Keiさんの日記 「わたくしが思うTRPG冬の時代のお話」

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Kei
Kei日記
2021/03/31 17:44[web全体で公開]
😶 わたくしが思うTRPG冬の時代のお話
(老害昔話シリーズです)

ご機嫌よう。

わたくしのプロフィールには、さらっと「カードゲームが楽しかったので」みたいに書いていますが、ちょっと掘り下げて、かつてTRPGにどうして冬の時代が到来したのか(と、わたくしが思っているのか)というお話をします。わたくしたちの場合は、実際にその引き金を引いたのは、カードゲームではありませんでした。

かつて、TRPG冬の時代というものがあったとか、いやそんなものはなかったとか、というお話に触れた方もいらっしゃるでしょう。これは、わたくしの視点でのエントリですし、違う意見をお持ちの方はたくさんいらっしゃるかと存じますし、良くて話半分程度に受け取っていただければ幸いです。

わたくしの視点では、TRPG冬の時代はありました。そして、それは他にも言及されるような、90年代後半に合致します。

当時わたくしはあるグループでTRPGを遊んでいました。このグループは、わたくしが高校の頃に遊んでいたグループの延長で、大学に進学後も集まることができた方と、その知り合いの方で構成されていました。サークルというほどのものでもなく(創作などをしたいメンバーは別のサークルに参加していました)、単にTRPGで遊ぶことだけを目的とした、ゆるやかな集まりでした。

わたくしたちの卓の場合、まず、これはわたくしが持ち込んだことですが、TRPGのシナリオが早く終わったらボードゲームをしましょう、ということが始まりでした。予想外にシナリオが早く終わってしまうことはありましたし、当時のわたくしはTRPGだけでなく、安田均さんのような方が紹介されるボードゲームにも興味津々でした。Acquireのようなボードゲームを遊びました。ボードゲーム楽しかったですし、Acquireは名作だと思います。このエントリはボードゲームを否定するものではありませんし、みなさんも遊ばれたら良いかと存じます。とまれ、ボードゲームは十分以上に面白く、やがて、TRPGとボードゲームを両方遊ぶために、TRPGのシナリオ(時間)を短縮するようになりましたし、そのうちに、シナリオを準備できなかったからボードゲームでその日を過ごすということが起こるようになっていきました。それでも、シナリオが準備できなくてボードゲームになることは多くの参加者をがっかりさせることでした。

そして、カードゲームがやってきました。まだMtGが来る前でしたが、モンスターメーカーやダイナマイトナースなどがありましたね。ボードゲームと合わせて、気軽に遊べて楽しいゲームとして卓内の認知は高まっていきました。TRPGよりもボードゲームよりも手軽で、TRPGよりも楽しいと思われるのは時間の問題でした。特にGMがそう感じることが。

大事なことなのでもう一度いいますが、TRPGよりも楽しいと思われるのは時間の問題でした。

そう、TRPGの楽しさが陰ったんです。

その頃TRPGがどんなだったかというと、内輪受けの嵐が吹き荒れていました。公式のリプレイすら、内輪ネタ、内輪受けが全てでした。どのTRPGサポート雑誌も、人気のリプレイ作家を囲い込んで、その人気にあやかろうとしていました。どの雑誌を読んでいるかという派閥さえありました。結果として、多くの卓が内輪ネタで遊ぶようになりました。わたくしたちの卓も、例外ではございません。

でも、飽きますよね。

そうなんです。飽きたんです。そんなの一時の熱でした。TRPGが、ではなく、雑誌主導の内輪受けのネタで盛り上がることが。でも、TRPG自体に飽きたわけではないことには気付きませんでした。そうして、飽きたと思った時にその場にあったのは、カードゲームだったり、ボードゲームだったり、わたくしたちの場合は、NEO-GEOだったりしました。多くの卓では、その時にMtGがあって、RPGマガジンのようなTRPG専門誌さえ転向していたことから、MtGがTRPG冬の時代のきっかけになったように考えられているようですが、そこにMtGがあったのは、たまたまだと思います。わたくしたちの場合は、MtGではありませんでした。とまれ、内輪受けなんか関係ない純粋なゲーム性としての面白さでは、カードゲームやボードゲームの方が勝っていましたし、だいいちシナリオを準備する必要もありませんでした。準備不要で楽しめることは非常に歓迎されました。

補足しますが、当時インターネットは一般的ではないどころか、その存在を知っている人すら限られていました。シナリオの入手経路は非常に限られていましたし、ほとんど全ての卓で、GMがオリジナルのシナリオを行っていました。シナリオネタの多くは雑誌から得た内輪受けのものでしたし、そのネタさえも、雑誌に掲載されたリプレイのようにうまくいくことは稀でした。雑誌のようにうまくいかないことは多くのGMに劣等感や敗北感を与えました。そうしてネタが切れました。GMには、もうそれ以上のシナリオを作る余力がありませんでした。

そんな中、当時アーケードゲーム界を席巻していた格闘ゲームをそのままのクオリティで遊ぶことができるNEO-GEOは、当然のことながら、カードゲームやボードゲーム以上に歓迎されました。わたくしだって、TRPGよりも、カードゲームやボードゲームよりも、NEO-GEOに熱狂しました。わたくしたちの場合はNEO-GEOでしたが、NEO-GEOがなかったとしても、TRPGをそのまま続けることができたかは疑問です。

内輪受けではないTRPGシナリオがどんなものなのか、もう分からなくなっていました。そうして、TRPGは次第にプレイされなくなりました。

内輪受け楽しい、という一時の暴力的な熱に浮かされて、そういう方向にみんなが向かいました。出版する側も含めて。というか、出版側は、それを煽りました。人気のリプレイ作家を囲い込むという形で。ですが、その少なくとも一部は、後に「キャラクタープレイ」と呼ばれることになるようなものだったり、「マンチプレイ」と呼ばれることになったりするものでした。残念なことに、こういったプレイが卓を荒らさないようにする仕組みはまだ発明されておらず、全てはGMの責任にされました。一方で、それ以外の有意な記事はありませんでした。例えば、GMが意図したシナリオを進行するための方法論なんか、闇の彼方に葬られていました。それ以外の有意な記事がなかったことは、後に大いに問題になりました。みんなが、TRPGに飽きたと思った頃に。意図したお話を進める方法は失われました。そうして、やがてどの雑誌も潰れました。わたくしは、あれらの雑誌が姿を消したのは、TRPGに冬の時代が来たからではなく、因果は逆だと思っています。もちろん、みんなが飽きたのは、実際にはTRPGではなかった筈です。けれど、後に残っていたのは、TRPGではありませんでした。

これが、わたくしがこの目で見たと思う、TRPG冬の時代の始まりでした。

もちろん、TRPGを続けた方もいらっしゃるでしょうし、違う意見をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。これは、わたくしがこの目で見た、わたくしの卓で起こった、そうわたくしが思っていることに過ぎません。

いまのTRPGは「エモさ」が主流になっているように見えます。それ自体について、わたくしが言えることは何もありません。少なくとも、PLが求める「エモさ」を駆動できるようなシステムや方法論はちゃんと存在しているように見えます。当時のTRPGには、主流となっているプレイスタイルを支えるシステムも方法論も、ありませんでした。
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レスポンス

ササミ
ササミKei
2021/03/31 19:42[web全体で公開]
> 日記:わたくしが思うTRPG冬の時代のお話

こんばんは、ササミです。
TRPG会のベテラン勢が『TRPG冬の時代』について、色々と熱く話してくれたのを思い出しましたwww

・ご指摘のような内輪ネタで新規の人が入りにくい環境。
・新規の人が来てくれても、楽しみ方をどうやって伝えたら良いかが分からないから放置される。
・MAGIUSのような、まともにテストプレイしていない酷いシステムが数多く作られる。
・大量のサプリでマニア向けに複雑化してしまった有名システム。
・マナーの悪い、他人を思いやる気持ちが無い迷惑なPLとGM。
・NEO-GEO、サターン、プレステ、マジック:ザ・ギャザリングなどの素晴らしい娯楽が次々と出てくる。


その時代の反省として、TRPG会では『初心者サポート』や『GMサポート』をするようにしています。
しかし、娯楽が多様化しているので、緩やかに衰退していく業界だと思っています。

それでも今はTRPGが楽しいので、一緒に遊べる仲間が居て、飽きるまでは全力で遊びたいですね!!

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