Keiさんの日記 「ルールブック再読:Traveller」

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Kei
Kei日記
2021/04/09 19:55[web全体で公開]
😶 ルールブック再読:Traveller
ご機嫌よう。

ルールブックを改めて読み直してみるシリーズ、今回は新しいルールと思ったのですが、前回の「混沌の渦」で出たキーワードの「旅」繋がりで、また古めかしいルールを読み直しました。

みなさんは旅行はお好きかしら。普通の人の普通な旅のリアルってゲームにしたら面白いのでしょうか。旅の面白さって、ゲームになるんでしょうか。

そんなわけで今回は「Traveller」を取り上げます(少しだけ「Mega Traveller」についても言及します)。日本語版はHJと雷鳴の二社から出版されましたが、どちらも絶版です(雷鳴社に至っては残念なことに廃業してしまいました)。本国ではその後も順調に?版を重ねているようですが、日本語で読むことはできません(順調に、なんでしょうか。FFE、Mongoose、Cepheusと三つのシステムが並列して意味不明な様相になっているようにも見えます)。わたくしはHJ版Travellerは所有していませんので、このエントリで単にTravellerと言った場合は雷鳴板となります。

Travellerは「星々の海を旅する」SF TRPGです(が、システム的には旅するのは「星々の海」には限りません)。キャラクター作成が有名?かもしれませんね。曰く「PC作成中にPCが死ぬ」とか、曰く「できたPCはおっさん」とか。それは、ほとんどの場合においては、事実です。まあね、GMはいくらでも制限つけることはできるんですけれど。

ともあれ、そうやってできたPCはどうやって「星々の海を旅する」んでしょうか。それが大いに問題です。特にPCが初期状態で宇宙船を持っていない場合。ルールに従って処理していたら、そういうパーティになってしまうことが往々にしてよくあります。ですがルール的には何も解決されません。まあ宇宙船がなくても、宇宙船に乗るためのチケットは持っていることは多いです。でも……稀によくあるんですね、チケットすら持っていないPCができることが。一方で宇宙船を持っていたら持っていたで、別の問題が起こります。数十年のローンが覆いかぶさってきたりとかします。宇宙船のローンを背景に「自由にできます」と言われても、困りますね。

とにかくそんな風にして旅は始まります。どんな風に? それはまあGMに全部お任せしますわ♪ どんな旅をするんでしょう? それもGMに全部お任せします♪ さあ、旅を始めましょう……

はじめてTravellerに触れた時には、それでどうしたら良いのか全く分かりませんでした。

ところで、Travellerを始めようとすると、それとは別にびっくりすることがあります。それは判定のルールが書いてないということです。いえ、実際にはすごくあっさりと数行書いてあるのですが、判定方法みたいな章が独立して存在しているわけではありません。ただ、びっくりするようなところに、ごくあっさりと何事もない普通の文章であるかのように書かれています。同時に技能制でもあるのですが、驚くべきことに、この技能が判定にどのように効くのかも書いていないように見えます。

というのは無印「Traveller」のお話で、「Mega Traveller」にはもう少しちゃんと書いてあります。技能の使われ方も。そして「Mega Traveller」には、単なる成否判定よりもずっと重要な、行為に要する時間のルールも書かれています。時間をシナリオに組み込もうとすると結構大変だと思います。何にどれだけ時間がかかるのか、時間経過でシナリオを駆動しようと思っても、時間を管理するためのルールは大抵のTRPGにはありません。けれど「Mega Traveller」にはあります。判定の成否だけではなく「30分以内に済ませれば間に合います」ということがルールで表現できます。わたくし、このルールは大好きです。

また、TravellerではPCはごく普通の人で、戦闘などしようものならあっさりと死んでしまいます(戦闘ルールはちゃんと記述されています)。戦闘は避けるものです。宇宙船同士の戦闘も、より大きな船に勝つ可能性はほぼありません。つまり戦闘は避けるものです。ルール上いちばん発生しそうなのは海賊との戦闘に思えますが、そのルールを愚直に運用すると、海賊との遭遇はそもそも確率が高すぎるので、ちゃんとキチンと解釈すべきでしょう。

その一方で、星々の海を作るとか、恒星間貿易とか、宇宙船を作るとか、訪れた星にどんな原住生物がいるのかを決めるルールはあります。

また、一応、Travellerでは恒星間文明に達した文明が星々の海で接触しうるあらゆる文明を記述できることになっています。その中には「剣と魔法」のようなファンタジー文明すらあるかもしれません(Travellerでは、魔法ではなく超能力として記述されます)。

ただね。いまどきのTRPGの至れり尽くせりな記述から見たら、無理じゃないですか? という感じがしますね。詳細は全部GMが記述するものです。世界全部。宇宙全部。GMが。無理じゃないですか。

もちろんTravellerにも公式の世界設定はあります。ただし、Travellerの公式世界設定というものは、星一つまるごとを「A894A96-F」というようなコードで表現したもの(各桁に意味があり、ルールに書かれています)を羅列したものです。こういったコードで表現されるのが実際にはどんな星なのか……それを想像するのが楽しめないなら、Travellerをプレイするのは難しいと思います(先述した星々の海を作るルールでできるのも、こういったコードの羅列です)。

ここには確かにとても大きな可能性がありますが、それが可能性だけで終わってしまう、そんな予感がしますね。けれど、これだけの可能性を感じさせるルールというものは、いまとなっては珍しいものでしょう。

逆に言えば、世界全部、宇宙全部の詳細を記述できることが楽しめるなら、他のTRPGって必要ないように思えます。それだけの可能性もここにはあるのでしょう。あるいはTRPGには、いかに自由を制限しその一方でいかに自由を感じさせるか、という側面があるのかなと考えると、Travellerは相当に自由なゲームかとも思います。そう、それこそ他のTRPGが必要ないくらいに。そこまで言わなくても、Travellerが表現している世界というか宇宙に時には思いを馳せてみるのも楽しいかと存じます。
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レスポンス

ポール・ブリッツ
ポール・ブリッツKei
2021/04/09 21:16[web全体で公開]
> 日記:ルールブック再読:Traveller

普通の人の普通のリアルな旅のTRPG、作ってみたらけっこう面白いかもしれない。

旅して、『うんちく』を語って、旅先のなんということもない飯屋に入って、「そう、これこれ」とかいってみるだけの、「孤独のグルメTRPG」(笑)

成功に終わったら「孤独のグルメ」で、失敗に終わったら「食の軍師」か(笑)。

テキセ30分でやることを念頭に作ったら意外と面白いかも(笑)。
wpeke
wpekeKei
2021/04/09 20:20[web全体で公開]
> 日記:ルールブック再読:Traveller
ベテランゲーマーになったら「Traveller」のレフリーをこなせるようになる・・と思っていたのですが、
新作になるほどGMがしやすいシステムがでてくる・・というれしい状況になってきたため、歯ごたえのある
Travellerにはますます手をだせなくなっていますw
しかし「第五次辺境戦争」「スナップショット」「 Mayday」などといったボドゲとの連動や広大な世界観は
いまだに他の追随を許さない『高峰』ではあります。

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