エミリオ(ハウスルール投函者)さんの日記 「今日の日記・今日はゲーム制作ではなく読書」

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エミリオ(ハウスルール投函者)
エミリオ(ハウスルール投函者)日記
2023/09/06 23:37[web全体で公開]
😲 今日の日記・今日はゲーム制作ではなく読書
と言っても、昨日も読書だったが

ホフマン先生の黄金の壺・マドモアゼル・ド・スキュデリ(光文社古典新約文庫)である

マドモアゼルは未読だが、黄金の壺は数年前岩波文庫で一度前編を読んだ。改めて今回古典新約文庫を読んでいるのだが…

まず一番分かったのはとにかく読みやすい!岩波文庫版は旧文書かもしくは難読漢字にルビが降られてなかったり、中訳なども書籍の最後に集中しているため、作品内の当時を思わせる要素が参照するのが大変だったが、光文社古典新約文庫の場合、中訳があると必ず対応したページの左端に、この要素は何たるかが解説されているため、いちいち巻末の用語集まで飛ばなくていいので、物語に集中できる

そして、肝心の文体の方も、現代的にアレンジされており、変に旧式文書を気取ってないのでスラスラ物語が頭に入ってくる

内容の方は、何をやっても失敗だらけのアンゼルムスという学生が、接骨木の木の梢で金緑色の蛇の精霊(お嬢)のゼルペンティーナと出会って、一目ぼれして…という流れなのだが

とにかく、このアンゼルムスという男、事ある事にゼルペンティーナの事ばかり考え、周りの学長やらなんやら(学長の娘のヴェローニカってドイツ人のお嬢)まで振り回して心配させるのだが、すったもんだ。現実に非現実の要素(火トカゲ・魔女・文書管理官リントホルストの怪しい魔術など)が乗り込んできて、不可思議極まりない日々をすごしたのち、最後はアンゼルムスがゼルペンティーナと結ばれて(作者は絵画の中の住民になった。としているが)めでたしめでたし。という所で、この物語はこれで終わり。としめている

あれ?メインヒロイン2人目のヴェローニカはどうなったかって?最後の最後でアンゼルムスを捨てて別の男の元に走った。だそうだ。しかし、結果的にアンゼルムスもゼルペンティーナと結ばれて、ヴェローニカも別の男と結ばれて、悲劇で終わらず、双方とも幸せになれてよかったね。とホフマン先生はまとめている

時代が時代なら、これがとある人々だとややこしい事になるだろうが、結果的にこの物語はハッピーエンドで終わっている。そこにはよくある作品の様に鬱要素が、とかどろどろの恋愛劇とかそういったグエッになる要素は一つもない

はっきり言って私はこういう作品の方が好きである。そりゃ、私もTRPGのセッションでは利権絡みのヤクザじみた連中が派手に大暴れするシナリオとか、ネタに全振りしたシナリオ(東方魔改造が諸般の事情でいったん休止状態だが、代わりに参加者の人がリクエストしたSWのシナリオとかがそれである)

は好きであるが、こういった確かに後ろ暗い事はあっただろうけど最後はみんな大円談でよかったね。という作品の方が、読んでいて気が楽になるのである

この作品、一応はドイツロマン派のホフマン先生が作ったメルヘンだが、昔読んだアンデルセンのおやゆび姫の巻末後書きに、黄金の壺などがあるが、ドイツロマン派の人々の常で大人向けの大層ひねくれた作品である。と酷評されていたが、他の童話なども読んだ私からすればそうか?グリムの童話もアンデルセンの童話もメルヘンを引っぺがすとゾッとするホラー作品だろう?ペローの青髭なんぞまさにそれではないか、という感想を当時持ったものである

童話が教訓などを与える必要上、ある程度残酷な表現が入るのは仕方ないが、少なくとも黄金の壺では誰かがぶっ倒れたり、大クラウスと小クラウスの様に悪人が善人をだまして悪事をさんざんやらせておいて利用価値が無くなったら事故に見せかけて始末したり…という容赦のない描写は無かったぞ(お前さんが童話をあまり知らんからだろう。という声も出るだろうが)

一先ず、悲惨な人物が出ないとか、後ろ暗い展開がない。という事で、童話と言ったらこの作品。と私は推させていただく

追記:その作中のヴェローニカの裏切りについては、ホフマン先生が嫁から受けた仕打ちが元となってるらしい。事実はやはり小説より奇、である

さらに追記:そのホフマン先生、くるみ割り人形の作者でもある用だ。まさかこの作品の作者だとも思ってなかった

ついでに言うと、当時のイギリスの国威自慢、とかボロクソに言われているが、ガリバー旅行記とかも案外悲惨な展開は無かったと思う

今日の書評はこれにて
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