第1.5話 7

小慶美(シャオ・チンメイ)
小慶美(シャオ・チンメイ)スレッド幕間[web全体で公開] 押されたいいね! 1
登録日:2020/09/09 18:42最終更新日:2020/09/09 18:42

第1話後の時系列です
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アイン
12. アイン
2020/09/20 18:03
ダニエル「……」無言で返事をして、目を閉じる。

瞼の裏で、過去の光景が浮かんでくる。
あの夜も、皮肉なまでに美しい夜空が拡がっていて…
1番明るかったのが、燃え盛る私たちの屋敷。
呆然と立ち尽くす私の周りで、罵詈雑言を吐くグレイの従者達……

ダニエル「……」強く硬く、空を握り締める。

私の言葉は、誰も受け入れてはくれなかった。
真実も、私たちに対する謝罪も、何もかも…
拘束され、私の腕に、肩に…背中に……
私は……

ダニエル(………)目を開ける。
風呂で少し火照った自分の体が冷えた事により、流石に眠気を感じ始める。
…皆に心配をかけないようにすぐに戻って、今日はもう寝よう。
そう思ったダニエルは、目の前に広がる闇夜に目を背け、皆がいる屋敷へと戻って行った。
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しょうゆ
11. しょうゆ
2020/09/20 02:12
シャーベットは、ダニエルが口を閉ざしてから数秒ほど経って、ひとつ頷いた。

シャーベット「ん、わかったよ。じゃあ、先に行くね」

シャーベット「ああでも……早めに戻っておいでよ」

シャーベット「……みんな、待ってるからさ」

シャーベットは、それだけ言うと、屋敷へと戻っていった。

使い魔「……」

庭へと残された使い魔は、じい、と。
ダニエルの顔を数秒見つめたのち、空へと消えていった。


■

シャーベット「……ただいまー」

シャーベット「(……ダメだったか。まあ、本人が嫌がってるのに無理やりというのもね)」

シャーベット「(私だけの問題、か。確かに、他の人にどういわれても
        自分で負い目を持ってるんじゃどうしようもない……)」

シャーベット「(僕じゃ、もう限界なのかもね。 
        ウォラギネやヴァナヘイムちゃんは、この事、どう思ってるんだろう)」

*ちらりと二人の方に目をやる。

シャーベット「(……いや、よそう。人の秘密を、知ってる者同士とはいえぺらぺら話すのは良くないよね)」

シャーベット「(なにより、ほかならぬあの二人が、何も考えていないわけないし……)」

シャーベット「(僕にできるのは、やっぱり……傍で待っているだけ、か)」
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アイン
10. アイン
2020/09/19 11:38
シャーベット「じゃあ、湯冷めしてもいけないし、そろそろ戻ろうか」

ダニエル「そうですね…あ、使い魔の鳥についてはどうします?正直に言うか、誤魔化すか……」

ダニエル(…シャーベットさんが、私の事をどう考えているのかは、私には分かりません…その誤解が、偽りのものか、真実なのかさえ……)
ダニエル(…でも…シャーベットさんの事を見守ってみましょう。本当に誤解であったなら、またちゃんと説明すればいい…もし……本当の事だったならば……私は……)

シャーベット「ダニエル君……これは独り言なのだけれど」

ダニエル「…?」足を止める

シャーベット「君は、それを隠す必要なんてないと思うよ。 
       少なくとも、僕の前では。そしてきっと、みんなの前でだって」

ダニエル「……!」目を見開き、俯く
ダニエル(…やはり、シャーベットさんが何を考えているのかはわからない…でも…その言葉が、私の『本当の秘密』に対する本心、だとしたら……)

ダニエルは、再び顔を上げ、声をかけようとした。

その目を、その口を、黒いモヤのかかった腕が、後ろから手で塞いでいった。
その腕は幾本も後ろから現れ、頭、首、胴、両腕、両足と掴んでいく。

ダニエルは、後ろからの、彼方からの声…彼にとって、『怨言』に等しい声が聞こえてきた。

『甘えるな…お前にはまだ、背負うべき責任があるはずだ…』
『あなたが私の子なら…こんな事では逃げ出さないはずよ…』
『私たちを…置いて行かないでください…私たちの無念を、忘れないで下さい、ダニエル様……』

その声を、腕を、シャーベット達は見聞きする事はできない。
ダニエルだけが、その感触を、その言葉を受け取る事ができた。
…結果、それらはダニエルの心を、吐き出そうとした真実を、すべてを閉ざした。

ダニエル「………」すべてに開放された時、彼の本心は決まっていた。…とっくの昔から。
ダニエル「…お気遣い、感謝致します……ですが。」ダニエルも、シャーベットさんに向かって背を向ける
ダニエル「…どう言われようと…これは、私だけの問題……皆さんに頼る訳にも…皆さんの方へと逃げる訳にも、いかないんですよ……」

ダニエル「……冷えない程度に、少し外の空気を吸ってますので…先に戻ってください。…使い魔の事は…私は何も責めません。」
そう言って彼は、再び口を閉ざしてしまった…
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しょうゆ
9. しょうゆ
2020/09/19 03:11
シャーベット「くすっ、覗かれて頭下げるなんて、変な人だね、君」

シャーベット「じゃあ、湯冷めしてもいけないし、そろそろ戻ろうか」

そう言って、屋敷に向けて歩き出したシャーベット。
だが、頭の中にはダニエルと、彼の抱える秘密……すなわちウォラギネとの関係の事があった。

シャーベット「(……このまま屋敷に戻れば、ダニエル君は、あの事を隠したままにするんだろうな)」

シャーベット「(それって……不幸な事じゃないかな。ずっと後ろめたい思いで居続けるなんて。……ここに居る誰も、きっとダニエル君を嫌ったりなんてしないだろうに)」

シャーベット「(……でも、言えないよね)」

シャーベット「(昨日今日会ったばかりの僕が……それを隠す必要はないよ、なんて)」

シャーベット「(いつかは……話してくれるのかな)」

そこまで考えて、シャーベットは足を止めた。

シャーベット「(……いや。会ってからの時間なんて、関係ないか。
        ヴァナヘイムさんだって、ウォラギネだって、ダニエル君と過ごした時間は僕と変わらないんだから)」

シャーベットは、ダニエルの方を見ないまま言った。

シャーベット「ダニエル君……これは独り言なのだけれど」

シャーベット「君は、それを隠す必要なんてないと思うよ。 
       少なくとも、僕の前では。そしてきっと、みんなの前でだって」
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アイン
8. アイン
2020/09/17 23:47
ダニエル「……」

ダニエル(…私はそれでも、その内容を聞こうと話した…それでもシャーベットさんは、自分の誤解だと言って、話そうとしなかった…)
ダニエル(それは、どうしてでしょうか…私の事が目障りなら、すぐに刺青のことを問い詰め、パーティから除外させようとするはず……それは、私も覚悟しており、構わないことなのですが……)
ダニエル(…シャーベットさんは、私の思う「誤解」を最初は「真実」だと思っていたとすると…それに対して私は「誤解」だと言って……それをシャーベットさんはすんなりと受け入れた……)
ダニエル(…おかしいですね…そんなにすぐに拒みもせずに理解しようとするのは…まるで…「自分にそう言い聞かせている」かのような……)
ダニエル(…やっぱり、シャーベットさんは何かを隠しているような、そんな気がします…私に言わないようにしている、何かを……)

口を開こうとするダニエルに、ある声が脳裏を過ぎる

(ヴァナヘイム「あれ、かな? 年頃の、乙女が、考え込み過ぎちゃう、っていうの、よくあるって、聞いたよ?」
ヴァナヘイム「だから、やさしく、見守って、あげたら、いいんじゃない、かな?」優しい微笑)

ダニエル「……」ふぅ、と溜息をつく
ダニエル「…そう、ですか。それもそうですね。」
ダニエル「…こちらこそ、なんだか問い詰めるような言い方をしてしまって、ごめんなさい…」ペコリ、と頭を下げます
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しょうゆ
7. しょうゆ
2020/09/17 03:23
シャーベット「(「しゃべった覚えはない」、「誤解」、ね。
        そういう事にしてほしい、ということか)」

シャーベット「(……やっぱり、人に知られたくはないんだね。
        それがたとえ、僕たちパーティーメンバーであっても)」

シャーベット「……うん、そうだね。
       言われてみれば、誤解があった、僕の勘違いだったみたいだ」

シャーベット「なにしろ、ほら、僕は寝てたろう? 
       夢見心地で、ありもしないものを……ってやつさ。
       まったく……恥ずかしい姿を見せちゃったね」

*シャーベットは優しい笑みを浮かべた。
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アイン
6. アイン
2020/09/16 13:22
ダニエル「……!…ん?」
深刻そうな表情になろうとした直前、首を傾げる

ダニエル(…『聞いた』?『見た』のではなく?てっきり、私の刺青の事を見て、言及するかもと思ったのですが…)

ダニエル「…あの…風呂場で私が、誰かに秘密にするようなことを話した覚えがないのですが…」
ダニエル「ご、誤解を解くために、具体的に何を聞いたのか、教えて頂けないでしょうか?幸い、ここには私たち二人しかいませんし。」
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しょうゆ
5. しょうゆ
2020/09/16 02:19
シャーベット「ん? ダニエル君……ああ、なんだ、知ってたのか
       何って、そりゃあ外の監視をしてたのさ――」

シャーベットはひどい苦痛に顔を顰めながら、事前に用意してあった「理由」を語った。

シャーベット「(それにしても、なんだかずいぶん怒ってるみたいだ。
        そんなに見られたくないものでも――)」

シャーベット「(見られ、たく……あれ……そういえば、僕、何……見てたんだっけ)」

ふと思い返した。ダニエルには「外の監視のため」と言いはしたが
その実、やっぱり自分はPTメンバーの恋愛模様の覗きのために使い魔を放ったし、
だから、何か別のものを見ていたはずだ。……自分はいったい、何を見た?

シャーベット「…………あ゛」

シャーベット「(お……思い出したあああああ! そうだそうだよそうだった!
        だだ、ダニエル君とウォラギネが!『そういう関係』だったんだ!!!
        も、もしかして、いや、もしかしなくてもやっぱり隠してたんだ!そりゃあそうだよそりゃだめだよ! 貴族の彼がただでさえ同性でしかも蛮族相手とかそりゃあばれちゃまずいよねぇ!!し、しかもダニエル君はヴァナヘイムちゃんとも「そう」なわけで、それでヴァナヘイムちゃんはウォラギネのことが~って、ああああ違う違う今はそれは重要じゃなくって、ダニエル君の様子からして私が見てたのはもうほとんどばれてて、そうなると私が二人が関係結んだのを見てると思われててだからそれでやってきてつまり口止めってこと?それとも見てたかどうかの確認?わかんない、わかんないけど……!)」

シャーベット「(でも……私が知ったんじゃないかって……否定されるんじゃ、拒絶されるんじゃないかって不安になってる仲間に……知らんぷりは、したくない)」

シャーベット「……まあ。あの、え~~っと。それでも、ほら、一応庭に使い魔がいたからさ。
       …………君の、その、隠し事。聞いちゃった。……ごめんなさい」

*シャーベットは深く頭を下げた。
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アイン
4. アイン
2020/09/15 17:38
ダニエル「…こんばんは、シャーベットさん。」
シャーベットさんの後ろから話しかける。窓からの逆光によって全身に影ができている。

ダニエル「ところで…この使い魔、シャーベットさんの、ですよね?」抱えている使い魔を見せて
ダニエル「風呂場の近くにこの子がいたようですが…一体、風呂場での何を覗こうとしたんですか?」
いつもの優しい表情と口調のはずなのに、刃を首に当てられているような冷たさを感じる(クチート(鋼タイプ)だけに)
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しょうゆ
3. しょうゆ
2020/09/15 04:10
シャーベット「うぐぐぐ……つ、辛い……苦しいっ……!」

シャーベット「は、入っちゃいけないところに食べ物が入ってる感覚がある……!
       肺とか腕とか足に食べ物が広がってる……!?」

シャーベット「で、でも頑張って食べなきゃ……」(ぐるぐる)

*シャーベットは混乱している。

シャーベット「って、うん……? 外に運ばれてる? 逃がしてくれるのかな……」
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