Nサブさんの日記
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日記一覧
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2021/01/30 03:42[web全体で公開] |
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2021/01/29 09:30[web全体で公開] |
😶 ゆうこや映画風予告 〇シナリオ1 「恋とはどんなものかしら――。 みなさまもしも、ご存じでしたら。どうぞいぢわるしないで、私に教えてくださいませんか?」 壁一面にずらっと並べられた「水槽」の中で、彼女はにっこりと微笑みました。 下水を流れる軟泥のような、ぬらぬらとした赤黒い光沢。彼女の不定形の笑顔は、とても優しく、おだやかでした。世界中の素晴らしいものから少しずつ“笑顔”というものを集めたように、とても透き通っていて純粋でした。 「甘いのかしら? あるいは、苦い? まぶしいのかな? それとも真っ暗?」 「私の”生みの親”が言ってたの。最期にね。 恋をして初めて、子供は大人になるんだって」 「私は生まれたわ。そして生きてる。例えそれが、どんなに冗談みたいな結果でもね。 実験の成功は悪夢だとも言ってたわ。でも、それでも私の魂はここにある。 ……誰にも否定させないから」 ビーカーの中のアメーバだった頃とは、比べものにもならないような”知性”を手に入れて、それでも「彼女」は楽しくなさそうでした。 「”愛情のない知性はいつか私と私が愛する人々の間に楔を打ち込む”んだって。 キニアン博士が言ってたわ。そして……博士のその言葉がずっとずっと、抜けないトゲのように引っかかってるの」 「私の”前任者”たちはやがて皆、膨大な知性に耐えきれず、自我を押し潰されてしまった。私の、生まれてくることのできなかった姉妹たち」 「怖くなんてないわ。怖いなんて嘘よ」 「……でもね」 「私の胸のどこを探しても、愛なんて見つからない。 私の心は欠陥品なのかな?」 幼くてさかしらで、ちょっぴり厭世家な変化のマレビト。 変化たちは、彼女がうまく見つけられない探し物を、一緒に見つけてあげることが出来るのでしょうか? ゆうやけこやけシナリオ「いのちの輝き」 それはまるで夢見るように。 〇シナリオ2 「今度の夏休みは、みんなで映画館に出かけよう!」 流れ星と一緒に落っこちてきた、夜空の迷子……。 この夏最大のボリュームで送る、一名町で巻き起こるちょっぴり不思議で切ない、コズミック・アドベンチャー! 「お、おーい、みんな~! あ、穴の中に、何かいるよ~~!?」 「きゅ~……?」 「……ほほう、変化たち。そりゃ、宇宙人じゃなあ。どこで拾ってきた?」 「うちゅーじん!??」 「き、き、きゅ~って鳴くから、きゅーちゃんね!」 「安直すぎねー?」 「ねえねえ、キュウリとか食べるかなぁ…?」 「むしろ、小動物を丸噛りしそーだぜ」 「やめてよ~……怖い~……」 少し変な格好の宇宙人に、みんな最初は”びっくり”もしたけれど。 フルーツが大好きみたいで、いろんな格好を真似するそいつ。言葉はわかんないけど、もうすっかり友達! 「きゅっ、きゅー!」 「なんて言ってるんだろーね……? 威嚇してるのかなあ……?」 「小動物の生態が通じるかは、諸説あるわな」 「い、一緒に、”仲良しの歌”を歌ってるのよ~、き、きききき、きっと!」 出会いと別れ。 そして、その日、宇宙で一番長い夜。 「変化たち、よくお聞き。……決して、永遠なるものに関心を持ってはいかんぞ」 「そんな……。きゅーちゃん、ど、ど、どうして……?」 映画ゆうやけこやけ、「いのちの輝き」 そして君たちは、ときの涙を見る……。 同上映「ネズミのチカちゃん、サマーホリデー危機一髪!」 n ∧_∧ n + (ヨ(* ´∀`)E) うそです。 Y Y *
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2021/01/10 20:59[web全体で公開] |
😶 ゆうこやの呼吸 「お前もゆうこやをやらないか?」 「やらない」 ぴしゃっ(頬をぶつ音) ● Desktheory、シナリオブック「狼少女は嘘をつく」より掲載の、ゆうやけこやけシナリオ、どしどし募集中です〜〜! みんなやろ〜!! タイトルの通り、新サプリで追加された種族「狼」にフィーチャーしたもので、 特に「嘘」というのが全体のテーマとのこと。 ● 舞台は現代。 この冬初めての雪が静かにちらつく、冷たい朝の公園です。 遠くから響いてくるのは、様々な気持ちの込められた、とても綺麗な歌声でした。 そこにいたのは、かつての夜の女王、 そして今は姿を消してしまった、狼の変化でした。 白い雪にはしゃいで、歌に惹かれて、PCである変化たちは、不思議で切ない事件へと関わっていくのでした。 ● なんと募集開始からタイムリミットまで24時間切ってるとかいう蛮行に出て、 「一人でも来てもらえればイイナぁ」 「ゆうこやでほのぼのあったか遊びたいなぁ」 とかけっこー暢気してたんですけど、マジで速攻埋まっちゃったみたいで、ありがたいお話です。 だからこの日記は、特に意味はないです。 (狼少女シナリオ集、掲載は3つなのでみんなも是非手に取ってみてくれよな!)
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2020/10/23 01:50[web全体で公開] |
😶 アンサング・デュエット というわけで新作のアンサング・デュエット、「ラビットランド」遊んできました~!! 改めてなぎささん、aerialさん、ありがとうございました~~ 今回はPLさんに二名応募いただけまして、せっかくなので三名でプレイのほどを。 ふんわりしててちょっと鈍感な桜庭さんと、チクチクしてるけどキュートでパワフルな冬野さんの……ね……(語彙を失うオタク) ある日、日常に侵食する異界と、その異界に対抗する力を持った二人組。力を合わせて異界からの脱出を目指す。 アンサング・デュエットはそんなシステムです。 とにかくさー、判定してエモだし失敗して異界に侵食されてもエモだしハッピーエンドでエモエモなわけよ。 全人類に遊んでほしい。 人数もGM兼任だから2人から遊べるし、お手軽で即日卓立てて遊べるし~~
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2020/10/21 03:11[web全体で公開] |
😶 新作TRPGアンサング・デュエット サンプルシナリオで恐縮ですが、卓立ててみました。よければみなさん遊んでください。 やっぱりこういうのは出たてに遊ぶのが一番ですよ。 ケツは熱いうちにしばけ、小人罪無し而して玉を懐いて罪有り。 んでんで、 わかる人は一目でびびっときたかと思うんですが、 これかなりひふーだよ!! 秘密が封じられてる系TRPG。ひっひっふー。 システムそのものはかなり軽めのようなので、まあ別段るるぶはなくても全然大丈夫なのかな……?
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2020/08/17 01:24[web全体で公開] |
😶 怪談白物語 おまじな大饗宴より、1ページ怪談TRPG「白物語」やってきました。 「やりたーい!」って呟いた5分後には3名お集まりいただき、夜やろーね、という運びに。 ディスコード+初めてココフォリアを併用して遊んだんですが、「ゲーム操作はやりながら覚えるぜ……」「じ、承太郎!」で進められたのはお友達だからこそです。みんなは事前に準備ぐらいしとこうな。 GMがあらかじめ用意した怪談を語っていく中で、PLたちは「いやその幽霊、”干したシーツ”だったんじゃない?」とか「いやいや落ちてきたのは血じゃなくて”練乳”でしょ?」とかツッコんでいって、最終的にお話を怖くなくすれば勝利です。 今回僕がご用意したのは名作「猿夢」。知ってる人は知って~る。 もうですね、めちゃめちゃ盛り上がった。 やっぱり夏は怪談ですね♪
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2020/05/09 05:42[web全体で公開] |
😶 ●ゆうこやリプレイ作りました。 ・ ゆうやけこやけシナリオ、「コタンコロカムイの花」。遊んだのは実に2年前になりまして、今回、ログを読み返しながら、せっせこリプレイを作りました。 なぜ、今更なのかというと、実を申せば参加したPLさんから、なんとリプレイを頂きまして。それがすごく嬉しかったからです。 こんなに嬉しい事、中々ないぜ? せっかくなので読んでください。なんなら僕のはどうでもいいから。 今回はそれぞれで別エンドをご用意しました。TRPGでマルチエンディングをうたっていく。 TRPGは、例え同じ人たち、同じシナリオでも、紡ぐお話はひとつひとつが違って、卓の数だけ、物語が生まれる遊びです。だからリプレイもいくつあったって、おかしかないさ(やや強弁) 振り返ると、当時はゆうこや、るるぶが絶版だったんですけれど、新装版として発売された直後でもあり、なんだか懐かしいなぁという気持ちがいっぱい。そういう時って、初めてでも、GMやりやすい感じありますよね。多少つたなくても許容される雰囲気。お祭りの、そわそわ浮ついた空気で食べる焼きそばがやけに美味しい理論。三度の飯よりTRPGの事考えてる、筋肉むきむきのメチャ強ゴリラGMならともかく、そうでないならば、使えるものはなんでも使って楽しく遊んでいきたいですね。 いやまあ、わかんないですけど。適当いいました。本当は何もわかってない。なんなら全部わかってない。俺たちは雰囲気でTRPGを遊んでいる……! ・ 当時、最初にるるぶのサンプルシナリオ遊んだんですけれど、次の卓はよはよ(ばんばん)って催促されまして。ほんなら、一緒にお話考えてくれる?っていう、そんな流れで出来たのが、このシナリオだったりします。 ゼロから考えるのが一番苦手なタイプのスタンド使いなので、いくつかお話のキーワードを出してもらって、それを使って作るという感じでやりました。 このシナリオで言えば、①雪、②アイヌ神話、③シマフクロウ、みたいな感じですね。 実に創造的な遊びだなあ。こんなの、中々ほかにないよ。 さらにそれをみんなで遊んで、一口で二度おいしい。あとあと、昔のメモによれば、最後のシーンでNPCが二人登場するところで、ほぼ二人同時に話しながら進行してたっぽいですね。頭沸騰しそうで楽しいって書いてた。さすがに覚えてない。 シナリオ回して、見返して、リプレイ化までした今になって見返すと、タイトルは明らかに「パヨカカムイの花」だったな~って思います。お話の中心人物が、よくわかってませんでした(※GMやりました) 僕が用意したのは、画用紙と絵具(NPCの造形、おおまかなストーリー)だけであって、セッションはそれを元に、参加者全員で作り上げるものだってのが、目に見えて現れたって感じですね。 リプレイ化にあたって変えようかとも思ったんですけど、まあまあまあ。それもなんだか、TRPGっぽくて、いいんじゃないでしょうか(?) 創造的な遊びですわ。おほほ。 わちきの。 https://trpgsession.click/topic-detail.php?i=topic158897016898 いただいたの。 https://trpgsession.click/topic-detail.php?i=topic158875122748
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2020/04/03 04:53[web全体で公開] |
😶 ゆうこや予告 最近身内で遊んでばっかりでした。 今進んでる卓落ち着いたらゆうこや立てたい ・自作シナリオ「春になれば彼女は」 この春、晴れて一人暮らしを始めた新大学生のヨージは、引っ越し先のアパートで出没する怪現象に日々、見舞われていた。 勝手に減る食材、勝手にずらされてる本のしおり、 つけっぱなしのテレビ、いつの間にか姿を消す冷蔵庫のプリン、 そして……夜な夜な出没する、美少女の幽霊に悩まされていた! 「……♡♡」 「なんか……すごい正面からめちゃくちゃガン見されてるー!?」 なんだかあんまり怖くない、むしろどえらい可愛い幽霊の女の子に、隅から隅まで余すとこなく24時間監視され、ヨージが新しい扉を開く……その前に! 急げ変化たち! レッツ、ゴーストバスターズだ! ・ヨージ 漢字は変化たちにはわからず。背は低くて童顔。 毎日出る幽霊に、お風呂や着替えも容赦なく覗かれるので、悔しいけれど、だんだん気持ちよくなってしまっている。 ・幽霊 は?だれ? きみかわいーね。 話しかけると、曰く悪霊ではないらしい。 でも修学旅行のお寺のお札が痛いらしい。 やっぱり悪霊じゃん。 様々な寄り道を経て、紆余曲折のすえ、掃除機などで武装し、ヨージの部屋になだれ込んだ変化たち。 すると逆に、幽霊の彼女は居丈高に、ヨージのお部屋のお札を剥がすよう命令してくる。ついでにもう古くなっているので神社で引き取ってもらった方が良いらしい。 どうやら彼女は、実はヨージの守護霊で、このままでは部屋に入れないまま、大変な事件になるというのだが…… でもお札剥がしたらお風呂覗くんですよね……? (イコリアにゴッジーラ出るとかウッソだろおまええええ)
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2020/02/15 04:35[web全体で公開] |
😶 ゆうこやリプレイ https://trpgsession.click/topic-detail.php?i=topic158154925960 先日、ゆうやけこやけ自作シナリオ「甘い夢に無我夢中」を募集させていただきました。 改めてみなさん、ありがとうございました。おつかれさまです。 そのリプレイ作りました。約2.3万字。薄い文庫本一冊にならないぐらいのお手軽サイズです。 “あーあ。わたしの初恋、終わっちゃったなあ……” 全ての元凶は、PLさんの最後のこの一言でした。 この、さばさばしているのにどこか湿っぽくて、カラ元気なのに妙に陽気で、前向きに割り切れているようでだからこそそれがどうしようもなく切なく聞こえてしまう、底抜けに明るいこのセリフが、今回のリプレイ作成の原動力でした。 厳密には、ちょっと違う。 でも僕には確かに聞こえたんだ!(精神病) ふつうのリプレイとは違って、セッションログに全編に渡って味付けをしたものになります。 なので、実際のプレイ時よりも、脚色がされています。 より陽気に、より怖がりに、より能天気に。 ですが、変化たちが冒険した景色は、決して色褪せることのないものであると、僕は思っています。 今さらすぎるけど、参加者さんにもしかしたらリプレイ作るかもってお話は、してた……と思うんですけど(やや自信なし なにかあったら言ってください。
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2019/10/26 05:52[web全体で公開] |
😶 ゆうこや卓リプレイ 先日行ったゆうやけこやけ卓、「肌の白いは春風駘蕩」、その途中を抜粋した、みにみにリプレイです。 思わず書きたくなってしまった。げに人の業とはかくも罪深く。 ※ 小さな少女のハミングが、風に揺れる枝葉の音色のように、ゆったりと、夜の一名町の小道に響いていた。 彼女の肩には、一羽の大きなフクロウが悠然と、苦労も悩みもなんにもなさそうな顔をして、どこか眠たげに目を閉じたまま、ぼぅぼぅと低い鳴き声で少女のリズムに合わせて夜の唄を歌っていた。 夜の小道に、少女の足取りはふらふらと右に左に危なっかしくて、見ていてとてもひやひやさせられるものだった。それはまるで、やっと立ち上がった赤ん坊のようだった。 その名を待宵丸という、千年ばかりも寝ているような、肩の左のフクロウが、それでもなんとか前に後ろに、時折羽ばたきバランスをとって、やっとこどうにか転ばず歩けている。だが、夜の小道の、小石や砂利や、木々の突き出た根っこなど、それらが少女の白い裸足の足裏を傷つける様子はないようだった。 二人はあるかないかの宵の小道をふらふらと歩いていく……。 ※ ……おいおい、あすこの連中、ずいぶんなうかれぽんちどもじゃない。ねえ? 暗がりに身を潜めた可愛らしい二人組、背に透き通った羽を震わせる方が、そう囁いた。子供ぐらいの上背で、昔話で妖精と呼ばれるものにそっくりだったが、まるでサーカスのピエロのように毒々しい色合いの衣装を身に着けていた。 ……同感、同感~!! それに応えて、絵本から抜け出てきたような、真っ白な“オバケ”がひそひそと囁き返した。 幽霊のポルは、さらさらした青い髪の下、まん丸に目を見開いて、悩み事、弱り事恨み事、悲しみなんて欠片もなさそうに笑っている。 二人は視線を合わせて、 「生意気だな!」「ナマイキ、ナマイキ~!」「こんな夜にふらふら出歩くなんて」「危ないよね~!」 「三叉路は、道と道の交差点。どこにも行けてどこにも行けない袋小路。何が起きても不思議じゃないぜ」「道に迷って迷ってうっかり迷子で、うっかりうっかり、大事なことも、忘れちゃうかも……! ゆ~れいも、うっかり飛び出しちゃうかもね~!!」 「なー! どうする?」「ヤっちゃう~?」「よっしゃ、一丁やってやるかぁ!」「いえ~い!!」 にまにまと悪だくみをして、 ――すうっと、 夜の中に隠れて、誰にも見えなくなった。 ※ 「田中さんの家のごはんはうちのごはんより豪華なんですよ」 「ほうほう。そうなのかい。そりゃあいいねえ。豪気だぁね」 さくらは顔をごしごしとやってから、にゃあといっぺん鳴いた。 「タイヤさんも今度一緒に行きませんか?」 「わしか? ふうむ。気持ちは山々じゃが、あいにく、まいな~な妖怪じゃからのう」 片輪車はそう言って、車輪をぎぃぎぃと軋ませた。 車輪の真ん中で目を閉じている、老婆の垂れた黒髪の、端っこを目で追う子猫の様子に、片輪車はおごそかにたしなめた。これこれ、タイヤではないと言うておるのに。 「まるまるなんだから、タイヤさんですよ。なんにも間違ってないです」 もごもごと言いかける片輪車をしり目にして、さくらはひょいと振り返った。 「……歌が聞こえませんか?」 「歌かい? こんな嵐の来ようって夜更けに、あたしら以外、いるとも思えないがねえ」 「そうですね。でも……」 「名のある楽人なら、そうだねえ。一度でいいから、流泉とやらを聞いてみたいねえ」 「しっ。静かにしてください……」 さくらはぴんと耳を立てた。集中して、耳を澄ませる様子に、片輪車も慌てて口を閉じた。 「……綺麗な歌。まるで……嬉しいって気持ちを始めて感じた人が、その気持ちを、ありのままさらけだしているみたい……」 「さくら……?」 小さな猫は、車輪を見上げると、「にゃあ」と小声で一度鳴いた。 ※ なべに一杯の牛乳をことこと火にかけるように、時が経てば経つほど、状況はゆっくりと煮詰まっていく。 「……おや」最初に気づいたのは待宵丸だった。 少女の肩にとまったフクロウは、ふとまぶたを開けると、目をぱちぱちさせた。 「こだますいか」 「……?」 呼ばれた少女は、そこからさらに二、三歩歩いてから、ふらふらと立ち止まった。 「あれは、悪い者たちではないよ」 「……」木霊の少女は、それを聞いて安心したように、にっこりと笑いかけた。 「おお。これは驚いた。見知った顔だ。名前までは思い出せないが」 「それは別段思い出せてないじゃろうが。……っは! おお、その物言い。待宵の爺さんじゃないかい!」 「おお。そういうお前は……そうだ! 大車輪!」 少し惜しい。片輪車は小さくつぶやいた。 「……おどろけ~! ユーレイだぞ~!」 幽霊と妖精の二人組がぬらりと影から飛び出した時、丁度鼻先で出くわした片輪車はすっかり肝を冷やした。潰れた蟇のような声を上げながら、ばたんと後ろに倒れこんだ。 「うわっ! ポルさんじゃないですか?」 「はっはっは。これはおどろいた、小さな幽霊もいるとはな」 「あれれ~? ランランはおどろいたのに~……」 「お、驚いてなんかいないって! あれはのーかん、のーかん!」 「あいたた……。さくら、お友達かい?」 「あ、さくちゃんか~。こんばんは~!」 「まあ、もう結構慣れちゃいましたからね。ポルさんのいたずらには」 待宵丸はばさばさと羽ばたいて、ぐるりと首を一度回した。かたわらの、猫の変化をじっと見据える。 「時にそなた。家にいて、仕合の時を待たなくてよいものか?」 「え? ええっと……」 「さくら、さくら。待宵丸は四六時中こんな調子じゃから、話半分に受け取っておきなさい」 「失敬な。人間たちは今宵“猫と仕合え”ときちんと申していたのだが……」 「ねこと……しあえ?」 「……そりゃ“犬や猫を、家に仕舞え”じゃろう」 だいぶ遠い。片輪車は小さくつぶやいた。 そんな、変化たちの賑わいを眺めながら。 木霊の少女は、嬉しそうに微笑んでいた。