その頃の彼等6
小慶美(シャオ・チンメイ)演義・ターニングポイントでの登場人物達[web全体で公開] 0 | |
登録日:2022/09/24 20:37最終更新日:2022/09/24 20:37 |
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コメント一覧
90. くっきー | |
2024/10/16 11:15 |
ストレイドに小さな一つの小包が届いた シダレは小包を開けると絶望に染まる 「これは…このドックタグは…」 入っていたのは、先日別れの言葉を交わしたばかりの少年のものであった ドックタグを握りしめてユリシーズの元に急ぐ 看板を蹴飛ばし、靴を泥で汚しながら、息を切らしてたどり着く。そのまま酒を呷るユリシーズに詰め寄った 「慌ただしい。みっともないぞ」 「どういう事だ!?何でコレが…コレだけが返ってきた!!」 勢いよくドックタグを机に叩きつける 「持ち主がいないドックタグは返ってくる。そういう契約だからな」 暗にあの少年がこの世に居ないことを示唆していた 「なんで……どうして……」 知らぬ間に視界が歪んでいる 「なんでも暗殺されかけていた人間の女を庇ったそうだ。守護神ザイアの導きがあるだろう」 目の前の男は何でもないことのように告げる 「命の保証なんてどこにもない。キカートリークスにもここにも、な」 「俺達に出来ることはレンの弔いに酒を呑んでやること、それだけなんだよ。分かったら帰れ」 レンはドックタグの少年の名前である。シダレは少年の名前を覚えてない事に気が付かされた 「…こういうの(奴隷制度)は終わりにしたい。ここにいればまだ守れたかも知れない」 「甘い理想だな。…まぁ、変えたいならやってみると良い。今の住民の生活が変わらないのであれば問題ない」 奴隷制度はストレイドで一大産業になっている。変更は容易ではない シダレは立ち去るユリシーズを見送るしか出来なかった 〜 『ゼクリスが蛮王にならなかった日』
89. くっきー | |
2024/10/14 00:07 |
ニートラミアの部屋(と言っても勝手に住み着いているだけだけど)に入ってみた 当の本人は寝ているようだ いつの間にか色とりどりの本が運び込まれた様で本棚が地層の様相を呈している 近くにあった一冊を捲ってみる事にした 「何を熱心に読んでいるやら………!?」 蛮族の言語で書かれているから内容は分からないが、挿絵を見る限り官能小説じゃないか! 交易語で書かれた本を探して内容を読む 「なになに『嫌がる少年を捕まえて、私は彼の首筋に熱い愛のしるしを』……変態ショタコンニートラミアめ」 掃除しないまでももう少し真面目に活動しているのかと思ったのが大間違いだった。ニートラミアから格下げする 「おい、起きろ。掃除するぞ」 「ううん、もう少しだけ」 寝ぼけている変態ショタコンニートラミアから毛布を剥ぎ取って片付ける。アイツは人を見る目が無いのだろうか? 「まぁ、見る目があったらオレなんか捕まえてないか…」 幸か不幸かそのおかげで今のところ生きている 「今日はコカトリスの唐揚げだそうだ。さっさと起きて支度しろよ」 「は~い」 なんでお手伝いを雇ったのに仕事が増えているのか、解せぬ 〜 『それは三日前の話』
88. くっきー | |
2024/10/12 22:56 |
召使い君にあれが欲しい、これが欲しいと我儘奥様の行動を取りながらキカートリークスの街の様子を探ってもらう まずいまオレがいる上階層で召使い君が出入りできるのはアイツの管轄エリアだけで何も情報がない また下階層に関してもニートラミアが入らないよう制限しているのかこちらも情報なし 中階層に住んでいる召使い君はゴンドラ状の乗り物に乗り、リルドラケンに運んで貰っているのだとか 商業区画のエリアが非常に小さく、居住区と農業区画が広がっているみたい 農業区画は山を階段の様に作付けした段々畑と呼ばれるものと、横穴に水路と光源を設置した人工農地があるという 「蛮族だから世紀末みたいな状態かと思ったけど、かなり整備されている…?」 「ええ、先生はキカートリークスは資本主義ではなく、権威主義だとおっしゃっていました。少ない土地を効率的に開発する為に自由な商売は出来ないみたいです」 「政治の話は苦手だな…」 「主が持つ区画の管理権を神将達に下げ渡し、神将達は優秀な蛮族に各区画の管理権を貸し付ける事で収益を上げているみたいです。中には自分で下階層の管理をされている方もいるようですね」 巨大なマンションの管理人=主 部屋の所有者=神将 部屋を借りて商売をしている店長=上位蛮族 なイメージが出来た。たしかに人の部屋で好き勝手に商売はできないな 「こうやって手に入れれる作物も物々交換か配給なんだよな…」 そう、手元の芋も配給である。蛮族は戦力提供と引き換えに食料品や生活必需品を手に入れることができる 公務員と呼ぶのが近いかな。確かに物々交換で必要なものを効率的に入手するのは大変だから、奴隷が生産したものを税として回収して配った方が良いのかもだけど… 「キカートリークスの事を知れば知るほど、大きな都市だなと思う」 「ええ、ストレイドより大きいです」 「ん?貧困街育ちなのか」 ちょっと意外だった。ストレイドの人間はもっと痩せているか麻薬の匂いがすると聞いたことがある。召使い君は見た感じ健康そう 「ええ、まぁ。…そのご主人様から愛を頂いてますから…」 「あっ…」 恥ずかしそうにモゴモゴする召使い君をみてそれ以上の追求はやめることにした (移動手段も限られているし脱出は難しいか?他に協力者が居ればあるいは…?) オレが居なくなったらアイツは悲しむだろうか? 〜 『推測』
87. くっきー | |
2024/10/12 08:28 |
ものは試しとアイツにお手伝いを雇うように伝えてみた アイツはあまり乗り気じゃ無かったけど、「雇わないなら食材を使った前衛芸術(黒焦げ)を作るぞ!」と宣言すると目を細めてどこかに出かけた うん、料理を作れないことが役に立つ日が来るなんてな 暫くしてアイツはラミアを連れてきた これで掃除から解放される…!と思ったら空いてる部屋に引きこもったまま出てこない 不思議に思っていると、ラミアの召使いがやってきて掃除を始めた 「いや中抜きじゃん…!」 思わずツッコミを入れたけど、召使い君はよく働くようで、一生懸命頑張っている 「おはようございます。奥様」 「おくっ!?そんなんじゃないし!」 「そうなのですか?ご主人(ラミア)様からはゼクリス様の番だと伺っております」 「あのニートラミアめ…!」 働かないクセに好き勝手言っているようだ 召使い君にはちゃんと説明したが照れ隠しだと思ったのかニコニコしているばかり 「なんという…!」 「夕食は私が作りました。小さい子達の面倒をよく見ていたので得意なんです」 そういって、貴族の食卓に並ぶには質素な、ただ栄養バランスを考えてあるのだろう料理が並ぶ アイツと二人で食べるのが気まずい…ニートラミアも一緒でいいから召使い君もテーブルについてくれればいいのに… ただ掃除の時間が減った代わりで‘教育’の時間が増えたのは痛恨だった。コレじゃ余計にしんどい 部屋から出てきたオレに召使い君はタオルを持ってくる 彼の胸にはドックタグが光っていた どうも大切なモノらしい 〜〜〜 『逢着(ほうちゃく)』
86. くっきー | |
2024/10/09 00:32 |
キイチはだだっ広い屋敷の掃除をしていた 箒ともモップとも呼べるような不思議な形状をした道具のお陰で効率よく床磨きが進んでいる…いるのだが 「いや、広いって!」 神将であり屋敷の持ち主であった戦竜子の意向なのだろう。ドレイクのテンプレートへの拘りは屋敷にも反映されており、貴族として恥ずかしくない造りになっている 「部屋だけで何部屋あるんだよ!廊下も長いし!」 プンスコしながらキイチは利用している最低限の区画を綺麗にする 「今はアイツとオレしかいないけど、昔はお手伝いが沢山居たんだろうな…もう雇わないのかな?」 監視装置として設置してあるガーゴイルのホコリを取りながら考えを巡らす 「というかアイツの収入源は何だろう…。仕事をしているようには見えないし、部下みたいなのにも会ったことが無いから、都市を経営している訳でも無い…?」 う~んと唸るが考えて判るわけでもない。もし遺産に頼っているのであれば節約をした方がいいのかも知れない、とそこまで考えたところで 「いや、ずっとここに住む訳じゃないし!」 頭をぶんぶんと振って思考を止める 「…料理人位は雇ってくれないかな。オレ、バームクーヘン以外作れないから外で買ってきたモノばかりになるし」 キイチは長い階段を降りながらどう説明したものか考える。黄昏は深まるばかりだ 〜〜〜 『空っぽの屋敷、一滴の雫』 ゼクリス、人族の街を積極的に攻めてないし収入源は何やろなぁ(。、。<神将には社会保険みたいなものが付いているとか?
85. くっきー | |
2024/10/02 00:28 |
街…と呼ぶには雑多な印象の屋根を見ながらシダレは物思いに耽っていた 「歪だからこそ機能する街…か」 麻薬の蔓延は幻獣避けを目的として 偽の貨幣はより多くの者が使えるように 非合法の酒と娯楽はより安価で提供される為に この街をデウスデアが統治する事は不可能だろうなと思う ユリシーズの事は気に入らないが、一つ一つの政策は住民の最大多数を生かすために機能している そんな事を考えていると、もう14になるだろう少年が小走りで駆け寄ってきた 「シダレ様!こんな所に居られたのですね!」 先ほど最大多数と言ったがこの少年は含まれていない ストレイドの一大産業、奴隷としてこの少年は売られることが決まったからだ ストレイドの食料輸入を賄っているのは、奴隷貿易の利益があればこそだ 「見てください!オータンバーン院長からこちらを頂きました!これで僕も孤児院を“卒業“です!」 誇らしげに掲げているのは胸に光るドッグタグだ 「そう…だな。おめでとう」 第一種奴隷。高級奴隷。愛玩奴隷 どうあれラミアの女性に買われたと聞いている 「キカートリークスでも達者でな…また会うこともあるだろう」 「はい!シダレ様もお元気で!」 言うが早いか少年は走り去っていく 少年はとても幸せそうにみえた 食用で買われたわけではない。多分大切にされる こんな不衛生な街より生き延びる確率も高いだろう 「幸せ…とは何だろうな」 〜〜〜 『夜明けは未だ遠く』
84. くっきー | |
2023/12/07 03:12 |
「大見えきった割に大したことなかったな。結局何がしたかったんだ?」 眼下に広がる骸を前に、男は腰を下ろした 「上手くいくものもいれば、そうでないものもいる。彼らはそうでなかった」 飄々とした女は事も無げに言葉を紡ぐ 「答えになってねぇよ」 苛立ちを見せる男を尻目に、女は興味も無さそうだ そんな二人を前に冷静に努めながらも、彼女は冷や汗をかいていた (危ない所だった…。このバジリスク達、一人一人の実力は神将に匹敵していた…。一騎打ちなら勝てたか怪しい…) 彼女は刀と魔剣の二本を胸に手繰り寄せる。その仕草は安堵の現れであろうか 「それより鬼竜侯。これからどうするつもりだ?街はこんな有り様だが」 ドレイクとバジリスクの衝突により、城塞と呼ばれたその都市は半壊の様相を呈している 「知らねぇ。他の神将が何とかするだろ…邪魔はするな」 睨みつける男に対して、やはり女はどこ吹く風だ 話にならないと思ったのか、彼女は口を開く 「その、名前を聞いてない。何と呼べばいい?」 悩む仕草をした女は笑顔で返した 「うーん、名乗るほどの名は無いが、そうだね…人呼んで 【七征剣(コンクエストオブソード)】 かな」 キカートリークスに新しい風が吹き荒れる ……… ゼクリスの蛮王化が始まる前に大罪バジを屠るとこんな感じにというss 七征剣という癖に剣を七本持ってるわけではない(”〈というか女は一本しか持ってない。 大罪を屠ったドレイクの魔剣の数を数えている。サクラが二本持ちだから、ゼクリスと女以外に三人のドレイクが含まれるということ ゼクリスはイキってる弱っちいバジリスクをシバいたという認識の為、特に行動を起こさないっていうね。自分よりレベルの低い父親を暗殺しただけのことはある勘違いっぷり(”;
83. 小慶美(シャオ・チンメイ) | |
2023/06/20 00:36 |
しっかし、穢れ除けの散桜編でのシェーレンベルク家は正史以上にボロッボロな窮地に追い込まれてそう感すごいですわね 十六名家内でも家を擁護できる状態ではないって判断する人いそうだし、周囲からもお家取りつぶしを望む声がありそう