😶 Not for me
海の向こうにはこんな言葉がある。
「It’s not for me」意訳すると「残念ですが私には向きません」だ。
人には向き不向きがあるのは当然であるから、「いい作品なのかもしれないけど、ちょっと私には向かないみたいだよ」みたいな意味合いで使われることが多いようだ。
で、なんでこんな言葉を出すかというと、「好きと嫌いにも尊重はあるよ」ということを言いたいのである。
私にも好きな作品はあって、その作品をけなされると悲しいことはある。だが「not for me(向きでない)」という言葉を知ってからは多少それがなくなった。
「ああ、あなた向きでなかったんだね」という感じだ。なんだったらその人が言っている好きな作品の悪いところを聞いて自分もそれを知っているなら、眉をひそめてそっと頷くときもある。
作品のいいところを味わうよりも、悪いところにストレスを感じてしまったのだろう。私もそう言うことがないとは言えない。
好きなものに対して妄信しすぎても嫌いなものを全否定しても災いを呼ぶ。かといえ大抵の人間というものは私も含めだいたい「主語デカめ」「誇張デカめ」で好きでも嫌いでもない話でも「言いすぎだろ」みたいなことはよくある。
好きなものは完璧だし嫌いなものは嫌い、といった気持の方が正直生きやすいが。好き嫌い程度で怒らなくて済むようになったとしても、今度は自分が相手の好き嫌いをどれだけ理解しようと相手は平気でこっちの好きなものをこき下ろして来る理不尽にいらいらしなければならなかったりするので。
閑話休題。
ややこしい話になるがこれは口酸っぱく言わないといけないので何度でも言う。
「自分には向いていない」は「存在すべきでない」ではない。つまり、好きか嫌いかで争う必要は本来ない。
そういう感覚は結構忘れがちで、だから私もいつも偏っている自分の立場を中間あたりに置いてどっちつかずな意見をわざわざ長々と言いながら、一言で終わる結論を説明していたりするわけだが、それはともかくとして。
好きなものは好きでいい。嫌いなものは嫌いでいい。
大事なのは、誰の好きも嫌いも、最低限は尊重されるべきだということだ。
ファンになるのはいいが、狂信者になるのはいけないという意味である。
嫌いになるのはいいが、モンスタークレーマーになるのはいけないという意味である。