温森おかゆ(まんじゅう)さんの日記 「勝敗とTRPG」

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温森おかゆ(まんじゅう)
温森おかゆ(まんじゅう)日記
2024/01/05 20:46[web全体で公開]
😶 勝敗とTRPG
 この世界に溢れている数々のゲームは、大体において勝敗が求められるものばかりである。オセロはかならず盤面を自分の持ち色に染めた方の勝ちだし、RPGで言うなら、ラストバトルのボスに勝つことがクリアの条件となるものが多いはずだ。

 その中で、TRPGというのは、プレイヤー視点から言えばRPGと同じようにラストボスを倒すか、あるいは最終的な目的を果たすことでシナリオをクリアできる。しかし、GMはそのとき、自分の操るボスで「敗北」を喫するわけである。クリア条件がギミックやリドルであった場合、それらをプレイヤーに突破されているわけだ。
 それでも、GMにとってもプレイヤーにとってもセッションは「成功」と言えるはずである。ではなぜGMにとって「ボスの敗北」や「ギミックの解除」がセッションの成功につながるのか。嬉しいとか楽しいといった感情に繋がるのか。この点を考えることこそが、「TRPGはなぜ楽しいのか」という疑問の一回答に近づくひとつの要素となり得るのではないだろうか。

 「プレイヤーを打ち負かしてやろう」と考えるのならば、GMにはいくらでもやりようがある。レベルの低いプレイヤーキャラクターたちに、レベルの高い敵をぶつけてしまえば勝ちなのである。1レベルの勇者に、50レベルくらいで相手にするラストボスの魔王をぶつけることくらい、TRPGのGMには簡単にできてしまうのだ。
 だがそんなシナリオは駄作と嫌われ、唾棄される。GMだってそんなもの回したところで面白くはない。せいぜいがPLとGMの腹の読み合い、揚げ足の取り合い、蹴落とし合いに発展する危険性を生むだけである。それをも楽しむことができる人は居るだろうが、現在のTRPGにおいてそう言った遊び方が広く浸透していないことからも、続かないことなのが分かるだろう。
 なぜ、GMはわざわざ苦労してプレイヤーキャラクターのレベルに合わせてバランスを調整し、そして大抵の場合、組み上げたエネミーで敗北するのか。ほぼ出来レースのような調整をして、なぜあんなにも楽しむことができるのか。

 実は答えらしきものは、アリアンロッドRPG2Eの公式ダウンロードコンテンツ「ゲームマスターガイド」に書いてある。
「GMの目的はなにもPCを失敗させ、屈辱にまみれさせることでも、全滅させてGMが悦に浸ることでもない。それが楽しいセッション、すなわち成功を導くことは絶対にない」と断言されている。
 ではGMの成功とは何なのか。ゲームに勝つことではないとするのなら、どこにGMの楽しみがあるのか。

 ここまであくまでゲーム上の「勝敗」を引き出してきたが、そもそもTRPGのGMにとっての楽しみがある場所は「ゲーム上の勝敗」にはない。なので、エネミーキャラクターが勝とうが負けようが、それが一般のGMにとっての楽しさに直接繋がることもないのである。
 GMとしてプレイヤーに相対しているときは、勝つことが目的でも負けることが目的でもない。先ほども言った通り、勝つことが目的ならば1レベルのPCに50レベルの魔王をぶつけてしまえばいいわけだし、負けることが目的ならば今度は20レベルの勇者に1レベルのスライムでもぶっつけておけばいい。
 そうしないのは、GMはPLを蹂躙して遊ぶのが楽しいわけでも、PLに楽な戦闘をさせて報酬を渡すだけのことが目的でもないからだ。

 「PCたちがそれなりに苦労して危険を冒して、なんとか勝てる程度の敵」を用意してぶつけるのは、そこにある「プレイヤーにストレスを乗り越えたカタルシスを提供すること」が目的だからだ。GMは特等席で、PCたちが織りなす一期一会のストーリーを一緒に楽しんでいると言っていい。一撃で沈む敵を相手に大立ち回りを演出することは難しい。かといえ、PCたちがただただ蹂躙されるだけの絵面は、パニックホラーの1シーンとしてなら上等かもしれないが、Z級臭い。
 戦闘を含めた、冒険の困難を全員で乗り越えていく物語を、全員で楽しむことが、GMの目的であるのかもしれない。簡単に言ってしまうと、「いかにPCたちがカッコよく困難を乗り越える魅力的な映画を、セッションの盤面上で完成させることができるか」という完成度のために、苦労して調整しているのではないだろうか。

 そこをちょっと外れて、戦闘の意味でも謎解きの意味でも「相手を打ち負かしてやろう」と考え始めたら、先ほど言ったように、PCたちが連続クリティカルでも出せばギリギリ勝てる程度の敵を出したり、GMしか分からないノーヒントの解法を当然のように用意して、脳内の答え合わせを要求したりしてしまうのだろう、と思っている。
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レスポンス

はるるん
はるるん温森おかゆ(まんじゅう)
2024/01/06 03:27[web全体で公開]
> 日記:勝敗とTRPG
結論としては「GMとPLの相性」になっちゃうんだけど…
あくまで自分の場合は…ということで。

はるるんGMの楽しみは多分、わくわくドキドキハラハラしてもらうこと?
そのために一生懸命、エモいシナリオ考えたり、ギリギリ飛べそうなハードルを設定したりしてるんだと思うんだよね?
僕の場合、自分の思ったように敵や難易度を設定すると、EASYモードでクリアされるので、1.3倍強くするように心がけてます。(それでもひとりくらい「舐めプキャラ?」がまぎれても何とかなる感じ?

ギリギリ…もしくはロストするかもしれないスリルを味わいたいなら、そういう傾向のGMのもとでリピートしてくれればいいんじゃないかな?と思うし、多分、僕の卓をリピートすることも無いんだろうな…と思ったり
Kei
Kei温森おかゆ(まんじゅう)
2024/01/05 21:34[web全体で公開]
> 日記:勝敗とTRPG
わたくし、これに関してはちょっと思うところがございますの。おっしゃる通りGMはいついかなる場合でもPCを好きなようにロストさせることができますし、そうしたところで面白くありません。そもそもTRPGは勝敗のゲームでないどころか、ゲームである以前にコミュニケーションなので、そういった考え方が良い影響を及ぼさないのは明らかでしょう。けれど、そう考えるのはGMだけでしょうか? つまり、わたくしが見るところ、困ったことに、多くの場合TRPGに勝敗を見出して勝負を挑むのはGMではございません。では、そういう風になってしまうのはGMの責任なのでしょうか?
もちろん、そういうGMがいらっしゃることも、そういうシナリオを公開ないし販売される方がいらっしゃることも存じておりますけれど。

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