Keiさんの日記 「特定の状況を描く特定のルールが物語を生み出すお話」

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Kei
Kei日記
2021/12/29 17:20[web全体で公開]
😶 特定の状況を描く特定のルールが物語を生み出すお話
老害昔話シリーズです。記憶をもとに書いています。話半分未満のつもりでお読みください。当時の他の資料をご参照ください。また、個人的な事情により、海外システムの話がメインとなりますのでご了承ください。いわゆるFEARゲーのようなシステムがどのように生まれて発展したのかについては、識者の方のエントリをお待ちしております。

ご機嫌よう。

先日、最初期のストーリーゲームについて触れた際に「特定の状況を描く特定のルール」が物語を生み出すと書きました。今回はこのお話をします。というのも、TRPGと物語の関係の軸は、これがその後主流になっていったからです。いまでも、これがTRPGの主流かと存じます。

さて、抽象的な表現ではピンとこないかと存じますが、特定の状況を再現できるルールさえあれば良いことは、クトゥルフの呼び声によって発明されました。そう。正気度です。世界を描くことで物語を描くという方向性を鮮明に打ち出した RuneQuest に続いて、単純な一つのルールがあれば良いことが、同じ Chaosium によって示されました。

正気度という単なる数値の上下が特定の意図した物語を描くということは大変な大発明でした。探索者が正気度を失うことは、英雄がHPを失うこととは決定的に異なるものとして受け入れられたのです。

その後 Pendragon では(これも Chaosium でした)、PCの感情をルールとして表現しました。これは、特定の状況で特定のボーナスを与えることで物語を駆動する試みで、後にライフパスのような方向性に発展していくことになります。感情のルール化は、日本では Far Roads to Load のようなシステムがありました。

決定的な一撃になったのは、90年代を牽引した World of Darkness かと存じます。WoDの最初の作品となった Vampire: the Masquerade には人間性というステータスがあり、そして、ステータスの数値をRPで表現するようにルールで示しました。その後の作品ではこの方向性を推し進め、更なる展開さえ生み出しました。WoDは一時はDnDを凌ぐほどの人気を博し、アンダーワールドのような映画さえ生み出すことになりました。

こうして、ステータスを物語性と直接結びつけるという方向性は、物語を志向するシステムの成功例となりました。

一方で日本では、映画的な物語の構造を「シーン」としてシステムで規定するようになっていきました。そうして、その構造を支えるために、ハンドアウトという発明がされました。ハンドアウトも、TRPGの物語性を決定的に変える大発明でした。

その影で、メジャーなものではありませんでしたが、システムとストーリーの関係を変えるような発明がされていました。そう、ついに、プレイヤーの役割に「物語を描き進める」ことが追加されるようになったのです。
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レスポンス

wpeke
wpekeKei
2021/12/30 01:39[web全体で公開]
> 日記:特定の状況を描く特定のルールが物語を生み出すお話
ちょっと日記の趣旨からははずれますが、
 Chaosium は CoCやルーンクェストで有名? ですが、ラリィ・ニーブンの「Ringworld」や、「ストームブリンガー」だけじゃなく、「 Hawkmoon」とかのeternal championsのゲームも展開していて、一時期は本当に新作が楽しみな会社でしたね~。 eternal championsはがんばって続けてほしかった。「Corum」もだしてたみたいだけど未見なんだよなぁ。、
ポール・ブリッツ
ポール・ブリッツKei
2021/12/29 21:08[web全体で公開]
> 日記:特定の状況を描く特定のルールが物語を生み出すお話

正気度を発明する以前のものとして、ヒーローポイントというものを発明してプレイヤーにヒロイックな冒険をするよう仕向けた「ジェームズボンド007」も忘れないでやってくださいませ……(^^)
聖岳生馬
聖岳生馬Kei
2021/12/29 17:30[web全体で公開]
> 日記:特定の状況を描く特定のルールが物語を生み出すお話

こんな長文を毎回書いていて、エネルギーが欠乏しないか心配な生馬です。

SAN値という能力値の発明(?)は画期的でしたね。
HPが0だと死亡すると定義されたり、この能力値は判定成功率が+5%されたりといったルールより
とてもあやふやなキャラクターの状態を定義したりしなかったりする数値。

プレイヤーに演出が任されることの発芽だったのかも。

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