Keiさんの日記 「ストーリーゲームについてのお話」

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Kei
Kei日記
2024/05/30 01:38[web全体で公開]
😶 ストーリーゲームについてのお話
今回お話する内容は(いつも通りではありますが)わたくしの個人的な経験や感想を元にしており、話半分くらいのつもりでお読みください。また他の文献もご参照ください。

ご機嫌よう。

実は先だってからストーリーゲームについてお話しようかなと思っておりましたが、どうしてこのお話をしたいと思ったのかというと、TRPG における物語とは何か、もっと噛み砕いて言うと、何が楽しくて何がエモいのかについて、ちょっと気になったからですの。ストーリーゲームというのは TRPG の一種で、ストーリーゲームというジャンルに属します。
現状のセッションで十分に楽しいしエモいし満足している、またはダイスの出目に一喜一憂することで十分に満足していると言う方は、ここから先は読まずに回れ右して帰ってよくってよ。

さて、物語の楽しさやエモさは一体何によって生まれるでしょう? システムの運用かしら? よくできたシナリオかしら? GM の素敵な描写かしら? 同卓した方と気が合うからかしら?
残念なことに後者の方はテクニックについて語られることがほとんどなく、合わないのでブロックするというような不毛な行為が延々と行われているのが日常かしら。けれど、合わない相手が悪いのかしら? もちろん、時には非常に問題のあるプレイヤーがいるということはわたくしも存じておりますわよ?

話を一旦戻しますが、物語という観点に関して言うと、多くの場合シナリオの良し悪しという観点がついてくるのじゃないかしら。このシナリオがエモい。普通にそう思ったり言ったりしてりゃれるのじゃないかしら。けれど、そういったシナリオの中には少なからず、作者が自分のエゴでプレイヤーの感情を揺さぶろうとしているものがございます。

その一方で、わたくしこれまでに何度も言っておりますが、シナリオの作者は卓の現場にいませんの。

では最初の問いに戻りますわよ? TRPG にとって物語とは何かしら?

わたくしは先ほど悪し様に書きましたが、実際に作者がプレイヤーの感情を揺さぶろうとしているシナリオは非常に危険だと思っておりますの。殊更に、なんでも許せるって、何を意味しているのかしら? 卓には同意があり、何度でも言いますが、その場にシナリオの作者はいないんですわよ。

TRPG を遊んでいて、ほんとうにつらい選択をしなければならない時があるのは分かりますの。わたくし自身、そういう瞬間は割と好きでもありますし。けれど、その選択や決断は選択肢にあるものとは限らず、シナリオが想定している物語に沿うものとも限らないんですの。あえて誤解を招くような矮小な表現をしますが、これエモいでしょどれか選んで、ではないんですの。

さて、ここからやっとストーリーゲームのお話ですわよ。

ストーリーゲームには大抵シナリオがなく、ゲームは一貫して何かの物語を生み出しそうな大局的な状況を提供します。ここでいう物語というのは、ダイスの出目によってたまたま演出されるものではなく、シナリオのように予め決まったものでもありません。ほとんどの場合、キャラクターを取り巻く大局的な状況は決まっていますし、その状況を変えることはできません。そう聞くと、普通のシナリオと一緒だと思われるかもしれませんわね。けれどストーリーゲームにはストーリーゲームのギミックがあります。ここで敢えて大局的というのは、馴染みのあるいわゆるシナリオが提供するのは極めて局所的な状況だからです。

ちょっと何を言ってるのか分からないかもしれませんわね。

はるか昔、わたくしの前世の頃は TRPG というのは特定のごく狭いその場だけの状況に対して「君ならどうする?」という自由な選択肢を与えられるゲームでしたし、いまでもそのような側面はあるのかしら。そのような狭い選択肢の中でも何かを決め茶番をしダイスの目神に振り回され、十分に楽しい物語になったかしら。けれど、それで十分なのかしら?
あるいはこう言ったらいいかしら。目の前に線路があって、ポイントを切り替えるレバーがあります。トロッコが爆走してきて、このままでは線路の先にいる5人が轢き殺されますが、レバーを引けば切り替えた線路の先にいるのは一人で、その人だけの犠牲で済みます。いますぐ決めなければなりませんが、どっちにしますか? これがシナリオとして提示される選択と決断だとしたら、ストーリーゲームの特徴は、物語の根幹を成すほどに困難な選択や決断をプレイヤー自身が見つけて描くことにあります。つまり、先に挙げたようなトロッコ問題は提示せず、同じような困難な選択や決断をプレイヤー自身が描くように誘導されます。自分自身で描いた選択と決断がエモい物語になるのですわよ。
もちろんストーリーゲームも TRPG ですから、他のプレイヤーが描いたことが大いに影響します。

どっちがいいかしら? どっちが安全かしら?

わたくしは二つの点から後者の方がいいと思っておりますの。一つは、プレイヤー自身の語りが相互作用してほんとうに予測できない物語を生み出す(かもしれない)点。もう一つは、自分自身が直面する問題を自分自身で描くことができるという安全性。これにはもちろん、自分自身の運命を自分自身で選ぶことができるという点も含みますわ。シナリオ作者の悪意でロストするのは嫌だけど、自分で描けるのだったら。というか、どうしたら自分がエモいと感じるのか、自分で知っているでしょう?

いまにも物語を生み出しそう、というのは実際 TRPG の永遠のテーマなのかしら。初期の頃はダイスの目神の気まぐれに頼っている部分も大きかったでしょう。それから盛りに盛った設定が現れ、システムが意図した物語を表現するためのステータスが現れました。物語らしいシナリオだって。そのどれもが楽しいかと存じます。けれど、物語を駆動する手法はそれだけではありません。ストーリーゲームが示しているのはプレイヤー自身に語らせるという手法です。もちろん、語りたくないプレイヤーがいるということは存じております。

ともあれ、もっとストーリーゲームに興味を持って遊んでくださる方は増えたらいいのにな。
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レスポンス

セス・メイソン(CoC7PC名)
セス・メイソン(CoC7PC名)Kei
2024/05/30 18:21[web全体で公開]
> 日記:ストーリーゲームについてのお話
コメント失礼します。
トロッコ問題のように選べる選択肢が極端に少ないものは物語というよりは伏線の認識です。
助けた側あるいは見捨てた側、もしくは仕組んだ側から自分に向けられる因縁が生まれて始めて物語になるのだと思います。
通過歴によるキャラクターの再定義も物語性の刺激になりそうです。

余談ですが私はトロッコの前輪が通るタイミングでレバーを引いてトロッコの前後が違うレール上を疾走し脱線するという回答が気に入ってます。
聖岳生馬
聖岳生馬Kei
2024/05/30 11:51[web全体で公開]
> 日記:ストーリーゲームについてのお話

TRPGと呼ばれるゲームも範疇が広いので、色々な作品を楽しみたいですね♪

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