Keiさんの日記

Keiさんが書いた日記の一覧を閲覧できます。

日記一覧

Kei
Kei日記
2024/04/07 00:20[web全体で公開]
😶 吸血鬼になりましたの
ご機嫌よう。

ついに、ついに、念願叶って Vampire: the Masquerade を遊んだのですわ!
これまで WoD は C:tD(20th)と M:tA(日本語版)を遊んだことはありますが、ついに本丸の V:tM(5e)ですの!
今回のセッションでは、それぞれの PC が吸血鬼になる過程を丁寧に描いてくださいまして、GM の描写がとても丁寧なのに加えて PL の方々の RP も素晴らしく、それぞれの過程が恐ろしくも魅力的で恐ろしくも楽しく、次回が楽しみでなりませんの。

ご一緒くださったみなさまありがとうございましたっ。
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2024/04/04 19:36[web全体で公開]
😶 ジャケ買いしましたの
ご機嫌よう。

CP というのがどうしてもキャンペーンではなくカップリングに見えてしまうのですけれど、わたくしその筋ではございませんの。

さて、そんなお話はどうでもよく、今回はボードゲームのお話ですわ。オフセを嗜まれる方の中にはボードゲームも嗜まれる方もいらっしゃるんじゃないかしら。セッションが予定よりも早く終わったから、あるいは当日までにシナリオを書けなかったから、あるいは PL の無理無茶無謀に疲れ果てたから、いずれにしてもオフセならボードゲームを出す機会はそれなりにありますわよね。

ところで、とあるボードゲームの会社がございまして、その会社の製品は概ねカード系というか TCG のようにデッキを構築する系で、わたくしはデッキ構築系はあまり得意でないのと、というかそれ以前に、パッケージの絵柄で売っているという偏見がありスルーしていたのですけれど。

やってしまいましたの。もう今月は TRPG に(=わたくしにとってはゲームに)お金を使わないと宣言した先月末のこと。とにかく、わたくしは由緒正しき衝動買いの民でもございまして、その、件のゲーム会社の新作?をジャケ買いしてしまいましたの(一応デッキ構築系でないことはその場で調べました)。パッケージの絵の子がわたくし好みだったから、それ以上の言い訳をすることができませんの。物理ゲームショップはこれがあるので、できるだけ目的以外のコーナーには近寄らない・目をやらないようにしていたのですけれど……。

ジャケ買いも楽しいですし、皆さまにおかれましても、是非是非同様に楽しんでいただきたいですわ。
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Kei日記
2024/04/01 23:30[web全体で公開]
😶 世界を救ってまいりましたの
ご機嫌よう。

わたくし常々、世界を救うなどというスケールは TRPG にはあんまり似合わないと思っているのですが、今回、たったの二時間でキャラ作成含めて世界を救えるかもしれないゲーム、リッチキング KU-KAI を遊んで、きっちり?世界を救って?まいりましたし、やりたい放題やりましたが、それでもお話になって、しかもとても盛り上がりましたの。

リッチキング KU-KAI は高僧が降臨して荒んだ現代の衆生を救済する、みたいなゲームなのですが、最後の判定まで高僧には法力を使わせないようにしなければなりません。高僧は法力を使うたびに禁を破るので、法力を使いすぎると堕落して力を失ってしまうのです。ですから、通常のシーンは高僧に頼らずに PC たちで解決する必要があります(全員が判定に失敗すると法力パワーでシーンは解決されてしまいます)。
シーンには PC ごとにたかだか一回の判定しかありませんし、その判定を有利にするために設定を好きなように生やすことができるのですが、設定が生えるかどうかにも判定がございます。そんなわけで、後半は面白いように判定に失敗しまくりまして、もうダメだなって思ったりもしましたの。けれど、腐り続けていたダイス目が最後まで腐っていたことによって、まさかのハッピーエンドとなり、世界は救われたのですわ♪

単純なシステムながらとても楽しく盛り上がりましたし、ご一緒くださった皆さまありがとうございましたっ。
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Kei
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2024/03/31 00:54[web全体で公開]
😶 GM の「技術」って何かしら
ご機嫌よう。

正直なところ、GM に必要なのは、素敵な部屋を作る技術でも、シナリオをシナリオ通りに進める技術でも、描写する技術でも、時間通りに進行する技術でも、ルール裁定する技術でも、プレイヤーを言い負かしたり笑わせたりする技術でも、迷惑をかけない技術でもなく、適切な質問をする技術だと思っておりますの。

適切な質問をする技術。

言うまでもなくこれが非常に難しいことは存じておりますが、これ以外は全て瑣末な小手先のことなので忘れて構わないとも。
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2024/03/28 00:06[web全体で公開]
😶 卓の同意についてのお話
ご機嫌よう

このお話をするのは n 回目ですし、飽き飽きしている方もいらっしゃるでしょうが、いまだにセッションゼロしか、あるいはそれすらご存知ない方もいらっしゃるようですし、それどころか自分の常識=世界の常識と信じてらっしゃる方もいらっしゃるようですが、とにかく、そもそも卓は同意によって成り立つものです。卓は安定していて協力的でこそ楽しめるもので、たとえ PvP であっても、この原則は破られてはなりません。

わたくしが思うところ、これはほとんど安全のための方法論と重なるのですが、いつの間にか TTRPG Safety Toolkit 日本語訳のリンクが切れていましたので、ざっくりと概要はこんな感じかしら。

■ CATS
卓前の5分だけでも、ゲームについて同意する時間を設けましょう。ゲームを進行するために卓が何を目指しているのか理解しましょう。同意すべき内容はコンセプト(Concept)、目標(Aim)、トーン(Tone)、主題(Subject)の四つで、頭文字をとって CATS と言います。

■ ラインとベール
ゲーム内で触れないでほしいこと(Line)、仄めかす程度にしてほしいこと(Veil)を事前に共有しましょう。理由は関係ありませんし、理由を聞くこともありません。

■ Xカード
事前に同意があってさえ、どんな心理的な危険に晒されるかは遊んでみないと分かりません。けれど誰でも、安全が脅かされたらゲームを止めることができます。事前の宣言の有無とは関係ありませんし、理由も関係ありません。理由を聞くこともありません。

■ オープンドア
それでもダメなら、誰でもいつでも、ゲームを抜けることができます。

■ プレイする権利
安全権:誰もが安全だと感じられる必要があり、その境界線は参加者一人一人に決める権利があります。自分の境界線や嗜好で他のプレイヤーのそれを上書きしてはなりません。
決定権:参加者は自分の手番で起こることを決めることができます。否定してはなりません。
相談権:参加者は他の参加者に助けを求めることができます。決定権は助けを求めた当人にあり、また、求められていないのに「助け舟」という名目で他の参加者の権利を奪ってはなりません。
表現権:参加者には、自分自身の望ましい形を語る権利があります。原作その他に反していても、参加者には翻案する権利があり、また各参加者の関心事を優先すべきです。
同調権:物語を創造するには緊張や対立も必要です。生産的な意見の対立は物語の質を向上させますし、参加者には意見をぶつけ創造する権利があります。
鑑賞権:参加者は何が起こっているのかを楽しむ権利があります。
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2024/03/26 21:56[web全体で公開]
😶 所有するために買うというのは正しい購買行動なのですわというお話
ご機嫌よう

積みコミュを見ていたのですけれど、わたくしも積んでいて機会があれば遊びたいなと思うものもございまして。たとえば。

- あおはるばーんっ
- インセイン
- ガンドッグ(わたくしが所持しているのは Revised です)
- サンサーラ・バラッド
- 忍殺
- ハーンマスター(クイックスタートのみ)
- ルリルラ
- 少女展爛会
- 歯車の塔の探空士
- 片道勇者

この辺りの日本語で特にメジャーなものが消化できるとわたくしの精神衛生にも少しは良いのですけれど(もちろんこれ以外の日本語メジャータイトルも積んでいる上に、実際消化したいのは山のようにある英語ルルブの方だったりもするのですが)、もちろん消化することが目的ではなく、このゲームを遊んだと言えるくらいには遊びたいなとも思っているのですけれど、積みを消化したいのは積んでいるという自覚がある人であって、実質的に積みコミュに書く人が大層偏っているように、このような欲望を果たすには大きな困難が……などと考えてしまったりするのですわ。
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2024/03/26 02:33[web全体で公開]
😶 シナリオの書けな方の補足
ご機嫌よう。

先日のエントリに補足なのですけれど。シナリオを書き始められない、書き終えられない大きな理由として、もう一つ挙げらられることがございます。

つまらないとか二番煎じだと自分で思ってしまうから。

そこで、わたくしとしてはこう言わせていただきますわ。あなたの引き出しの中に眠っている物語は、まだ誰も知らない面白いものですの。さいわいにして、先にもお話ししました通り、TRPG のシナリオというものは完成品ではございません。どんな要素がどんな風に相互作用するかは計り知ることができません。TRPG のシナリオというものは可能性、物語になるかもしれない芽であって物語そのものではございませんの。

自分で自分の心を折るのは止めたほうがいいですわよ。
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2024/03/25 22:30[web全体で公開]
😶 シナリオの書け方と書けな方のお話
ご機嫌よう

ご注意いただきたいのですが、わたくしナラティブの民で、そもそもシナリオなど用意せずに遊ぶことが多々ございます。

わたくしのシナリオといえば、思いつく→メモしておく、あとはプレイヤーの方に投げてしまってその場まかせ、なのですが、やっぱりこんな遊び方はもう一般的じゃないのかしら……。もちろんご一緒くださった方にシナリオをお見せすることもありますし、お見せできる程度に体裁を整えることもございますけれど。

さて。そもそも人間の頭は最初から整理されたものをアウトプットするようにはできておりません。そこで、いろいろな考え方の技術、アウトプットの技術というものがございます。これはシナリオに限った話ではなく、TRPG に関係なくほとんど全ての方に一生ついて回りますので、何かしら自分に合いそうな技法を学ぶのが良いかと存じます。

とまれ、シナリオの話に限りましょう。

どうしてシナリオが書けないのかといえば、そもそも書き始めないから……なのですが、では、どうして書き始められないのでしょうか。そこで大抵の方がお答えになることは、思いつかないから、ネタがないから、でしょう。それなら、どうして思いつかないのでしょうか?

これはわたくしの経験ですが、わたくしが書けなくなった時というのは、かなり明白にインプットがなかった時期と重なります。インプットが少ない上に、すでにそのシステムについて偏っていたり、無知だったりしたから。

ですのでインプットを増やしましょう。シナリオを書くにあたってルルブくらいは当然読むでしょうが、ルルブの記述なんてインプットには全然足りません。配信でいいので映画を見まくるとかコミックや小説やゲームでもいいですし、美術館や博物館、なんなら旅行や散歩でも構いません。何かの作品に触れるなら、ノンジャンルで駄作も含めて手にすることをお勧めします。時間の無駄だったと思うようなものでも、むしろそういう作品の方が、シナリオのネタにはなるかしら。

もう一つよくあるのが、完成させられないから。多くの方が誤解されているようなのですが、TRPG のシナリオは「完成している」必要はございません。もちろん、それをネットとかで公開したいなら「完成品」である必要はありますが、卓を一回囲むのに、シナリオが「完成している」必要はどこにもございません。というか「完成」の定義が、TRPG のシナリオの場合他とは異なります。

ともあれ、シナリオとしてのアウトプットにする必要はございます。では、シナリオは何を満たしていればいいでしょう? 言わずもがな、それで卓が運営できることです。最低限、これで卓を開催できると思えること。

ここにジレンマがあるのだろうということは想像できますわ。だってプレイヤーは何をしでかすか分からないので、その全てを網羅し対処できないと卓を開催できると思えない。この心理、何か名前がついていたと思うのですが何ていうのでしたっけ?

けれど、わたくし強く思うのですけれど、予測不可能なプレイヤーの意思に対して事前にシナリオで準備するなんて不可能ですし、ここにセンス・オブ・ワンダーを感じられないなら、そもそも TRPG のシナリオではなくて別の創作をされた方が良いのではないかしら。それに、それなら何のためにルールがあるんでしたっけ?

それと、FEAR 的シーン制のせいで余計にシナリオが書きにくくなってる方もいらっしゃると思うのですけれど、あれは忘れて構いません。

というわけで TRPG シナリオのアウトプットというものはそもそも一般に言われるような「完成」とは異なるもので、もしかしたら万が一、書けば書くほど TRPG のシナリオからは離れてしまうものかもしれませんわね。もちろん公開するのだとしたら他の方でも遊べるものになっている必要はあるでしょうけれど、それはもう「他の卓」であって、そこに「あなたはいない」んですの。シナリオを完成品にするのは実際にその卓に参加された方々の権利であって、シナリオ作者の権利や義務ではございませんの。
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2024/03/24 01:56[web全体で公開]
😶 おはなしのお話
ご機嫌よう。

今期アニメといえば、ここオンセンでも目にするのはほぼフリーレン、稀にダンジョン飯くらいかしら。薬屋がもう少しくらい話題になってもいいのになって思っていたりもするのですが。
ともあれ、個人的に今期アニメのおすすめはこうですの。
バーンブレイバーン>>>薬屋のひとりごと>ダンジョン飯>>>(越えられない壁)>>>フリーレン。

正直なところ
バーンブレイバーン:クソアニメが神アニメに昇華する瞬間というものがそこかしこにあって楽しい
薬屋、ダンジョン飯:普通に面白い
フリーレン:期待はずれ

もちろんね、もちろん皆さまは違うように お考えになられるでしょうし、異なる評価を下されるでしょう。好きな作品の悪評価を見たくない方だっていらっしゃるかもしれませんね。ですがこのエントリはこのまま続けます。

というか、わたくしとして、とにかくいいからバーンブレイバーンをご視聴ただきたいですわ(Amazon Prime で視聴できます)、一話の最初の方こそリアルロボット志向を感じますし、それゆえもあって一話途中で切ってしまうのも分かりますわ、けれど、最後まで見ていただきたいんですの。驚きの超展開を、そこから雪崩れ込んだ二話での、驚きのクソキモポエムを。バーンブレイバーンはここからがスタート地点で、たいへんに思白いかと存じます。特に、これははっきりとは言い難い部分もあるのですが……えっと、特に腐女子な観点では。
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Kei
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2024/03/20 00:23[web全体で公開]
😶 ふたり旅に行きましたの
ご機嫌よう。

長いこと毎月何かしらはじめてのシステムを遊んでいたのですが、その記録がついに途絶えそう……と嘆いていたら、神さまが現れて好きなゲームに付き合いましょうとおっしゃられました。神さまはいらっしゃいましたの。

そんなわけで、魔女と獣とふたり旅を遊んできたのですわ。

もともとナラティブな遊び方を考慮しているゲームではありますが、今回はナラティブ面を最重視して(それと3時間で終わるため)、一部の面倒なルールをバッサリと簡略化して遊びました。有利不利のダイスの数を一定にしたり(有利要素を重ねたらその分だけ振れるダイスが増える)、難易度や成功数的な考え方もカット(後述)、ダメージ要素による判定デバフも削除、ボーナス表や災い表は全カットして自由描写、魔獣の大切なものから消耗概念をカット(使うと直ちに失います)、シナリオ値の概念も削除、ティータイムやスペルクラフトも削除、などなど。

判定の指針はこんな感じかしら。
判定の結果 1 が出たら痛みを伴う出来事が起こる(成功の出目があったとしても)。成功の出目がなく 1 の出目がある場合は、とても悪いことが起こる。
その上で、成功数が 1 あれば目論見自体はうまくいくし、成功数が 2 以上あれば予想以上の成果をもたらす。

ゲームの雰囲気は変わると思いますが、というか基本は緩く、そして一回限りのセッションが盛り上がることを意図しているのですが、そもそもこのゲームにはゆるい雰囲気の方が似合いそうかしら。

そんな感じで、食材が勝手に料理されて大量消費されてしまうという悩みを抱えた村で、ダメっ子魔女になってトラブルばかり引き起こしながら(宿の枕をダメにし、窓枠を吹き飛ばし、畑をめちゃくちゃにし、祠に祀られていた光る石を真っ二つにしました)、もともとの村人の頼み事は解決せずに別の解決をするというお話になりました。

ご参加くださった方ありがとうございましたっ。
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Kei
Kei日記
2024/03/16 00:29[web全体で公開]
😶 なんでもできるゲームのお話
ご機嫌よう。

まあね、○○でやれ派の意見もわからなくはないですけれど。
いっそのこと、なんでもできるゲームで遊んだらどうかしら?

例えば Traveller シリーズ。このゲームは SF というテクスチャを纏っていますが、その実恒星間文明まで到達した文明が遭遇しうるあらゆる文明を描くことができます。そういって出会う文明はファンタジーでもサイバーパンクでもポストアポカリプスでも何でもよく、そちら側の文明の視点で描くことだってできます。もちろんクトゥルフ的な要素を取り入れることができますし、というか SF とホラーって相性がいいんですのよね。その気になれば旧神を中間子砲(公式ルールにおける人類が手にする最強兵器)で吹き飛ばすところまでセットでどうぞ♪

例えば FATE シリーズ(わたくしのエントリでは何度も言っていますが Type-moon のゲームやアニメとは関係ございません)。このゲームでは「今回はこの要素を取り入れる」という卓の同意さえあれば概ね何だってできます。というか FATE は卓の最初に「RPGツクール」するゲームですし、そうして決めたことに後から何かを追加することだってできます。加えて、プレイヤー自身に描写の権利があり、必要なリソースさえ払えばどんなご都合なことだって。

例えば microscope。このゲームで起こることは全て歴史の一ページであって、歴史の一ページにしかすぎません。その一ページで何をしようが、歴史というそれよりも大きな波の中ではね。ゲーム的には、歴史の一ページというのは一つのシーンであって、その一ページにどんな大事件があり、どんな風に解決したにせよ、それが歴史の他の部分に影響を及ぼすかどうかは他のプレイヤー次第です。

どうかしら。ほんとうに何でもできるゲームを前にしたら、○○でやれ、なんてバカバカしくないかしら。もちろんね、皆さまがお持ちのゲームで好きなように遊べばいいのですわ。そうして別のゲームで遊んで、こっちの方が遊びたいことや表現したいことに向いていたと思うこともあるでしょう。それならそのゲームで遊べばよくって。

その一方で、思いもよらない体験をもたらしてくれるゲームというのもあって、その体験はそのゲームでしか得られないことだってあります。ただね、わたくし思うのですが、こういうゲームで得られる体験というのは、○○でやれ、と安易に言うような瑣末なテクスチャではないんですのよね。ですからもちろん、普段遊んでいなゲームにも興味を持って欲しいな、とは存じますの。
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Kei
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2024/03/14 02:20[web全体で公開]
😶 FAE とアスペクトと戦闘のお話
ご機嫌よう。

先だって FATE Accelerated(以下 FAE)はいいゲームだと書いて、もっと語らいたくなってしまいましたの。

というわけで FAE のお話の続きですが、ところで、FAE にはロストという概念がありません。というか HP 的な概念もありません。

ともあれ、FATE を理解するには、それが Core System であれ Accelerated であれ Condensed であれ、アスペクトを理解する必要があります(このエントリは特に FAE を対象にしていますが)。アスペクトというのは、人・場所・物・状況などなどに関する特別な何かを説明する言葉またはフレーズで、ほとんどすべてのものにアスペクトをつけることができますし、あらゆるシーンでアスペクトを利用することができます。アスペクトには発動・強制・確定の三種類の使い方があり、リソースを消費することもありますが、いずれにせよ、とても強力です。

例えば、ゾンビに襲われて攻撃したとしましょう。こんな風にアスペクトを発動することができます。「ゾンビは<鈍足>なので、簡単に当たるはずだ」
……たったこれだけのことで、判定にはボーナスが得られます。
あるいは、藁の山があったとしたら。「その上に<オイルランプ>が置いてあります」
……これで藁の山に火をつける準備ができました(FATE では「また火をつけるの?」とルルブに書かれているくらいによくある使い方です)。

もちろん、キャラクターたちのアスペクトは、トラブルの元として大いに利用されることもあります。「王様は不遜な態度ですが、ところであなたは<反抗的>ですね? なので不敬な態度をとってしまい、牢屋に入れられました」

また一方で、アスペクトを利用してトラブルを起こすと、運命点というリソースを得ることができます。トラブルの内容も、プレイヤーが語ることができます(不十分なら GM がことを大きくします)。運命点は判定を有利にしたりアスペクトを発動するために使うことができます。運命点にはセッション開始時の最低点数があって、使い切って次のセッションに臨めば、それだけで回復します。

さて。

FAE の戦闘は抽象戦闘で、攻撃ロールと防御ロールの成功数の差がダメージ(ゲーム的にはシフトといいます)なります。でも HP はないので、それではどうするかというと、シフトを受ける枠のようなものがあります。この枠が二種類あって、一方はチェックしたらおしまいで、チェック済みの枠ではそれ以降シフトを受け止めることができません(これはゲーム的にはストレスと呼ばれ、1, 2, 3 シフト用の枠が一つずつあります)。もう一方の枠にはアスペクトを記入し、このアスペクトはいつでも敵対する側がキャラクターを困らせるために利用することができます(こちらは影響と呼ばれ、2, 4, 6 シフト用の枠が一つずつあります)。アスペクトが記入された枠ももうシフトを受けることはできません。シフトはストレスと影響のどちらで受けても構いませんし、両方に割り振っても構いません。ただし、一度のシフトを複数のストレス枠に割り振ることはできません。例えば、5 シフトを受けた時、1 ストレスと 4 影響で受けてもいいですし、2 影響と 4 影響で受けてもいいですが、2 ストレスと 3 ストレスで受けることはできません。影響で受ける場合のアスペクトは基本的にプレイヤーが決めることができます(もちろん、それまでの描写に即した感じで。例えば弓矢で攻撃されて 6 シフトを影響で受けた場合、<膝に矢を受けた>)。
処理できないダメージがあると、キャラクターは敗北し、非常に困った状況になります。そうなる前に降参することもできますし、同様に困った状況になります。繰り返しになりますが FAE にはロストはありません。

それでは攻撃が成功した場合の描写はどうでしょうか? 実は FAE では、どのような手段で攻撃したのかの描写もプレイヤーの自由です。大剣を振るったのでも魔法を唱えたのでも罵声を浴びせたのでもよく、また FAE には呪文リストのような面倒なものはないので、状況に合わせて好きに描写することができます(強力な呪文や英雄の剣のような特別な装備はスタントというボーナス付きアスペクトにすることもできます)。

こんなのゲームがメチャクチャになると思われるかしら?
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Kei
Kei日記
2024/03/13 19:46[web全体で公開]
😶 ゲームにリアリティを求められましても、というお話
ご機嫌よう。

注意:わたくしナラティブの民であって、ゲームシステムを悪用した効率プレイやゲームシステムについての議論で相手を論破するプレイは好きではございません。

さて。

リアリティというのは卓の約束事であってそれ以上でもそれ以下でもないとは存じますが、極論すればリアルを追求したらゲームにならず、ゲームを追求すればリアリティは損なわれるでしょう。つまりゲームというのは抽象化された遊びであって、シミュレーションではございませんかしら。

もちろん、そういったリアリティ志向によってデザインされているゲームもございます。戦闘ルールだけを例に取れは、有名どころでは創造的アナクロニズム協会による模擬戦の成果を取り入れた RuneQuest や GURPS など。あるいは Traveller 5 のような SF ゲームもリアリティ志向を強めた結果宇宙船を離陸させるだけで大変な騒ぎという噂かしら。

もちろんリアリズムの楽しさもございますわね。わたくしだって Troll Pack(RuneQuest のサプリメントで、トロールという種族だけを取り扱い、進化系統樹や解剖図などが掲載されています)は大好きですわ。

一方で、CoC で警察に頼りまくったら何が起こるかしら。CoC の警察が現実の警察くらいに有能だったら? あるいは、ファンタジーだとしたら、粉塵爆発は起こるかしら? 手洗いとうがいで病気は防げるのかしら? たかが炎の魔法一発で森が燃えたりするのかしら? ほんとうに?

閑話休題。

ちょっといま FATE Accelerated(以下 FAE)の卓を企画していて、FAE いいゲームだなって思っていますので、その筋でお話ししましょう。

FAE は FATE シリーズ(Type-moon のゲームはアニメは全く関係ありませんが、FATE では当該作品も容易に再現可能です)の最軽量ルールですが、FATE シリーズといえばアスペクト志向のナラティブ TRPG で、キャラクター(PC も NPC も)やシーンはアスペクトという短いフレーズで表現されていて、これに対して基本となる4アクション(優位に立つ、克服する、攻撃する、防御する)を使いつつアスペクトを重ねたり追加したりして、困難な状況を自由に打破する、といった感じかしら。
もちろん、自由と言っても本当になんでも自由なわけではありませんわ。そもそもアスペクトの発動にはコストがかかりますし、概ね常に、運命点を得る代わりにトラブルを引き起こすことが推奨されます。それってそんなにうまくいきますか? 言い換えれば、発想そのものは自由ですが、その結果トラブルになり、トラブルになることで、別の機会に別のご都合主義的な成功を手にできる(かもしれない)と言ったらいいかしら。

例えば、キャラクターたちが深い谷に行く手を阻まれ向こう岸に渡ることができないとしましょう。もちろん背後からは追っ手が迫っています。わたくしの FAE 卓でこのようなシーンがあれば、周囲に適当な巨木があり倒して橋にすることもできますし、見えない魔法の橋がかかっているかもしれませんし、そのほか適当な何があっても構いません。解決方法を描く、つまり FAE においては必要なアスペクトを描くのはプレイヤーですし、できればトラブル自身もプレイヤー自身に描いていただけるといいですが、避けられない戦闘にみたいな面白くもないリアルなんか、と思ってしまうのですよね。だって物語でしょう? センス・オブ・ワンダーがあるのはそういった語りの相互作用から生まれる物語にであって、ゲームシステムの運用にではないかしら。

というわけでわたくしとしては、アニメやアクション映画のように、適当にトラブルが起こり適当にご都合主義で格好いいことがあって楽しく終わればそれでいいし、その描写をする権利はプレイヤー自身にある(格好いい部分だけでなく、トラブルになる部分も含めて)と思うのですけれど。

みたいなね。まあね、自分で私家訳してから2年以上も経って FAE 卓を企画していて、あらためていいゲームだなと思った、それだけなのですけれどね。
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Kei
Kei日記
2024/03/08 20:05[web全体で公開]
😶 本棚の三界
ご機嫌よう。

皆さまもご存知かと思いますがおさらいしておくと、本棚には三つの階梯がございます。
一つは人権界。本の上や前などに別の本や物が積まれていない、いわゆるちゃんとした本棚のエリアで、書店や図書館にある本棚は概ねこれに該当しますが、お家の本棚を見渡してみても、この領域があることに気づくでしょう。
一つは魑魅魍魎界。本の上に本、本の前に本、とにかく一定の容積にできるだけたくさんの本を詰め込んだエリアで、中には本でないものまで収められている場合もございます。本が棚板から飛び出している場合もございます。
一つは奈落界。魑魅魍魎界からも溢れた本やら何やらが本棚の前に積まれ(場合によっては棚の前に棚があり)、もはやアクセス不能になってしまっている本棚の領域です。古い古本屋さんの一角などで目にすることもある光景ですかしら。
加えて、本棚に入りきれない虚無界というのもございますね。

さて、ここで一つ質問なのですが、これをお読みの皆さまの本棚では、ルルブはどの階梯にあるでしょう? わたくしの場合ですと、一部は人権界(若干魑魅魍魎化)に、その他は魑魅魍魎界にございます。これはもうゲームの好みも何も関係なく、ほとんどルルブの大きさで決まってしまっています。何しろ本棚自体の容積は一定ですので(といいつつこれまで何度か増設しているのですけれど)、収容率ができるだけ高くなるように収まるように収めようとすると……。

そんなわけで B5 版のルルブなんて魑魅魍魎界の奥側行きが確定しておりますし、そんな状況でも同じシステムはまとめておきたいというもので、途中で判型が変わるというのが本当に憎いのですわ。

うぅん、でも、わたくしの整理の仕方が悪いのかしら……わたくしの本の総数なんて、一般のご家庭よりも少ないくらいですので……。
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Kei
Kei日記
2024/03/03 20:08[web全体で公開]
😶 隠れ里に行ってきましたの
ご機嫌よう。

ゆうこやを遊んでまいりました。今回は隠れ里に迷い込んでしまった子を連れ戻す的なお話でしたわ。他の参加者の方々に大変申し訳ないことに、疲れが取れていなくて、かつ寒くてダウナー状態での参加になってしまい、たいして頭が回らず、わたくしの視点ではゆうこやらしくないこともしてしまったのですけれど、皆さまのおかげで最終的にはたいへんにゆうこやらしいお話になりましたの。

そう、ゆうこやはあったかほのぼの……。

とにかく、ご一緒くださった皆さまありがとうございましたっ。
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Kei
Kei日記
2024/03/02 15:16[web全体で公開]
😶 新しい魔法少女の誕生を見届けましたの
ご機嫌よう。

moongrave の後半を遊んできましたの。後半は結構エグいのじゃないかしら、という期待もとい不安もございましたが、無事に魔法少女の埋葬を済ませて村に帰るのですわ。後半では、死ぬとデバフがついて復活するのですが、誰も犠牲になることなく……ここいらで死んだら面白そうというシーンはあったのですが、なんだかんだで切り抜けてしまいました。噂では、後半でデバフを受けるとその分だけ次代の魔法少女は強くなるのだとか。

物語の最後もナラティブ系によくある、自分のその後は自分で語る系です。

わたくしのキャラクターは、この経験をもとに面白おかしい魔法少女の冒険物語などを書いて有名になる(ただし、この物語を読んで気楽に冒険に出かけて命を落とすものが増えました)という感じで締めくくりました。一方で、他のPCの娘が次の魔法少女として覚醒するという流れになり、最後まで皆さまの語りが楽しかったですわ。

シーン数が多いのと(後半は時間の都合でシーン数を減らして遊びました)、PLとしてはネタが尽きてどうしようか迷う瞬間もあり、意外と時間はかかると思うのですが、そしてアタマも使いますが、いいゲームと思いましたの。

お誘いくださった方、ご一緒くださった方ありがとうございましたっ。
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Kei
Kei日記
2024/02/29 00:20[web全体で公開]
😶 魔法少女の思い出のお話
ご機嫌よう。

moongrave というゲームを遊んでまいりましたの。これまで町を守ってきた魔法少女が死に、彼女を埋葬しに行って帰ってくるという感じのゲームです。シーン制のナラティブ系で、往路が三日間(毎日三回の遭遇があります)、埋葬の儀式があって、復路が三日間(毎日三回の遭遇があります)、その過程で命を落とすみたいなデザインなのかしら。今日遊んだのは前半部分ですが、前半に関しては死ぬとパワーアップしてその場で復活する(一日一回だけ)というシステムになっていて、パワーアップ目的で死に筋を見つけるのもまた楽しかったですわ。実際、最初に死んだ方がパワーアップして復活したのを目にして、ここいらで死ぬためにはどうするかって思ったりしましたの。

ナラティブ系らしく、魔法少女との関わりや道中の出来事(ベースとなる出来事は表で決まりますし、先に進むほど難しい場面になっていきます)に関してもその場の即興で語ることで話が進んでいき、判定そのものは割とシビアです。

また一方で、魔法少女との思い出を語るゲームでもあり、そういった面でもとても楽しめましたの。

未訳の上にまだベータ版とのことですが、製品版が楽しみって思いましたわ。お誘いくださった方、ご一緒くださった方ありがとうございましたっ。
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Kei
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2024/02/27 23:30[web全体で公開]
😶 GM はどんな時にパーティを全滅させようと思うのかしら
ご機嫌よう。

海外のコミュニティをのぞいていて、TPK(Total Party Kill、パーティが全滅してしまうゲーム)について話題になっていたのですが、概ね「(GM が仕組むのだとしたら)ありえない」的な反応でしたので、それではどんな時に、GM はパーティを全滅させようと思うのかしら? などと思ったのですわ。

もちろんわたくしも全滅ロストの経験はあります。最近ですと CoC で、そのシナリオは本当にシナリオ(もしくはその作者、もしくはその両方)に悪意があるとしか思えませんし、まあ正直わたくしも「ありえない」という感想に至ったのですけれど、けれど……GM がパーティを全滅させようと思う動機も分からなくもないと申しましょうか。

懺悔しますがわたくしの前世は吟遊で、物語からプレイヤーを排除したいと思うことが非常にしばしばございました。殊更に、前提となるハンドアウト的なものを無視される場合や、シリーゲームに終始していてお話が進まない場合などに。もういっそのこと全滅させてこの物語を終わりにしようと何度も思ったものですわ。

あるいは、単にシリアスな緊張感を求めているだけなのかもしれません。

まあね、いずれにしてもコミュニケーションが失敗した結果ではあるでしょうけれど。いずれにせよ、TRPG は何がどうなったら楽しいのかしらと思わなくもないですし、GM はプレイヤーを楽しませる係ではないとも。
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Kei
Kei日記
2024/02/25 04:45[web全体で公開]
😶 CoC を作った会社のお話
ご機嫌よう。

Chaosium の話は他所でも散々語らえれているようですし、敢えてする必要もないかと思っていたのですが、どうやら「現存する最古の TRPG の会社!」の候補だということが分かり、語らいたくなってしまいましたの。

さて。Chaosium はもともと、グレッグ・スタッフォードが作った白い狼と赤い月(第2版がドラゴン・パスというタイトルで日本語訳も出ていました)というファンタジー・ストラテジーゲームがどのゲーム会社からも出版を断られたので、自ら出版するために立ち上げた会社でした。またグレッグおじさまは D&D の最初の購入者でもあり(この時購入した D&D はその後借りパクされたようです)、D&D からヒントを得て作った TRPG が RuneQuest(以下RQ)です。以降 Chaosium は RQ を製品ラインの中心に据えていくことになります。

RQ は CoC でも採用されている Basic Roleplaying の元になったゲームで、第二版になるとグローランサという背景世界設定をますます充実させ、設定深掘り系のサプリメントは大好評となりました。ファンタジー TRPG ではありますが、倒すべきモンスターのような概念よりも神々や神話と人間との関わり、信仰の違いによる人間同士の争いといったテーマを掘り下げ、他のファンタジー TRPG  とは一線を画すものとなりました。

ですが、Chaosium の経営自体は安泰だったわけではありません。当時の Chaosium にとっての懸案は出版に関する事業でした。ゲームの在庫を持つということがリスクでしたし、出版に関する費用を抑えたかったのです。ちょうど良いことに、Chaosium にとってうってつけの相手がありました。それが Avalon Hill(以下AH)です。AH はボードゲーム/ストラテジーゲームの分野で大きな成功を収めていましたが、それが仇となって TRPG の領域には完全に出遅れていました。AH にとっても RQ の権利は魅力的でした。こうして、Chaosium はデザインの会社、AH は出版社という関係が築かれました(権利的には、システムと出版に関しては AH が権利を持ち、Chaosium はグローランサ世界についての権利を保持していました。AH は RQ のシステムを使い、他の世界設定を展開することもできましたし、実際そうして Fantasy Europe 設定が生まれました。でも、これは思ったように売れませんでした。この展開の中で生まれたのが Land of Ninja ですが、日本の歴史についての必要以上のリサーチとゲームへの盛り込みが仇となり、日本語版は出版されませんでした)。

また一方で、RQ のみに依存している状態もリスクと見做されました。そうして幾つかの候補を検討した後、実際に製品化されたのが CoC になります。RQ で養われたシステムをベースにしてクトゥルフをテーマにするという案を現実のものにしたのは、サンディ・ピーターセンです。当時サンディおじさま自身もクトゥルフをテーマにしたゲームの構想を持っていて幾つかのゲーム会社と交渉し、最終的に Chaosium を選びました。とはいえ、元々のサンディおじさまのデザインはものすごくデッドリーで、社内の企画は相当紛糾したのだとか。

ちょっと脱線しますが、グレッグおじさまとサンディおじさまについて補足しておきましょう。二人とも天才で、この二人が出会ったことは TRPG 業界の奇跡ではないかしら。とにかく、グレッグおじさまは RQ を作っただけでなく、Pendragon(感情システムなど後の TRPG に影響を与えました)、Prince Valiant(ナラティブ系の始祖の一つであり、その後の TRPG に影響を与えました)、Hero Wars(Chaosium を離れた後に RQ 世界の再現のために作られたナラティブ系システムで、その後の TRPG に大きな影響を与えました)など、TRPG に関する多くの発明をしました。サンディおじさまは CoC を生み出しただけでなく、Chaosium を去った後はコンピューターゲーム業界に身を置き、DOOM や Quake といった黎明期の FPS だけでなく、Age of Empires のような現代的なコンピューター・ストラテジー・ゲームにも関わっています。元々は生物学畑の出身で、RQ に関していえばトロールパックのような傑作サプリにバックグラウンドを遺憾無く活かしています。

話を戻しまして。AH との提携や CoC といった製品ラインの拡張で安泰と思われた Chaosium ですが、実際はそうなりませんでした。まず、AH との提携で改版された RQ は旧版の方が良かったという評価を受けます。Chaosium は RQ ルネッサンスとして設定を整理・拡充する道を模索し、こちらはそこそこ受け入れられました。ですが、そこに、以前別の会社のお話でも触れた MtG がやってきます。以前にもお話したように、MtG の影響は TRPG 会社を直撃しました。Chaosium も例外ではありません。そうしてお定まりのコース。Chaosium も Mythos という TCG をリリースすることになります。これがどんな出来だったのかは分からないのですが、結果としてもたらされたものは大きすぎました。RQ の生みの親だったグレッグおじさまは RQ に集中できないならと会社を去り、またサンディおじさまも会社を去りました。この時、Chaosium の収益の要は CoC ではなく RQ でした。けれど、システムの権利は AH が持っていて、世界設定の権利はグレッグおじさまが新しく作った会社に移り、Chaosium には RQ の資産は残りませんでした。

Chaosium は、CoC と 7th Sea でどうにか命脈を繋いでいました(Pendragon の権利も他の会社に売却されたりしていました)。そんな中 AH が経営難に陥り、Hasblo に買収されることになります。Hasblo は AH の名作ボードゲームの権利を手中に収めましたが、RQ には興味を示しませんでした。そんなわけで、RQ の権利は Chaosium に戻ります。けれど、この時点で Chaosium が取り戻したのはシステム部分の権利だけ。RQ の人気を支えていた世界設定の権利はいまだに別会社の元にあります。台所事情はいまだに火の車でした。

そんな事情の中で、CoC の改版(7版)はクラウドファンディングで資金を集めることになります。クラファン自体は成功しました。ですが、約束の期日に製品を完成させることができませんでした。プロジェクトは遅れに遅れ、あわや炎上、返金……。

グレッグおじさまもサンディおじさまもまだ Chaosium の株を持っていました。そして、見かねて帰ってきました。グレッグおじさまが会社の金庫(口座?)を確認すると、全然現金がなかったのだとか。それでも、クラファンの出資者にもう少し待ってくださいとごめんなさいして出版に漕ぎつけた CoC7 は大好評となりました。ともあれ、こうして RQ に関する権利一式は再び Chaosium の元に戻り、そこでクラファンで行けるならと(CoC7 をやっとのことで出版した Chaosium にはまだ資金がありませんでした)、これまでの RQ 設定の集大成も出資者を募り結果は成功、Guide to Glorantha として結実しました。この成功が、RQ の新版、RuneQuest: Glorantha に繋がることになります。

グレッグおじさまは RQ:G が出版された年、この成功を見届けるかのように他界しました。サンディおじさまは Chaosium の経営が再び軌道に乗ったのを見届けると、自身のプロジェクトのために再び会社を去りました。

現在の Chaosium では、CoC だけでなく RQ:G も精力的に出版が続いていますが(とはいえプロジェクトは遅れぎみな印象ですが)、現存する最古の TRPG の会社かもしれない会社の歴史はなかなか波瀾万丈ですし、まだ会社が残っていて製品展開を続けていることが嬉しく感じられたりしますわね。
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Kei
Kei日記
2024/02/23 22:48[web全体で公開]
😶 フライングバッファローはもうない
ご機嫌よう。

FT書房からモンスター!モンスター!が出るという話は少し以前に出ていましたが、SNEから日本語版が出ていたような、どういうこと……? となったのはわたくしだけではないでしょう。

それでわたくしとしては衝撃の事実を知ってしまったのですわ。T&T を作った会社であり、現存する最古の TRPG の会社だと思っていたフライング・バッファローですけれど、リック・ルーミスが2019年に他界した後(ありがとうリック。あなたと T&T のおかげでわたくしはまだ TRPG を遊んでいます)、2021年に Webbed Sphere という会社に売却され、もう存続していませんでしたの。Webbed Sphere という会社はよくわからないのですが、どうも物流会社なのかしら? どうしてこの会社に売却されたのかは分かりません。

とにかく、この時に T&T の権利も Webbed Sphere に移りました。一方でフライング・バッファローが運営していた PBM の権利はまた別の会社に売却されたようです。そして、モンスター!モンスター!ですが、どうもフライング・バッファローが売却した権利に含まれていないというか、そもそもフライング・バッファローが持っていたのは出版の権利だけだったようですわ。さらに加えると、フライングバッファローの公式サイトは Rebellion Unplugged というサイトにリダイレクトされ、現在では T&T の権利は Rebellion という会社にあることがわかります。

それでは誰がモンスター!モンスター!の権利を持っているのか、ということになるのですが、デザイナーのケン・セント・アンドレと、現行の T&T のアートワークなどを手掛けているスティーブ・クロンプトン(会社が売却されるまでフライング・バッファローで働いていたそうです)(というかもうリズじゃないんですわね)が保有していて、権利的には T&T とは関係がない……というか元々関係がなかったのかしら。

というわけで T&T に関する SNE と現在の権利者との間の契約とかは分かりようもありませんけれど、モンスター!モンスター!に関しては権利が浮いていたみたいなのですわ。
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