものであったりします。 たとえば、当時の水車小屋はある種の異界として恐怖されていたようで、民話に出る粉ひきの妻は「美しい魔女」として描かれる事もあるそうですわよ。 なぜかといえば、機械仕掛けの水車小屋がなんか怖かったというのが一つ、もう一つは、みんな水車小屋が大嫌いだったから。 というのも、水車小屋は穀物を粉にするために使われていたのですが、なんと、使うのを強制されましたの。 なんでって? 領主が使用料を取るためです。 だって水車なんて作れるの、金持ちの領主くらいですからね。 これをバナリテと言い、領主の特権の一つとされましたわ。使うの強制させておいて使ったら金を出せとはなかなかパワーみのある政策ですが……。ともあれパンを食べていた当時の人は、粉をひかねばならず、だから嫌々でも水車小屋を利用しました。 ちな、そういう事情だったので、水車小屋で粉をひくのは領主側の人間です。特権として賦役免除とか商売の権利貰ってたりとか、挙句の果てに限定的な裁判権まで貰っていたそうです。 そんなわけで粉ひきは案の定増長、ひいた粉の分量をごまかしたりもしたようで、向こうのことわざには「正直な粉ひきは金の指を持っている」≒そんなやついねぇ、と言われたり、「コウノトリは水車小屋で産卵しない。粉ひきが卵を盗むと知っている」とか、もうさんざんな言われようをしました。おハーブ。 そうなると、まあそうなるなという感じでブチのギィレェした農民に水車小屋は襲撃を受けるんですが、その対策のためなのか水車小屋はどんどん頑丈になり、ついには絞首台なんかもセットで設けられ、最終的にはなんかもうわけのわからん施設になり果てています。 これは異界(確信) また、こうした強制使用&使用料徴収シリーズは欧州では常套手段ですが、「パン窯」もまたその流れでした。 実のところ、パンは作るのはそんなに大変じゃありません。職人の中でも、パン職人は修業期間が短かったそうです。なので、それぞれのご家庭で昔は焼いていたのですが、時代が下ってくると、パン窯も大型化、ご家庭でそんなもん用意できなくなります。 なんと当時の大型の窯にはサウナまでついてたとか。オシャレですわね(思考停止) いやなんで?(我に返る) ともあれ、じゃあそんなでけぇ窯、だれが作るのでしょう? そう、領主です。 で、作ったからには元を取らなければならないので、昔ながらのサウナとかついてない窯で各ご家庭がパンを焼くのは禁止されました。 もちろん、公共のサウナ窯を使うのは有料で、また農村では、パンを焼けるのは領主から派遣された職人に限定されました。 さっきも見た黄金パターン、中世領主の搾取の方程式ってやつですわね。 で、農民は職人に窯の使用料と、パンの材料、あと燃料の薪を渡してパンを焼いてもらいました。職人の報酬は、焼いてもらったパンのうち所定の数のパンを渡していたようです。 なお当然のようにピンハネがあったので、農民たちは「お前、自分の報酬用のパンだけ大きく焼いてないだろうな」とパン職人を監視していたようですわ。せちがれぇですわね……! あと、このパン職人、都市でギルドに入っているギルドパン職人とは『別物』ですわ。ギルドパン職人は、農村のパン職人を下等な連中と見下していたようです。 まあ、都市にとってパン職人というのはインフラでもありましたから殊更重要視されましたし、ギルドの格も、どの都市でも「パン職人ギルド」は最上級でしたから、そりゃ農村のやぼったいパン職人とは一線を画した存在だという自負も出るでしょう。ギルドのパン職人はパンを売る技術職、農村パン職人はあくまで、メインは貸し出される窯で、そのおまけにすぎない、というわけですわ。 このような都市と農村では同業でも性格が違うんだというケースはほかにもあり、たとえば鍛冶屋もそうです。 農村の鍛冶屋は、端的に言ってモンハンの鍛冶屋です。彼等は領主の専属で、その村に対する農具などの専売権を付与されています。で、そんな鍛冶屋さんは専売できる殿様商売なので、農民に偉そうに振舞えます。「農具が欲しい? なら金と、素材もってこい」というのです。モンハンですわね!! ちなみに彼らは、農具だけでなく何でも作りました。薬缶、はさみ、コップ……。水車小屋や荷車の修理もしました。 一方、都市の鍛冶屋は現代っぽい鍛冶屋で、素材とかもっていかなくてもモノを売ってくれました。ただし彼らは農村の鍛冶屋ほど何でも屋ではなく、利権の関係で作っていいものが厳しく制限されました。金細工職人はブリキ製品を作ってはいけないし、その逆もしかり……です。その中で位階もあったようですわ。ちなみに彼らは、都市の周縁部に住んでいました。 防災/騒音の問題と、鍛冶で水車を使うからですね。 ……さて。 皆さま、残念ながら文字数制限です。すごい唐突ですし、紹介できなかった部分も多いですが、今日はこの辺で。皆様も、節度を守って楽しいリアリティお嬢様ライフを楽しみましょう。 それでは!
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